株式会社weroll

株式会社werollは、CEOの浅野雄介氏が世界的なビッグテックで培ったマーケティングノウハウを武器に、4つの事業を展開するマーケティングエージェンシー。

デジタルマーケティング支援事業、クリエイティブ制作事業、デジタル広告代理事業、メディア事業を展開し、創業4年目にして、そうそうたる大手企業から高い評価を受けている注目のベンチャー企業だ。

浅野氏は雑誌編集の仕事でキャリアをスタート。EC業界に活動の場を移した後に世界的な大手テック企業にヘッドハントされ、約4年間、同社でマーケティングを担当する。広告やキャンペーン企画などのマーケティング業務のみならず、物流の改革やオペレーションの改善なども手掛け、同社のハイパーグロースに大きく貢献する。

「その企業を辞めて外の世界を見た時に、日本の企業のほとんどがそこでやっていたようなマーケティング施策の10分の1もできていないことを目の当たりにしました。多くの企業に、もっとマーケティングの支援が必要だと感じたのです」（浅野氏）。

片や、共同代表でCCOの北原豪氏は元々はプロのミュージシャンで、SI会社も立ち上げていた。日々の制作業務を担う中で、大きな課題意識を持っていたという。それが、市場性の理解やビジネス設計・マーケティング設計が全くない状態でいきなりモノづくりをしようとする日本のサービス提供企業がいかに多いか、ということだ。

「多くの企業はマーケティングに関する技術やノウハウ、マインドセットも含めた全般がすべからく足りていない。日本のマーケティング支援を進めることで、これをなんとかしようと。同じ問題意識の下、2人で創業したのがwerollです」（北原氏）。

マーケティングの支援事業からスタートした同社。クライアントからの声など、必要に応じて1つずつ事業を広げてきた。

「あらゆる著名なマーケターも言っていますが、私たちの考えているマーケティングとは“経営の機能から人事と総務と資金調達の機能を除いた全て”を対象にしています。だからプロダクトも作るし、その計画も、開発も、実際にリリースするところも、全てがマーケティング領域だと思ってやっています。当然、幅広くなりますし、それが一般的な経営コンサルとは違うところだと思います」（北原氏）。

加えて、自社サービスを展開しているのも同社の特徴だ。

遊ぶように仕事をする人のためのサービス『Poolside』は、フリーランスのマッチングを行う仕事紹介サービス。広告なしで、一冊丸ごとタイアップで制作するカルチャー雑誌『Attempt +』は、年内に第2号の出版が予定されている。さらには、同社のカルチャー部門を担い、雑誌やアパレルなどのクリエイティブを担当するのがweroll Productions。同社が持つ編集企画プロダクションだ。

「うちの特異なポイントが、どこのレイヤーでも入れることです」と浅野氏。開発だけでも、企画だけでも、全部でもできる。「ものを作ったがどう売ったらよいかわからない」「オペレーションをどうすればよいかわからない」などのケースも多く、場合によっては新商品を出す際の市場調査から任されることもあるという。

「広告事業において他社と決定的に違うのは、原則的にクリエイティブの制作費を頂かないことです。PDCAをたくさん回して成果が出ても、その分だけバナーなどを作ったりすれば、結果的に広告費は下がっても制作費が上がってしまいます。それでは費用対効果が悪い。そこをコントロールするのが我々の役割でもあり、そのためにも全てマージンに含めています」（浅野氏）。

浅野氏が「うちの軸」と胸を張るのがオペレーションの強さだ。案件に対してナレッジやノウハウを持つディレクターを付け、運用が安定するような工数とオペレーターを考えながら、事故らないように堅く回していくスタイル。

「ポイントになるのが、PDCAもとにかく大量のものを回し続け、堅いオペレーションを実現することです。これは私が前職で培ったノウハウの1つなのですが、うちの一番の強みとなっており、広告に限らず、アイデア出し、制作、マーケティング支援等、全てにおいてこのやり方を徹底しています」（浅野氏）。

テクノロジーだけに頼ることなく、基本的に人力で、しかも泥臭くやり切るのが同社のスタイルといえそうだ。

同社で働くメリットについて、浅野氏は次のように話す。

「うちのクライアントは日本でも有数のデータを持つ企業ばかり。ですから、そんな企業のデータが使い放題です。その上で、私が前職で学んだ世界のトップ企業のデータの扱い方や、改善の仕方、手の動かし方等を完全なナレッジにしており、それを身につけることができる点でしょうか」

この両方がそろった企業はそうないだろう。しかも、同社のような規模の企業ではちょっとあり得ないかもしれない。

加えて、浅野氏のキャリアを活かした、いわゆる雑誌的なクリエイティブのノウハウも体感できるだろう。人脈を活かして映画のプロデュースなども手掛けているため、通常では体験できないような現場を味わうことも可能だ。さらに、グローバルテック企業で培ったような効率的なデジタルマーケティングのノウハウもある。「やろうと思えば両方できる会社なのですよ」と浅野氏。ものづくりに関われる場所としても、可能性を秘めた会社といえそうだ。

創業時に2人が目指したのが「バンドのような会社組織」だったという。同社において社長はバンドマスター。育ちや経験、価値観が違う人たちが集まっても、バンドマスターが決めたディレクションの範疇でお互いをリスペクトしながら進めていける、そんな組織を目指してきた。

「会社のフェーズでいうと、昨年までがバンドの時代で、2023年からは少しずつ組織として固めていこうと進めているところです。マネジメント層の増員を含め、体制強化に力を入れることで既存事業の粒をもう少し大きいものにし、事業拡大を目指していきます」（浅野氏）。

人物像として求めるのが、とにかくPDCAを回す組織であることから、「手数を動かすことに抵抗感がなく、動き続けられる人」だ。さらに、「クライアントの先にいるお客様のことを第一に考えられる人」でもあってほしい。「その先」を見てクライアントにきちんと「NO」が言えるかどうかが何より大事だと考えている。

「その上で、いろんな価値観の人を組織の中に迎え入れたいですね」（浅野氏）。

同社の働き方について伺うと、「当然ハードワークですよ」と浅野氏。「ただ、残業するハードワークは僕は好きじゃないです。生産単価が高い、効率的な働き方が好きなので、ダラダラ働くような組織ではないですね」

その言葉を証明するように、色々な趣味を持ちながら仕事と両立させているメンバーが多いという。中には幼少期から続けているバレエを、業務と同等のレベルで続けている女性社員も。

「それぞれの持ち分をしっかりやってくれれば、私自身はあまり干渉しません。そもそも私も北原も、20代の頃からたくさん遊んで、そこから仕事に繋がった経験をいっぱい持っています。実際、遊びの方が大変だったりするのもよくわかっているので、仕事だけでなく趣味も好きに楽しんでもらえればいいんじゃないでしょうか」（浅野氏）。

「うちのカルチャーを面白がってくれる人なら、国籍はもちろん、細かい経験などは問わない」とも話す浅野氏。中長期的には海外展開も視野に入れる同社。世界的な企業のノウハウを一般化して備えていて、なおかつ相応の企業に対して実績がある会社は世界的にもそんなに多くはないはずだ。この先も、まさに同社でしかできない仕事がたくさんあるといって良さそうだ。