学校法人東京滋慶学園

滋慶学園グループ（以下同グループ）は、全国規模で専門学校・各種スクールを展開する法人グループである。創業は専修学校法が施行された1976年。厚生労働省（当時厚生省）許可の歯科技工士養成校から始まり、現在は医療・美容・製菓・デザイン等、80校以上の運営を通じて500職種以上・26万人以上の人材を産業界に輩出している。

同グループは「職業人教育を通して社会に貢献する」をミッションとして掲げ、学校教育の現場と社会の架け橋となる職業人教育に力を入れている。ちなみに職業人教育とは、建学の理念である実学教育・人間教育・国際教育を土台に、社会に役立つ技術・知識を身に付ける「専門教育」と、人を育てる「キャリア教育」を総称した教育方針である。

「2025年の崖」を控えて深刻なIT人材不足が叫ばれる中、同グループが次なる取り組みとして着手するのがIT業界の職業人教育だ。2023年4月に埼玉県さいたま市に『さいたまIT・WEB専門学校』を開校することになった。さいたま市に開校が決まった背景には、SDGs未来都市に選定され、かつICT・ビッグデータを使ったスマート・ターミナル・シティを目指すさいたま市および地元企業と教育連携し、ITの力で街を活性化させたいという想いが込められている。

『さいたまIT・WEB専門学校』は開校に当たり、主にシステム領域で活躍するエンジニア・プログラマーを育成する「高度専門士情報技術科」と、Web領域で活躍するデザイナー・プログラマーを育成する「情報技術科」を設置した。同校が提供する教育サービスの特徴について、事務局長の高平敦氏は次のように述べている。

「他のIT系専門学校・スクールの多くがゲーム・アニメ等のエンタメ領域を推しているのに対し、当校は産業への貢献を強く意識しています。暮らしを便利にしたり、SDGsに貢献したりする等、分野を問わず、自身が持つ技術をどのように社会に実装していくか？にテーマを置いた教育カリキュラムを敷きました。また多くの学生が同じ場所に集まって学ぶメリットを最大限に活かし、職業人として活躍するためのコミュニケーション教育にも力を入れていく予定です」（高平氏）。

新規開校に向けたオープンキャンパスは高校生・親御様からも高評価を博し、2学科で定員80名の生徒枠は見えつつあるとのこと。あとは教育現場を担うオープニングメンバーの募集である。

同校で授業を持つ人材は「実務家教員」と呼ばれる。普段はIT関連の業務を行い、週に複数回の授業を受け持つというパラレルな働き方を採用している。教務に特化しない理由は、IT業界の職業人を育てるためには、教員自身が最新の情報をキャッチアップしている必要があるからだ。現時点でIT企業の代表取締役やフリーランス等、常勤・非常勤合わせ11名の実務家教員が内定しているとのこと。

開校に当たって欠かせないポジションがもう一つある。それは実務家教員の授業をサポートする「教務アシスタント」だ。生徒は一人ひとり、知識レベルも勉強に向き合う姿勢も異なる。集団教育で第一に求められるのは、ドロップアウトしてしまう生徒を出さないこと。教務アシスタントには、実務家教員と生徒の架け橋となり、生徒の気付き・発見の場を生み出すコミュニケーションが期待される。

高平氏は教務アシスタントとして活躍できる人物像について、次のように述べている。
「もちろんIT関連の知識やエンジニアとしての実務経験は大いに発揮されます。ただ私達の役目は技術でモノを作ることではなく、産業に貢献できる人を作ることです。そういった意味で、人と接するのが好きで、卒業した生徒が社会で活躍する姿を自分事として喜べる人に是非来てほしいですね」（高平氏）。

また教務アシスタントには、実務の現場で培われた職業人としての心構えを学生に伝える「チューター的な役割」も期待される。例えば、苦労の末に社会に大きな影響をもたらす製品・サービスを開発した人や、あるいはプロジェクト現場でチームプレーを発揮して何か大きなモノを作り上げた人等、経験に基づく助言・アドバイス一つひとつが生徒のモチベーションアップに繋がり、将来の道を選択する上での道しるべとなるのだ。

教務アシスタントとして活躍した後には、大きく分けて2通りのキャリアが開けるという。それは自分の得意分野を活かしてメインの授業を持ったり、新しい教育カリキュラムの開発に携わったりする「アカデミック」のキャリア。または、学科の運営や教員の採用・育成等に携わる「マネジメント」のキャリアだ。教務アシスタントとして働きながら自分が目指したい方向を定め、自分にあったキャリアを形成することができる。

「エンジニアの皆さんにとって、教育業界への転職は大きなキャリアチェンジであり、未知の領域に飛び込む不安もあるかと思います。入社後は適材適所で長期的にキャリアを築いていける体制があるので、安心して応募してほしいです。カウンセリング・コーチング・ティーチング等、教育現場に欠かせないスキルを習得できる社内研修も万全に整っています」（高平氏）。

同グループは創業当初からベンチャーマインドに溢れ、新規事業を次々と立ち上げるカルチャーが根付いている。高平氏も元々は医療・スポーツ系の学校運営に携わっていた人間であり、高平氏の企画・提案によって同校の開校プロジェクトがスタートしたという。

「開校時の教育カリキュラムはいったん用意しましたが、これが100%正解ではありません。私達が提供しているのは教育サービスですから、学生・親御様の声を取り込みながら永続的にエンゲージメントを高めていく必要があります。新しい授業の企画はもちろんのこと、生徒が授業に付いてこれないようなら授業のレベルを調整したり、授業に重複するものがあれば統廃合して効率化を図ったりと、現場サイドからも積極的に意見・アイデアを出してほしいと思います」（高平氏）。

新しい専門学校のオープニングメンバーとして、教員・教務アシスタントはじめ関係者一丸となって学校づくりに参加できる。IT関連の実務経験・知識をそのままに、教育業界にキャリアチェンジするなら今が絶好のタイミングだといえる。