Information Architects株式会社

Information Architects株式会社（iA） は、2005年にスイス人デザイナーによって設立されたインターフェイスデザインの会社である。まずは東京で起業し、その後2008年にスイス・チューリッヒにもオフィスを設立。今では国内外のテレビ局、新聞社、出版社、外食グループ企業といった誰もが知る大手クライアントと取引し、WebやアプリケーションのUI/UXデザインを手掛けている。
『NHK 東京2020オリンピック公式ホームページ』『日本経済新聞　公式ホームページ、アプリケーション』といった案件を担当。大手飲食店の公式サイト等、多くの人が利用するWebサイトやアプリで同社の実力を発揮している。
これらのクライアント案件のほか、自社で開発したソフトウェア/プロダクトも提供しており、2010年にはテキストエディタ『iA Writer』をリリースしている。『iA Writer』の特徴としては、エディタソフト本来の目的である“執筆する”という機能に特化するため、できる限りシンプルかつ直感的に使いこなせるユーザーインターフェイスとしていること。使いやすさと美しさが世界中の作家等に愛され、ダウンロード数は世界で300万に到達、Apple社のBest of Mac Appsにも選出されている。

これらの実績を見ると、大規模な企業や大手広告代理店のように思われるが、同社メンバーは東京とチューリッヒを拠点とした少人数の限られた人材のみである。それにもかかわらず、大手企業並みのプロジェクトを抱えることができたのは、同社が先駆的なUIデザインを日本に持ち込んだことに他ならない。

「そもそも2005年にInformation Architectsを設立した理由は、Webサイトのデザインが使いにくく、美しくなかったからです」と代表取締役のライヒェンシュタイン・オリバー氏は語る。

2005年当時の日本におけるWebサイトのデザインといえば、従来のグラフィックデザインで培った洗練された魅せ方には程遠く、海外のサイトと比べても出遅れた感があった。そこでまず、オリバー氏はそれまで在籍していたIT系企業を辞して、日本のWebデザインを変革するべく、日本で起業することにこだわったのだ。

同社の手掛けるデザインはなぜ高い評価を得ているのか。それは同社が独特の“デザイン哲学”を持ち続けているからである。
第一に「Webデザインの95%はタイポグラフィーである」と断言し、2005年当時におけるWebデザインの読みにくさは、テキスト以外の要素の煩雑さであったり、テキストの行間・字間がこなれていなかったためであると指摘している。
その上で、企業が本来伝えるべきことを際立たせるためにも「ミニマルデザイン」の重要性を説いている。
「ミニマルなデザインの例としては、美術館であれば絵画を鑑賞するのが重要なのであって、背景はシンプル、装飾はありませんよね。それと同じことです」（オリバー氏）。
今となってはごく当然の指摘であるが、なるべく多くのアイテムを盛り込みたいと考えるクライアントへ、「ユーザーの使い勝手を考えるなら、できる限り導線をシンプルにすべし」と伝えることが画期的であった。

さらに、ただデザインが美しいだけではなく、UXを追求するため「ユーザーテスト」を実施してきたことも特筆するべきだろう。今でこそ通常に行われていることかもしれないが、希望者を募ってテストを重ねて改良するということを、国内で先駆的に行ってきたのも同社の特徴である。

これらの「ミニマルデザイン」の概念は、クライアントのWebサイト向けのみならず、自社開発のプロダクトや自社サイトでも発揮されており、使いたい機能を直感的に使えるシンプルな構成となっている。

なお、同社のデザインや製品について知った上で応募したいという場合、製品のβバージョンを実際に使ってもらうことも可能だという（同社へ問い合わせ後に、メールで送信予定）。

同社の東京オフィスメンバーは5名で、国籍はカナダ人とフランス人、日本人。社内では英語と日本語が飛び交っており、チューリッヒオフィスの仲間ともやり取りがあるため、ワールドワイドに活躍できることが特徴だ。デザイナーは40代・30代でいずれも日本人。ニューヨークでデザインを勉強して、同社へ新卒で入社した人や、メーカーから転職してきた人もいる。
現在はリモートワークが中心であり、働き方もフレックスで個々の裁量が大きい。フランクな雰囲気で互いに意見を活発に交わしており、新人・ベテランにかかわらず、良い意見は積極的に採用して、会社と一緒に成長していこうという思いに溢れている。

海外メンバーとはビデオ会議で交流しているが、いずれは海外出張や、来日した海外のメンバーと一緒にオフィスで仕事する機会も生じるはずだ。これまで海外研修も随時開催してきたが、その際にはメンバー間のコミュニケーションを取り、チームの絆を深め、チームスピリットを養うことを主眼に置いてきた。同じ空間で寝食を共にして、休日には美術館や海等へ出掛けてバカンスも皆で楽しむ。そして各人の得意な分野を紹介し合って、グローバルに仕事を進めていくためのきっかけを作るというわけだ。

新たに採用するデザイナーには、クライアントのWebサイト等のほか、自社の既存のプロダクトはもちろん、新たな製品にも携わってもらう予定だ。通常であれば大手企業の大きなチーム内でしか携われないような案件に、少数精鋭のメンバーと共に関わることができることが魅力だ。また本人のスキルと、プロジェクトの規模によっては早期に一任する案件もあり、大きな手応えを実感できるはずだ。

なお、代表取締役のオリバー氏は、スイスの大学とパリの大学で哲学を専攻後、スイスのブランディング会社での勤務を経て日本の企業へ参画したという。国内外のユニークなメンバーに刺激を受けながら、国内外のトレンドをキャッチしつつ、グローバルなレベルのデザイナーへと成長したい方には、最適な環境となるはずだろう。