株式会社東京デザインアーツ

株式会社東京デザインアーツは、綜合キャリアグループのデジタルクリエイティブ会社として2022年2月に設立されたばかりの新会社。同グループにおける多種多様なクリエイティブワークを集約すると共に、独自のクリエイティブサービスや動画活用サービス等を広く提供し、同グループの次なる成長の柱を目指す存在だ。

同社が目下構築中の独自のクリエイティブサービスは、企業が簡単に制作物を発注しやすくするための、クラウドサービスだ。
いつでもどこでも制作物を発注可能！発注者側の不安を解消すると共に、ニーズに応える制作物を実現させるという付加価値を強みとすることを目指す。2022年秋にリリースされる予定だ。

その他、動画活用サービスは、社内的な動画マニュアルや対外的な説明・紹介動画といった、同じ説明を繰り返す場合に活用できる動画を中心に対応していく。
「マニュアルは内容が古くなると使われなくなるもの。そこで当社では、クラウドソーシングプラットフォームを活用してハイスピードで修正対応することを強みとしていきます」（関屋氏）。

同グループの内製機能としては、グループ各社が展開しているWebサービスやメディア、ツール／システムの作成・開発を担う。代表的なものとしては、次のものがある。

・「インタツアー」：就職活動を行う学生が企業にインタビューでき、その感想を共有できる国内最大の企業インタビューナビサイト。全国の約5万人の学生が活用している。
・「コンシェルマッチ」：コンシェルジュがサポートする転職サービス。事務職等の従来人材紹介サービスを利用しなかった層にも使ってもらえるよう、AIによる自動応答を活用しつつ重要なポイントは人的サポートを提供し、従来の人材紹介サービスを大幅に効率化させる。
・「海外人材タイムス」：特定技能制度等、外国人の活用を考える企業や、外国人求職者に向けた様々な参考情報や求人情報を提供するポータル。ベトナムの人材送り出し機関とのパートナーシップを締結し、当該情報に精通している強みがある。

綜合キャリアグループは、1990年に前身の株式会社ながの綜合スタッフ・オプショナリーとして創業された。1995年から製造業向けの請負やユニット派遣を強化する。2001年に人材派遣・人材紹介・BPOを手掛ける株式会社綜合キャリアオプションを設立し、製造系ソリューション展開を強化して全国展開を図る。同社は現在、国内の製造業や物流業向けの人材サービス企業としてNo.1の取引者数や稼働人数を誇る（自社調べ）。
「このストック型の事業基盤から上げた収益を新領域、とりわけデジタル領域に積極的に投資してグループを拡充させていきました」（関屋氏）。

2005年には、HRテックやHR領域のクラウドサービス、海外人材マネジメントサービス、研修プログラム等を提供するキャリアアセットマネジ株式会社を設立。
2010年にはスポット人材派遣・人材紹介の株式会社バイトレ、2012年には障がい者支援事業を手掛ける株式会社綜合キャリアトラスト、および「インタツアー」を提供する株式会社インタツアー、2019年にはベトナム現地法人のSOUGO CAREER VIETNAM CO.,LTD、2021年には人材マネジメントを中心に物流に関わる全領域でサービスを提供する株式会社ロジテックを設立させてきた。

そして、2022年2月の東京デザインアーツの設立である。その背景や狙いについて、関屋氏は次のように説明する。
「当グループはこれまで人材派遣を主体に成長し、現在ではその売上がグループ全体の70～80%を占めています。しかし、人材派遣は景況によって変動幅が大きく、もう一つの柱が必要という問題意識がありました。そこで、グループの方向性としてデジタルテクノロジーを活用しての新サービスの創出に力を入れてきたのです。その流れにおいて、エンジニアをはじめ、ディレクターやデザイナー等のクリエイターを70～80名擁し、グループ各社のWebサービスやメディア、ツール等を内製してきました。こうした背景の下、クリエイターの採用やサービスの外販に取り組む上で別会社化した方が有利との判断で、当社の分社化が決まりました。つまり、当社は当グループのもう一つの柱を築く上で中核的な存在となる、戦略会社と言えます」

当面はグループ内の潤沢な業務を担いつつ徐々に外販を広げ、5～10年後までに外販比率50%以上を目指す。
「それと共に、必ずしも収入が高くないクリエイターに多様な就業の選択肢を提供し、社会的地位を高めていくことにも力を入れていきたいと考えています」と関屋氏は意気込む。

同グループが大切にしている価値観として、次の4点がある。

●出る杭を伸ばす
「創業当初から、社員一人ひとりが会社運営に主体的に関わるスタンスを重視してきました。そこで、社歴が長い人の意見が重視されるといったことはなく、誰もが等しく積極的に発言するカルチャーが築かれています」と、同社でグループ全体の広報やブランディングを担当する立見雄哉氏は説明する。

●仲間を大切にする
「個人の業績目標もありますが、それよりもチームとしての目標達成が重視されています。個人の行動評価においては、例えばコピー用紙が減っていたら率先して補充するといった“One for All”の行動もよく見られています。それだけチームワークを重視していると言えます」（立見氏）。

●チャレンジする
「同じことを長く続けていると得てして形骸化するもの。そこで常に『もっといい方法はないか？』と大目的のために新たなことへのチャレンジを推奨しています。結果が出るまでやり続ければいいので、失敗はあり得ないという考え方もあります」（立見氏）。

●凡事徹底
「あいさつや整理整頓等、誰でもできる当たり前のことを徹底しています。ほか三つの価値観を体現するためには、信頼される人でなければなりません。それは、凡事徹底から始まると考えています」（立見氏）。
なお、グループ全体のブランディングの一環として、男性社員はスーツにネクタイ着用というドレスコードの凡事徹底がある。「ただし、クリエイターに関わる当社に関しては、パフォーマンスの最大化を重視し例外規定を設けることを検討している」と関屋氏は話す。

組織は、“出る杭”が出やすくなるよう役職を減らしてフラット化。「上下関係ではなく役割の違いがあるに過ぎないホラクラシー的な組織」と立見氏は話す。

人材育成においては、グループ共通の充実した研修体系がある。また、所属部署の業務とは別に経営課題や開発テーマに応じてグループ横断的なプロジェクトチームが立ち上げられている。「そこに放り込まれることで鍛えられている」と、同社でディレクターを務める松澤雄太氏は話す。

社員間の一体感を深める機会として、毎月行われる目標達成時の達成会・不達成時の決起会がある。そのほか、コロナ禍前は運動会やBBQ等も行われており、状況を見て再開される予定だ。

そんな同社が求める人材像について、関屋氏は次のように期待を寄せる。
「できたばかりの会社を一緒につくっていきたい主体性のある方に是非加わっていただきたいと願っています！」