株式会社オリコム

広告業界で、ベンチャースピリッツを持って、常に時代の先頭を走り続けてきた企業がある。その名は、株式会社オリコム。2022年4月に創立100周年を迎える、老舗の総合広告会社だ。

オリコムのベンチャースピリッツを表現している二つのストーリーがある。一つ目は、オリコム社の誕生物語。1922年、新聞取次店に勤めていた創業者の斎藤岩次郎氏が、社内に折込広告部を開設したのが、オリコムの始まり。しかも、これが日本で初めての新聞の「折込広告」。さらに、1928年に国鉄（現 JR）の有料広告第一号を扱う。これが日本で初めての「中づり広告」だ。

「新聞の『折込広告』、鉄道車内の『中づり広告』を始めたのは、当社です。その後、あらゆるメディアの広告を扱うようになり、交通広告に強みを持った特長ある総合広告会社として、多くのクライアントと取引いただいています」（人事局 人事部長・大木志信氏）。

オリコムが提供する交通広告は、全国各地の鉄道・バスに掲出される各種の「車両広告メディア」をはじめ、駅構内に掲出される「駅広告メディア」、あるいは街中や駅前、ロードサイド等に設置されている「屋外広告メディア」等がある。デジタルサイネージにも対応し、クライアントに合わせて広告のプランニングから手掛けている。

「OOH・交通広告では、業界トップを走ってきました。2006年より独自の交通広告キャンペーン効果測定調査『交通メジャー』を開始。路線・駅利用率データや、電鉄会社による自主調査データはありましたが、複数の電鉄を同時に起用したキャンペーンは『効果が見えない』といわれていました。そこで、当社が独自に調査し、交通広告の効果測定の定量化を進めています」（大木氏）。

さらに近年は、OOHのデジタル化が加速。『ダイナミックデジタルOOH』と呼ばれる、広告の新しい潮流の中にも、オリコムはチャレンジしている。

「OOHは不特定多数に同じ広告を出す手法でした。しかし、デジタルテクノロジーの進化により、ターゲットを絞って効率良く接触するデジタルメディアの強みを融合させた『ダイナミックデジタルOOH』が生まれ、勢いよく発展しています。『ダイナミックデジタルOOH』の登場は、OOHの世界でゲームチェンジを起こそうとしています。これまで掲出料の決定権はロケーションオーナーにありましたが、『ダイナミックデジタルOOH』が広まることで価格の決定権が広告主側に移ろうとしています」（大木氏）。

『ダイナミックデジタルOOH』が一般化すると、広告効果が可視化され、屋外広告の価値が見える化される。そうなると、「50万円なら出稿する」「2日間だけ広告を出したい」といった広告主のニーズに対応できるOOHだけが残り、根拠のない掲出料を固定で取るOOHは広告の依頼がなくなる可能性もあるのだ。それぐらい、OOHの世界では、大きな地殻変動が起きており、オリコムも『ダイナミックデジタルOOH』のサービス展開を進めている。

OOH・交通広告に強みを持つオリコムだが、実は「デジタル広告」にも早くから取り組み、現在も主要な事業となっている。

オリコムがデジタルを扱い始めたのは、1996年のこと。まだ、一般家庭にパソコンが普及する前の話だ。

「1996年にデジタルメディアの取り扱いを開始して以来、オリコムは多くのクライアントのデジタルビジネス拡大に携わってきました。デジタルソリューションの活用範囲をWebマーケティングに限定せず、マス広告やOOH広告を含むトータルな広告戦略において、デジタルソリューションを活用しています。インターネット広告運用の最適化はもちろん、トータルなコミュニケーションプランでクライアントの広告戦略を最適化します」（デジタルソリューション局 局長・水科宗作氏）。

Yahoo!の「セールスパートナー★★」を付与され、Google Partner バッジを取得しているほか、信頼性の高いデジタル広告配信サービスの提供と、デジタル広告の効果改善に向けた取り組みを積極的に行って、Momentum株式会社より「Agency Certification Program（ACP）」のパートナー認定を受けている。（2022年4月現在）

「オリコムでは、デジタルメディア部に在籍する全社員が、Google Analytics個人認定資格『GAIQ』を保有しており、質の高いデジタル広告ソリューションを提供しております。また、『Googleディスプレイ&ビデオ360』の新機能ベータ版に、大手広告代理店と並んで参加しています。『ダイナミックデジタルOOH』を含む、新しいデジタル広告配信プラットフォームにも対応していきます」（水科氏）。

デジタルソリューション局では、現在、DWH（データウェアハウス）の構築を進めている。来たる新しいデジタル広告業界では、広告効果の測定が不可欠。しかも、インターネット広告だけでなく、SNSの反応やリアル店舗での購買データ等、形式の違うデータに横串を刺して分析する必要に迫られている。

「ネットとリアルが融合した現代においては、インターネット広告のコンバージョンだけでは、広告の効果測定が不完全とされています。広告代理店各社は独自のDWHを構築して、クライアントに対して広告効果をデータで示さなければなりません。当社でもDWHの構築を進めており、それを担当してくれる社内第一号エンジニアを求めています」

デジタル広告の世界では、広告データの分析が深化している。「デジタル広告＝インターネット広告」だったが、OOHやSNSの反応も分析のターゲット。GPSやWi-Fi、ビーコンを使って取得した位置データ等も活用されており、インターネット広告だけでなくデジタル広告全体の最適化ができる世界が訪れようとしている。オリコムでなら、データサイエンスに繋がる、面白い仕事が体験できそうだ。

2022年に100周年を迎えるオリコム。これを機に、次の100年を見据えた新しい理念となる「組織目的」を掲げている。

●組織目的
世の中に一つでも多くの「良い関係」を創造する

「オリコムでは、クライアントにとってのエンドユーザーを『生活者』と呼んでいます。生活者が何を考えているのか、そこに思いを馳せている会社です。クライアントファーストを貫くには、彼らのニーズを把握するだけでなく、生活者に注目しているからこそできる提案が必要だと考えます。企業と企業、企業と人、人と人、商品・サービスとユーザーの間で『より良い関係性』を作ることで、世の中が満たされる。これこそオリコムが実現したい未来の社会の姿です」（大木氏）。

商品やサービスは購入して終わりではなく、好きになってもらい、買い続けてもらい、人に勧めてもらえるようにするのが、現代のビジネスモデル。そのために、「生活者を見るプロ」に自らのポジションを据えたのだ。

「生活者を知るための社内ワークショップ『シルホド！』というプロジェクトを進めています。エスノグラフィーという手法で、街を行き交う人を観察して、みんなで色んな人々の気持ちを推察する。そうして、生活者の目線を肌感覚で知る試みです。また、デジタル化の波に乗り切れず取り残されてしまう人々が見舞われる『情報格差』と呼ばれる現象を解決するために、デジタルの活用を広めるためのオウンドメディア『デジタルわかる化研究所』も立ち上げました」（大木氏）。

次の100年を見据えた取り組みは、社内の働き方改革をも推進している。リモートワークとフレックスタイム制を導入し、ドレスコードの自由化等、新しい働き方を打ち出している。

100年企業なのにベンチャースピリッツが今も連綿と受け継がれているオリコム。安定した経営基盤の上で、積極的なチャレンジができる数少ない会社だ。

「新卒をメインに採用活動を続けてきましたが、デジタルソリューション局は中途入社の社員が多いセクション。中途入社のメンバーには、社内に新しい風を持ち込むことを期待しています。チャレンジを推奨する社風の会社だから、メンバーはどんどん成長しています。自分のスキルをもっと生かしたい、成長できる環境で働きたい、と感じている人材なら、存分に働けるフィールドが当社にはあります！」（大木氏）。

100年続いたから正しいわけではない。伝統を大切にしながらも変化を続けていく。オリコムは新しいものを世に送り出してきた企業。次の100年もベンチャースピリッツで突き進んでいくだろう。オリコムでなら、積極的に働きたい人材が、やりがいを感じながら思い切り働ける環境が約束されている。