株式会社datagusto

「テクノロジーを通して、人の可能性を広げる」をパーパスとして掲げ、AI 製品およびデータに関わる製品の企画から開発、コンサルティングまで手掛けている株式会社datagusto。誰でも簡単にデータを使えるSaaS型AIデータ分析ツール『datagusto』を開発・提供・運用し、順調に成長を続けている注目のスタートアップだ。

代表のパー麻緒氏は博士課程進学後、2017年に外資系コンサルティング会社に入社。データサイエンティストとして、企業のデータガバナンス案件やBI、AI案件に2年半にわたって従事する。その間、データ可視化ツールのエヴァンジェリストに選出され、社内コミュニティ形成の専門性も培った。その後、AIスタートアップの事業開発担当を経て、2020年4月に同社を起業した。設立の経緯についてパー氏は次のように語る。

「『datagusto』が生まれたのは、アパレルバイヤーを務める私の友人から、データを用いて適切な発注数を予測する方法を尋ねられたことがきっかけでした。過去の発注実績データが豊富にあるので、データに基づく予測は技術的に可能です。しかし、コンサルティング会社に依頼することは、コスト面から厳しくて、また、データ分析の専門知識を持たず、Excelしか与えられていない友人にとって、分析を自身の手で行うことは不可能でした。データを活用すれば、もっと仕事を楽にできるのに、そのためには高度な知識や莫大なコストが必要で、ごく一部の人しかその恩恵を受けられません。それならばデータ分析の知識がなくても、簡単にデータが扱えるツールを自分でつくろう。そう考えて、同じ課題感を持っていた中村（現CTO中村達哉氏）と共に当社を立ち上げました」

そしてすぐにSaaS型データ分析AIツールの開発に着手。α版、β版を経て、2021年11月に『datagusto』製品版をローンチした。

「従来のAIツールやデータ分析ツールは専門家向け、もしくは専門知識を持っている人が分析業務を効率化するためのツールでした。それに対して『datagusto』は、今までExcelやBIツールを使っていた人達が何も知らない状況で使えるのが大きな特徴です。実際、ある企業では、新卒で入社したばかりでデータ分析などの専門知識を持っていなかった方が、『datagusto』導入後わずか3カ月で自社保有データをAIで分析し、既存業務に反映する役割を担えるようになっています」（パー氏）。

リリース以来、着実にユーザーは増加を続けている。導入企業は、三菱地所リアルエステートサービス、リコー、大和ライフネクスト、SDX研究所等、業種・業界は多彩で、会社規模も大手から中小まで幅広い。

現在、datagustoは約10名体制（2022年3月時点）。サービス開発は、中村氏が指揮を執り、正社員のリードエンジニアを中心に、業務委託のエンジニア4名がAIや機械学習の処理基盤等の部分を担当して進めている。ビジネスサイドのメンバーとしては、正社員のセールスオペレーション担当とカスタマーサクセス担当が各1名、業務委託のマーケティング担当が1名活躍中。

エンジニアにとって同社の魅力は、成長する自社サービスの開発に幅広く携われることだ。中村氏は次のように語る。

「『datagusto』はリリースしてまだ間もない段階で、これからどんどん成長していくサービスです。まだメンバーの役割分担が細かく決まっているわけではなく、新機能開発や既存機能の改修を中心に、企画・設計・開発・運用まで全てのフェーズに携わることができます。そのため、あらゆる領域に裁量と責任を持ってチャレンジできます」

また、サービスのUI/UXデザインは、様々なプロダクトデザインを手掛けているクリエイティブファームTHE GUILDが担当しており、デザインの観点から多くのことを学べるのも魅力だ。

そんな同社が求めるのは、行動指針として掲げているコアバリューに合致する人材だ。

◆私達はその人がどんな人であれ、gusto（歓び）にする
その人にリテラシーやデータがあるかないかに関係なく、あるべき姿を（gustoな姿）目指して、自分で何をすべきかを考えて行動する。
◆諦めない
「できない」ではなく「どうやったらできるか」を模索する。
◆妥協しない
目の前の人が求めているのは「A」だと分かっている時に、Aより容易な解決策に飛びつかない。
◆多様であれ
価値観や立場、バックグラウンドの違う人に対して自分の意見は持ちつつも相手の意見をリスペクトする。
◆オープンであれ
できないことや知らないこと、自分と意見が違ったとしても、謙虚に受け止め、その上で議論をする。

それに加えて、エンジニアに求める資質として、中村氏は次のように語る。

「私達はユーザーにとって価値があり、使っていただけるサービスづくりに挑んでいます。自分がすごいと思うものではなく、ユーザーが使ってみたいと思うものを届けたい想いを持って、技術に真摯に取り組むことが大切です。また、エンジニアの方に分かっておいていただきたいのは、当社の技術に関する考え方です。AIや機械学習というと、最新技術を開発していくイメージを持たれる方が多いかもしれません。もちろん最新技術は注視していきますが、当社ではそれよりも、今あるAIや機械学習の技術の中で、一般ユーザーがまだ使っていない技術をいかに届けていくかに注力しています。そんな当社の姿勢に面白さを感じる方に来ていただきたいですね」

現在、datagustoでは20代後半から30代のメンバーが活躍している。博士号取得者や外資系コンサルティング会社出身者、有名企業のプロダクトマネージャー、ゲーム会社のプランナー、外資系ベンダーの事業責任者等、メンバーのバックグラウンドは多種多様。エンジニア・ビジネス、国籍、ジェンダー等関係なく、多様な価値観を尊重し合いながら仕事に取り組んでいる。同社の企業カルチャーについてパー氏は次のように語る。

「フラットでオープンなコミュニケーションを大切にしています。役職や年齢に関係なく、いいモノはいいと言いますし、悪いものは悪いと言うことができます。私自身も良かったこと、悪かったことを教えてと、メンバーに意見を求めることもあり、お互いにフィードバックし合いながら仕事を進めるカルチャーがありますね。外国籍のエンジニアもいて、英語でやり取りする機会も多いので、英語を使って仕事をしたい方にもぴったりの環境です」

オフィスは東京都千代田区有楽町のシェアオフィス内にあるが、出社して仕事するか、リモートワークを行うかは、仕事の内容や進行状況に応じて基本的にメンバー一人ひとりに任されている。

「オフィスには週に3回ぐらい集まってミーティングを行っています。絶対にこの日に出社しなければいけないといった決まりは特に設けていません。毎日オフィスに出社してもいいですし、リモートの方が効率良くできると思えば、在宅やカフェで仕事をしてもOKです。勤務時間内は仕事に集中し、休む時はしっかり休んで、メリハリを付けて働くようにしています」（パー氏）。

エンジニアのスキルアップをサポートする制度としては、関連書籍や機材の購入費や、AI等の勉強会への参加費用を会社が負担する制度がある。

今後のビジョンとしては、『datagusto』の使いやすさを追求し、より多くの人に使ってもらえるサービスへと成長させていきたい考えだ。

「ユーザーの裾野を拡大し、街のパン屋さんとかケーキ屋さんでも使っていただけるようにしたいですね。最終的に目指しているのは個人レベルでご利用いただくことです。例えばフリマアプリを使って出品しようと思った時に、いくらで売ればいいかを調べるツールとして使ってもらえたらと考えています。そして2032年までに世界中の人を『datagusto』に熱狂させるのが目標です。4大陸にユーザーコミュニティがあり、年に1回のカンファレンスでは、様々なユーザーが事例やナレッジをシェアする。マエストロチャレンジを見ている人は彼らのアウトプットに歓喜する。そんな世界を実現したいと考えています」（パー氏）。

誰でも簡単にデータを使える世界を目指してチャレンジを続ける同社は、自らの手で多くの人を笑顔にするサービスを作り出したい方には非常に魅力的な環境だ。