株式会社ワールド

株式会社ワールドは、動画制作・映像制作の会社だ。社員は10人と少ないながら、動画撮影・編集のほか、アニメーション、2DCG・3DCG、VR・AR・MR等の特殊映像制作、360度撮影、空撮等の特殊撮影と幅広く対応。プロモーション、CM、YouTube、研修、教育等、様々な用途に応じた映像制作や動画制作を行っている。

「私達は法人御用達のちょっとした映像をつくる会社です」と説明するのは、創業者で代表取締役の前村愛氏。「映像というとTVCMのような大企業さんのマス広告を想像する方が多いですが、それだけではありません。企業をはじめ法人の内部では色々な映像が必要とされます。プレゼン資料、商談等で使う説明資料、研修・教育、SNSに上げる動画等様々で、私達はそのような映像をつくっています」

わざわざ、このような説明をするのは、同社の実績がすごいからだ。ホームページにある取引実績には、中央省庁や地方自治体の数々、様々な公的な法人や業界団体、大手テレビ局、新聞社、大学、研究機関、学会、大手メーカーや総合商社、金融機関等の大企業がずらりと並ぶ。アメリカ国防省の名も。「これを見て、すごく大掛かりな映像制作の会社と勘違いされる人が多いので」と、前村氏はにこやかに言う。社会生活を送る上で日常的に目にする様々な動画表現。ワールドは、それらをプロの手でクオリティー高く制作している会社だ。

例えば大手メーカーの展示会用のプロダクトのPR動画。何気なく見ている中にも、動画撮影、編集はもちろん、アニメーションや3DCG等も駆使して特長が伝えられる。リクルート用の会社説明動画等も、数分の短い映像の中に、空撮等も含めた様々な技術が駆使される。コロナ禍以降、急速に発展したバーチャル空間でも、XR技術を様々に駆使した動画コンテンツが必要とされる。

このような多様な映像を、常に最新の技術・手法にキャッチアップしながら、少数精鋭の組織らしくフットワーク軽く、スピーディーにかつリーズナブルに制作することが、同社の大きな強みとなっている。メンバーは、元々一人ひとりの能力が高い上に、この数々の映像を、時には一人で何役もこなしながら制作するため、どんどん経験を積んで成長する。それが会社の力を底上げし、ますます競争力を増す。そのような好循環を続け、ワールドは創業以来、右肩上がりの成長を続けている。

前村氏は、子育てが一段落してからWebデザインを学び、ワールドを起業したというパワフルな人物だ。「子供が小さい間は主婦で、下の子が小学校に入ったタイミングで何か仕事をしようと思いました。40歳の頃です。そこからWebの学校に通ってデザインを学び、ホームページ制作やWebデザインを一人でやり始めました。そうこうするうちにホームページのトップページに動画がよく使われるようになり、広告の動画や写真撮影をしていた仲間と一緒に、映像制作の会社を立ち上げることになりました」と、創業の経緯を振り返る。

創業時から変わらないワールドの特長は、映像制作に脳科学の考え方を取り入れていることだ。無意識に視覚、聴覚が捉え、伝えたい情報が伝わる映像を目指す。前村氏自身、大学で心理学、精神医学、哲学等を学び、卒業後も自分で勉強を続けてきたほど、前々からこの領域に、とりわけ宣伝広告と心理学の関係にとても興味を持っていた。加えて家族は皆、医療従事者。特に子供が脳科学の研究をしているという環境にあった。そのようなバックグラウンドから、「マーケティングに沿わない映像制作は無意味であり、マーケティングとは脳の科学である」との考えを持っていた。

「年齢によって聞こえる音、見えるものが違ってきます。例えば年齢を重ねると高い音は聞こえないし、黄色は見えにくくなります。性別によって脳が好む色も違います。パッと映像を出された時、人は咄嗟に左上を見るという特性もあります。このようなことを理解していないと、つくる映像の効果に差が出ます。大手企業等の広告を見ると、脳科学を踏まえてつくられていることがよく分かります」と前村氏は言う。ワールドも、「ちょっとした映像を制作する会社」ではあるが、常にターゲットの年齢、性別等の属性に合わせた印象に残る映像を心掛けてきた。

自社の取引先も、この脳科学に基づくマーケティングの知見を駆使し、Webマーケティングで地道に開拓したものだ。前述の錚々たる取引先は、何か特別なコネがあったわけではない。足で稼ぐ営業も一切なし。売上に見合った広告費を投じ、脳科学的に印象に残るクリエイティブで関心を引き、受注に至れば、脳科学に基づく適切な提案、確かな制作力、スピーディー&リーズナブルな対応で取引先からの信頼を得てきた。その結果が、あの積み上げてきた実績の数々だ。

「街のケーキ屋さんの宣伝もあれば、国の研究機関と一緒に学会発表用の映像をつくったり、ある時は地下貯水施設を撮影したり、天皇陛下にお見せする動画を納品したこともありました。半導体メーカーもあれば税理士法人もあり、毎日全く違う業界の、全く違う内容の映像を制作しています。最初はさっぱり分からない話を掘り下げ、理解し、映像化していく工程は楽しく、世界が広がります」と前村氏。

実に多岐にわたる取引先の、多岐にわたる内容の映像制作を手掛けているが、中でも今後、伸ばしていきたいと考えているのは医療系だ。元々、周囲に医療従事者が多い関係で、馴染みがある領域だ。加えて、映像を残すことを通じて医療技術の発展に寄与したい思いもある。これまでも多く手掛けてきており、知見やノウハウも持つ。「大げさに言うと、私達は人類のために働いているのだと思います。映像を残すことは英知を残すこと。それを見て次の人が学びます。そんな思いで私達はこれからも、脳科学に基づき、見た人が分かりやすいものをつくっていきたいと思います。これから来る方も、そのような社会貢献の思いを持ってくれると嬉しいです」と前村氏。今後もワールドの持つ知見、技術、人材を活かし、常に最先端の映像制作を志す決意だ。

社員は30代が中心。とにかく数々の制作に携われることから、成長スピードは速い。しかも少数精鋭だけに一人で何役も担う。前村氏は言う。「例えば3DCGの方なら、VRも一気に身に付きます。技術だけでなく、お客様と企画を詰める段階も含めて撮影、制作、編集の最後までやります。大きな会社では、いくつかの工程のうちの一つしか受け持たないこともありますが、ウチは違います。全部。誰もが『部品』ではありません。色々な人にも会います。技術はもちろん、それ以外の様々なことを知り、世界観が変わると思います」

忙しいが、残業は一切しないポリシーだ。家庭を大事にしながら働いてきた前村氏だけに、そこは徹底している。オフィスは広く、席間も十分。ソーシャルディスタンスは万全だ。一方で「リモートの方がやりやすいから」とずっとリモートのメンバーもおり、一人ひとりの働きやすさを優先している。社内は和やかで、コロナ禍前は度々「ランチツアー」と称して、みんなでご飯を食べることを楽しんでいた（2022年2月時点ではコロナの影響で休止中）。

そんな楽しそうなワールド。前村氏は社員の幸せを最も大事に思い、皆が楽しく働き、成長し、実力や成果に合った充分な報酬を得られる会社であることを心掛けてきた。働く環境は上記の通り。報酬も年に複数回、昇級の機会を設けている。マーケットの拡大に伴い、今後、ワールドへの引き合いはますます増えていくだろう。良好な環境で、沢山の経験を積める同社。成長したい人には打って付けだ。