オンタイムデリバリージャパン株式会社

求人広告代理店の、オンタイムデリバリージャパン株式会社。同社は、新規事業としての自社サービス／プロダクト開発や、クライアントサービスおよび社内業務効率化のためのツール開発を手掛けるエンジニアを求めている。

同社が取り扱う求人メディアは、主に「エン転職」「@type」「doda」「マイナビ転職」といったポータルサイトや、「indeed」「求人ボックス」「CareerJET」といった求人検索エンジン。
さらに、SNSや動画メディアに広告を出稿し、LPに繋げて求人に特化した集客を行うといった新しいアプローチも提供している。

この領域には、数千名体制の大手等、強力な競争相手が存在しているが、東京本社、大阪支社、名古屋支社合わせて約50名と小規模の同社は、次の強みを発揮して成長を続けているところだ。

●業界特化
外食、派遣およびSES、建設、不動産の各業界に特化して営業・提案を行う。その理由を、代表取締役の関口治二郎氏は次のように説明する。
「2017年から本格的に採用を始めたので、メンバーは入社3年未満のローキャリア層が中心です。したがって、業種を絞らないと業界知識の習得のスピードが上がりません。一定の業種に集中特化することで、比較的早く業界の特徴や採用課題が見えてきて、より的確で一定水準の提案が実現しやすくなります」

●徹底した分業制
求人メディアの営業職の業務は、極めて広範に及ぶのが一般的だ。あるメディアの場合、新規開拓先のリストアップやアポ取り、課題のヒアリング、提案書や見積書の作成、プレゼンテーションおよびクロージング、求人広告の取材およびライターへの発注、原稿の提出および修正対応、求人広告掲載後のフォローアップと多岐にわたり、負荷が非常に大きい。
そこで同社の場合は、新規開拓先リストアップを自動化するツールを作成しているほか、アポ取り、新規商談クロージング、提案書作成、見積書作成、取材、スカウトメール作成といった業務を分業化している。

「色々な部署で1社のお客様を支えることで、個人に過剰な負荷がかからない体制にすると共に、業務を専門特化させることで品質向上を図っています。なお、当社はこれらのバリューチェーンごとに日本一のレベルを目指しています」（関口氏）。

例えば、内製による新規開拓先リストアップ自動化ツール。求人サイトの掲載情報が更新されると、その内容をクローリングしてその日のうちに求人ニーズのある企業の情報をピックアップする。「こうしたニーズに特化したサービスもあるが、情報がアップされるまで5日ほどかかる。ここに当社の強みがある」と関口氏は胸を張る。

同社は、2012年6月に関口氏が創業した。

関口氏は、新卒で転職サイト大手のエン・ジャパン株式会社に入社する。「当時から起業を志望しており、同社は求人メディアの営業を通じてあらゆる業種の企業のトップに会え、取材を通じて内情を学べることが大きな魅力だった」とその理由を話す。4年ほど横浜や東京エリアで求人広告の営業に従事の後、営業企画として顧客競合分析に基づいた営業戦略立案を経験する。その間の2008年9月、「リーマン・ショック」が発生する。世界的な金融危機に経済界は震撼し、人材採用は軒並みストップ。求人サイトの業績は65%ダウンという未曽有の危機的状況に陥る。エン・ジャパンも例外ではなかった。

そうした中で、関口氏は営業企画として市場調査を行う中、唯一といっていいほど求人が微減に留まっている業種に着目する。
「外食業界でした。不況でも人は食べずにはいられないので、それほど影響がないのかもしれません。外食業界は好不況にかかわらず常に求人ニーズがあるところに大きな可能性を感じたのです」

エン・ジャパンでは色々学ぶことができ、離れ難さを感じたものの、関口氏は独立を決意。勤務先に仁義を切り、即座に同業を始めることはせず、弁当のデリバリー事業にビジネスチャンスを見出した。「オンタイムデリバリージャパン」という社名はここに由来する。
「Uberが上陸する前にUber的なビジネスをやろうと。しかし、資本金300万円では結局軌道に乗せることはできませんでした」（関口氏）。

そんな時に、SEOの知見を持つグローバルコンサルティングファームのエンジニアと出会い、集客支援ビジネスにピボットする。ここから現在の求人メディアビジネスに繋がり、2015年にエン・ジャパンとのパートナー（代理店）契約となるチャンスをつかむ。
「古巣は『エン転職』のリニューアルと共に代理店の力を必要としていた時期で、喜んでパートナーにならせて頂いた」（関口氏）。

その後、徐々に取り扱いメディアを広げると共に、営業拠点を大阪、名古屋へと展開する。
そんな同社の今後のビジョンについて、関口氏は次のように話す。
「代理店の当社が営業しているのは、他社のプロダクトです。そこで是非、より愛着の持てる自社サービス／プロダクトをつくって大きく育てていきたいと考えています。その暁には、社会的信用を得るためにもIPOを狙います。まずは目の前の既存事業の体制整備が先ではありますが、マンパワーを得て早く次のステップに取り組みたいので、是非力を貸してください！」

2022年1月現在、約50名の社員の平均年齢は28歳。全員を束ねる企業理念は「仕事を通じた人格的成長」だ。その背景や意図について、関口氏は次のように説明する。
「エン・ジャパンの基本理念は『「人間成長（R）」の実現』というもので、自分自身大好きな言葉でした。実際、何も分かっていなかった学生の自分がエン・ジャパンで色々な経験を積み、起業できたと思っています。そこで当社もそんな場にしたいと、この企業理念を掲げることにしました」

なお、企業理念を行動に結び付ける26項目からなる行動指針も制定している。
この企業理念を推進する業務的な切り口として、関口氏は顧客の業績に貢献する営業姿勢を挙げる。
「当社では、キャンペーンや特集といったフックを商談の切り口にしたり、掲載期間延長のお願い、値引といった、いわゆる“箱売り”はカッコ悪いというカルチャーを植え付けています。そうではなく、本質的なお客様の業績向上に貢献するために必要なことは何かということを掘り下げて提案することを徹底して鍛えています」
このために、顧客の課題解決力を強化するセールスプログラムを導入し、社内でロールプレイングやテスト等を行っている。
社内のコミュニケーション強化や一体感の醸成も意識して、2021年に軽井沢に別荘を購入し、年1回全社で大自然のもとワーケーションも行っている。
「メンバーの年齢が近いこともあり、仲はいいと思います。よくメンバー同士で飲みに行ったりしていますね」（関口氏）。

同社が求めるエンジニア像について、関口氏は次のように期待を寄せる。
「当社のエンジニアの鈴木はフルリモート体制ですが、好き嫌い等の個人的な感情を表に出さず粛々と仕事をこなしてくれており、非常に信頼を寄せています。営業等の要望をよく聞いてくれ、内部の状況もよく把握して優先順位を付けてくれます。本人の状況が大変な時は率直にそう伝えてくれるので、こちらも対処しやすいのです。来ていただきたいのは、こんな鈴木のようなエンジニアの方ですね」

新規事業として、自社サービス／プロダクト開発を目指す同社。エンジニアとしてゼロから関われるチャンスは、そうそうないだろう。