経営者としてではなく、プロの掃除人として会社を経営する
「僕がなぜこの会社を創業したか。それは、自分のような“掃除人”の地位が低い、もっと言えば蔑まされている感じがすごくイヤだったからです。掃除の仕事って、実際は多くの人に喜んでもらっている。だからこそ、もうちょっとカッコいい仕事にしたいという思いが強かったんです」
そう語るのは、「世界中をKIREIに!」をビジョンに掲げ、清掃代行サービス『おそうじ革命』の展開により成長を続ける株式会社 KIREI produceの代表取締役社長・福井智明氏。
創業当時は夫婦で会社を切り盛りし、清掃業務は基本的に福井氏が1人で担当していたという。個人事業として清掃業務を請け負う中、その清掃のクオリティの高さから評価され始め、顧客数も増加。それに従って従業員数も増えたが、現場での福井氏の厳しい指導についていけず、人員はなかなか定着しなかったという。
「10人に1人が残るぐらいの状況でしたが、僕はそれでいいと思っていましたし、今考えてもやり方は間違っていなかったと思っています。自分たちの仕事にこだわって厳しく取り組むのは、サービス業としては当然の姿勢。そのときに当社に残ったのは、お掃除をもっと上手にならなければならないという"熱さ"を持ったスタッフたちでした。その熱さがお客様にも伝わり、“こんなに掃除のことを真剣に考えている会社はない”という評価をいただくようになりました」(福井氏)
福井氏が語る掃除へのこだわり。それこそが、掃除サービスを「ビジネス」として展開する大手企業にはない同社の特徴だと言えるだろう。何よりも掃除の品質にこだわり、“ビジネスマン”としてではなく“掃除人”として企業を運営する福井氏の姿勢は、創業当時からフランチャイズ展開を行って現在も変わることはなかった。
「最初は研修を1年半実施して、僕がチェックした上で合格なら独立、という形でした。そのやり方だと独立が難しいので短縮することになりましたが、それでも当社の研修期間は約50日間と、他社に比べても圧倒的に長いです。そのくらい"掃除"に真摯に向き合い、高いクオリティで仕事に取り組んでもらいたいと思っています」(福井氏)