シーアンドアールエム株式会社

シーアンドアールエム株式会社は、ホテル向けのITシステムの開発に特化した会社。ホテルが収益の最大化を実現できるように、システム面でサポートしている。

例えば、CRMシステム。CRM（Customer Relationship Management）は、今やどの業界でもビジネスの常識となっている。CRMシステムは星の数ほども存在し、開発ベンダーはしのぎを削っている。当然、ホテル業界でも様々なCRMが活用されている。そんな中、シーアンドアールエムは、ホテル業界専業のノウハウを生かして独自のCRMシステムを開発・販売している。

「ホテル・宿泊予約管理システム（PMS）やレストランのPOSデータと連動し『良客』を分析して集中管理できるシステムです。宿泊してくれた際にデータを活用した接客をすれば、顧客満足度が上がります。CRMは他社製品が溢れていますが、どの業種にも対応できるCRMより業界に特化したCRMの方が使い勝手がいいです。私は1992年に電機メーカーへ入社して以来、一貫してホテル向けのシステム開発に従事してきました。前職時代には世界初のホテル専業CRMシステムを開発した実績があります」（代表取締役社長・小林武嗣氏）。

CRMシステムと並んで同社の柱となっているのが、RMシステム『UP-NAVI』。RM（レベニューマネジメント）とは、客室予約コントロールのこと。客室数が定まっている宿泊業において、どうやって、そしてどのような顧客で客室を埋めるのかとは重要。この客室予約コントロールを支援するのが『UP-NAVI』の役割だ。

「ホテルは行列を作ることができません。収益を最大化するには、需要予測が必須です。小まめな需要予測で価格を微調整して収益を最大化しています。高いと売れ残り、安いと利益が減る。ホテル経営で最も重要なファクターです。『UP-NAVI』があれば、レベニューマネジメントの専門部署を持たなくても運用できます」（小林氏）。

『UP-NAVI』の発想はCRMを基本にしている。レベニューマネジメントとCRMを融合させ、長期的な視点に立って運用することで、顧客満足重視のホテルでも活用できる。

「当社は、CRMの理念を多くの企業に伝えることを使命としています。CRMの理念は自社で利益を独占することではありません。顧客はもちろん、従業員、取引先企業も含め、自社と関わる全てのステークホルダーと利益を分かち合い、Win‐Winの関係を構築していくためのものです」（小林氏）。

シーアンドアールエムでは、ソリューションの開発だけでなく、コンサルティングも手掛けている。顧客を重視するCRMも、価格をコントロールするレベニューマネジメントも、データ収集して分析し適切な情報を基に判断する。システムを有効活用するには、クライアントである宿泊施設側でもマーケティング理論を理解する必要があるが、ホテル経営のマーケティングにも精通しているシーアンドアールエムの小林氏がコンサルティングから手掛ける。

「CRMシステムとRMシステムは、思想的には相反するものです。CRMシステムは顧客利益を追求し、RMは自社の利益の最大化を目指すもの。RMのコンサルは、思慮もなく客室を高く売ろうとしがちです。RMは収益の最大化が目的。では、収益の最大化は、どの期間を指すのでしょうか？ 1か月後の収益の最大化と、5年後の収益の最大化では、選択する戦略が違ってきます」（小林氏）。

その点でいえば、シーアンドアールエムのコンサルティングは違う。CRMとRM、両方のシステムを手掛けているため、中長期的な視点に立ちながらも、直近の収益最大化を実現できる。

「常連のリピーターとインバウンド客は、宿泊予約のタイミングが異なります。平均的なデータでいえば、リピーターは1～2週間前に予約をしますが、インバウンドは60日前です。レベニューマネジメントでインバウンド向けに高価格で客室を満室にすると、リピーターはそのホテルを利用できなくなります。CRMシステムとRMシステムを両輪で活用すれば、ぞれぞれのニーズに対する最適解が導き出せます」（小林氏）。

シーアンドアールエムのコンサルティングに定評があるのは、小林氏の経歴を見れば一目瞭然といえる。

1992年：大手電機メーカーのグループ会社であるシステムインテグレーターに入社。以降、一貫してホテル業に携わる。
1996年：ホテル運営のコンサルティング会社を創業
1997年：大手電機メーカーとの協業で日本初、大型シティホテル向けPCシステムをリリース。
2003年：日本初のレベニューマネジメントシステムを開発
　　　：世界初のホテル専業CRMシステムを開発・販売
2004年：日本初のインターネット競合分析システムを開発

ホテル業界向けのシステム開発のフロントランナーであり、レベニューマネジメントを日本に広めた人物の一人でもある。

「2012年にマーケティングノウハウをビジネスホテル・旅館向けに展開することを目的に、シーアンドアールエムを設立しました。CRMシステムとRMシステムを同時活用して、短期の収益最大化を図りながら長期的な収益最適化を提唱しているのは、日本でも私ぐらいだと思います」（小林氏）。

東京にあるホテル業界に関する業務知識を取得する専門学校の講師として教壇に立ち、国際ホテル旅館誌に「レベニューマネジメント入門」を連載する等、ホテル経営におけるマーケティングノウハウの普及に努めてきた小林氏。ブライダル産業フェア、宿屋塾、レジャー&サービス産業展等で講演活動をする等、幅広い活動を続けてきた。

2021年10月には、シーアンドアールエムが中心になって動画チャンネルを開設。知る人ぞ知る家族経営の小さな名旅館を紹介していく。

「半分は楽しみ、半分は当社のPRを目的に動画チャンネルを開設します。ホテル業界が厳しい状況に置かれている中で、業界で働く私達にも何かできないかという話でスタート。ホテル業界内で著名な人達が集まって、家族経営の旅館の良さを伝えていきます。当社はこれまで大規模なホテルチェーンをメインのクライアントにしてきましたが、今後は中小規模のホテルや旅館にも、システムの導入そしてマーケティングのサポートを提供していきたいと考えています」（小林氏）。

中小規模のホテルや旅館へのシステム導入を進めるため、プログラマの増員が必要。経験者を中心にエンジニアの採用を始めた。

「ホテル業界のノウハウや人脈に関しては、どこの会社にも負けません。ホテル業界はまだまだIT化が進んでいない業界でもあり、エンジニアが業界知識を身に付ければ、今後、活躍の場が沢山あると思います。当社に溜まったノウハウや長年かけて培った人脈を活用して、ホテル業界のDXを成し遂げるぐらいの気概を持った人材を歓迎します。会社の世代交代も進めて、新しいシーアンドアールエムを牽引してくれるエンジニアを求めています」（小林氏）。

シーアンドアールエムは、人材の採用と育成、管理に関してユニークな方針を取っている。未経験も積極採用。ただし、一芸に秀でた人材。例えば、同社の社員の前職は「先物取引のトレーダー」「医療工学技師」等。エンジニア経験者は少ない。県知事賞を受賞したこともある日本画家が兼業でデザイナーを務めるなど個人の可能性を広げることも視野に入れている。今回のエンジニア経験者の採用においても、スキルよりも成長意欲やそれを持続できるパーソナリティを重視する。

「人材の管理に関しても『自由』をベースにしています。経営者である私は、あれこれと口出ししたくありません。社員がリラックス&集中して働ける環境を整備するのが私の仕事。あとは社員がみんなでルールを作って気持ち良く働けるオフィスにしてもらいと思っています。自分の置かれている状況を理解して、周囲への影響を考えて動ける人材なら、自由に働ける会社を作り上げてくれると信じています」（小林氏）。

ホテル業界の業務知識を学んで、将来、ホテル業界向けのシステムで業界のDX推進にチャレンジしてみたいエンジニアには、是非小林氏と話をしてもらいたい。自らのキャリアが大きく開けるチャンスが待っているかもしれない。