株式会社アカリエ

アカリエは、2014年5月にユニリーバ、ベネッセスタイルケア出身の代表を筆頭に設立された「介護のヒトの手とITテクノロジー」の両輪の企業。2021年には、生み出した新規事業を分社化し、robottte（ロボテ）という会社でHRテック事業を推進。

アカリエの創業事業は介護事業。今も横浜の地で、訪問型の介護事業を３拠点運営している。立ち上げて間もなく、人手不足を痛感し、テクノロジーサイドからの課題解決を図るため、ITの法人向け開発事業をスタート。

2021年現在、採用やバックオフィス業務の自動化プラットフォーム『HRモンスター』、介護士向けエンタメ共感サービス『キモチノリセットボタン』等の新規事業も成長し、二桁％の売上増を入れている。同社では、従来の介護事業にとらわれない、新しい解決策を企画している。法人向けにIT開発や運用サービスもしながら、企画を推進し、超高齢社会の課題解決に力を入れている。


同社が掲げるビジョンは『年齢を重ねながら、幸せに暮らせる社会の実現』。なぜこのようなビジョンを掲げるに至ったのか、同社の今に至る価値基準を紐解きたい。

アカリエの創業のきっかけは、創業者の高橋が２００５年に父親を亡くした時の経験。余命が限られていた中、頼みの綱の医師から「（父親の）治療に協力する理由がありません」と宣言されたり、手術中の執刀医から緊急で呼び出され「膵臓を全てとっても良いか同意してくれ」と言われたり、「限りある命を生きる」という事について『判断』『価値』について考えさせられました。

「『年齢を重ねながら、幸せに暮らせる社会の実現』というのが、シンプルで、自分としてしっくりきたビジョンです。私たちは一刻一刻、年を刻んでいますが、「早く１００歳になりたい」という人は今まで会った事がありません。約２割の方が９０歳以上生きられる時代で、年を重ねる事にもっとポジティブに、例えば「美しさ」等も一律の評価軸ではなく、１００歳の方には１００年分の個性が認められる社会を目指したい。私自身、そういう社会で生きたい、「１００歳になったらいつ死んでも大往生」ではなく、新しい事に挑戦する１００歳でありたい」（創業者　高橋健一氏）


同社が考える、『年齢を重ねながら、幸せに暮らせる社会の実現』とはどんな社会だろうか。年をとってできる事が限られても、生きる「選択肢」を持てる事だ。例えば、生き方の選択肢がA、B、Cとあったら、一番自分らしいAという生き方を選べるということ。「病院にいなくてはいけない（結果自宅では過ごせない）」「ベッドで寝たきり（結果、トイレも自分でいけない）」という状態では、選択肢が非常に限られている。そのために、介護事業も「自立支援型ケアマネジメント（国際医療福祉大学：竹内孝仁教授提唱）に力を入れている。

また、この変化する時代の中、選択肢を維持、或いは増やしていくには、IT利活用が欠かせない。そのために、ITエンジニアの仲間を増やす事で、テクノロジーサイドから問題解決を図る。「介護事業でヒトの手は確かに重要です。しかしながら、ITができる事も沢山あります。例えば、プライバシーの問題など、ヒトの手に煩わされたくない時など、ITだからこその活躍ができます。現在取り組んでいるアクセシビリティ研修等も、高齢者がアクセスしやすい、ITプラットフォームを創っていく、そのために必要な事を技術者に伝えていきたい。」（高橋氏）


同社では、『明るく前向きに、感謝と認め合い、理想への拘り、笑顔で誠実に』というポリシーがある。シンプルな基本姿勢だが、そこに共感できる仲間が、金融業界でもゲーム業界でもなく、これからの未来に必要とされている介護、福祉の業界のエンジニアを増やしたい、という事だ。