PCI DSSに準拠したセキュアなシステム環境を、スピード感を持って開発できる技術力が強み
株式会社ディーエスエス(DSS)は、金融システムを中心にオンプレミス基盤・クラウド基盤におけるセキュアなシステム環境構築やセキュリティを意識したアプリケーション開発から運用・保守まで行うほか、池袋に専用の拠点を設けてMSPサービスも提供するなど、さまざまな事業を展開している。
「当社の設立は2014年ですが、前身時代も含めると、2000年頃からオンプレミス基盤による金融システムの運用、インフラ構築を手掛けるようになり、PCI DSSに準拠したシステム環境構築についても、同基準が策定された2004年当初から取り組んできました」(代表取締役社長・中島敏貴氏)
PCI DSSとは、『Payment Card Industry Data Security Standard』の略で、American ExpressやMasterCard、VISAといった国際カードブランド5社が共同で策定したクレジットカード業界におけるグローバルセキュリティ基準のことだ。クレジットカード会員のデータを安全に取り扱うことを目的として誕生した国際統一基準であるため、外部からの不正アクセスによるリスクを低減できるだけでなく、基準に準拠していると認められることによって会社やサービスの信用・ブランド価値を高めることにもつながる。
カード決済やECなどが広く普及するに従って、クレジットカード会社だけでなく、クレジットカードを扱うさまざまな企業から注目されている基準である。つまり、この基準に準拠したシステム環境構築に関する豊富な経験を持ち、知見やノウハウを蓄積してきたDSS社の大きな武器の一つがセキュリティというわけだ。ただ、金融系システムというと、セキュリティをはじめとした品質の信頼性は高い反面、開発におけるスピード感に欠け、時代のトレンドにそぐわないというイメージを持たれがちだ。しかし、同社にそのイメージはあてはまらないと中島氏は強調する。
「金融の基幹システムだけでなく、複数の決済を一つのQRコードにまとめるマルチ決裁サービスのインフラやアプリケーション開発・改修など、品質とスピード感の両方を求められるプロジェクトも数多く手掛けています。そのため、開発スピードを早めるためCI/CDなどモダンな手法も取り入れながらセキュリティをはじめとした品質をいかに担保するか。この相反する課題に取り組み、結果を出しています」
セキュアなシステム環境構築に関する深い造形を持ち、かつスピード感ある開発にも対応できる。しかも、インフラからアプリケーションまで対応が可能――こういった強みが、DSSがクライアントから選ばれ続けている理由といえる。
AWSを採用した多様な開発案件を手掛け、今後は自社金融サービスの開発も目指す
同社は、クラウド案件にも非常に力を入れている。AWSビジネスパートナーシップを結んでおり、多数のクラウド案件を手掛けているのだ。たとえば、共同印刷の100%子会社であるTOMOWEL Payment Service社とタッグを組み、AWS基盤を採用して法人向けプリペイドサービス『Bizプリカ』のサービス開発を手掛けている。従来、決済システムはオンプレミス環境が中心だったが、Bizプリカではクラウド環境における決裁システムでPCI DSSに準拠することを実現している。ちなみに、TOMOWEL Payment Service社は、あるメディアにおいて今後伸びが期待されるペイメント企業としてメルカリを抑え第2位にランクインした注目の企業である。
「当社が提供しているMSPサービスもそうですし、新型コロナウイルスによって普及が進んでいるリモートワークを支援するサービスにもAWSを活用しています。Amazon Connectを利用してコールセンター業務のテレワーク化を考えているお客さま向けに、自社ツールである『問い合わせ履歴管理システム』を組み合わせて業務効率の高いソリューションを提供するサービスも展開しはじめたところです」(中島氏)
今後は、クラウド受託開発やMSPサービスなどを一層強化していくとともに、PCI DSS準拠支援やPCI DSS監査支援を通じて培ったノウハウをベースにセキュリティ診断サービスの提供も検討している。また、インフラ、アプリ開発に加え、UI/UXデザインやデータ分析に対応できる人材も採用しチームを立ち上げ、ゆくゆくは自社金融サービスの開発・提供も行うFintech企業を目指していくという。
「受託案件だけでは見えてこないものがあります。そこで、自らサービスを手掛ける事業者となることで、事業者にしか分からない知見を蓄積し受託案件にフィードバックすることで、お客さまに提供できる価値を一層高めていく。自社サービスと受託案件の間で、こういった好循環を生み出せれば、今以上にDSSは発展することができるし、今後競争が激しくなる業界にあっても生き残っていける企業へと成長できるはずです。そのためにも、新たな仲間を必要としているのです」(中島氏)
ユーザー企業との直接契約プロジェクトなど、成長機会に恵まれた環境あり
同社の環境は様々な面で成長機会に恵まれている。プロジェクトにはマネージャー、リーダー、担当者というチームで参画するので、分からないことがあっても、誰かに聞くことができる。オンプレミスによるシステム構築経験があり、かつクラウド案件にも実績を持つなど、インフラやアプリ開発における深い知見を有するメンバーがいて、随時、勉強会なども開かれているため、技術的なスキルを磨きやすい。また、取引先は大手SIerやユーザー企業との直接契約であり、企画フェーズから参画するプロジェクトが多いため、いわゆる上流工程から経験を積める環境がある。
「現在、開発チームは全員リモートではありますが、毎朝、朝会を実施しているため、コミュニケーション不足になる心配もありません。また、雰囲気よく仕事に取り組めるよう気を配れるリーダーが多いのも当社の特徴かもしれません。朝会のときもBGMとしてジャズを流して、リラックスした雰囲気を演出したりするのです」(中島氏)
やる気のある社員には、積極的に仕事を任せる文化もある。エンジニアでありながら将来を見据えてマネジメント経験を積めるよう採用や顧客拡大業務を任せている例もあれば、AWSパートナー推進やPCI DSSのコンサルティングに挑戦している例もある。
「好奇心や挑戦心は大歓迎です。自分で範囲を決めてしまって、それしかやらないという人よりも自分の可能性や目標に向かって、枠をはみ出るくらいの気持ちでチャレンジできる人がいいですね。前向きな気持ちをもっている社員には、どんどん挑戦させてあげたいし、外へ出ていっていろいろな経験を積んでほしいと思っています」(中島氏)
新型コロナウイルスの影響でビジネスの世界も不透明感が増している。しかし、そのような時代であっても社会インフラとしての役割が強いFintechは今後、必ず必要とされていく分野であり、さらなる発展が見込める分野でもある。しかも、DSSは10年以上取引が続いているクライアントが多く、強固な信頼関係を構築できているため継続的に引き合いがある。そのため、腰を据えてセキュリティやクラウドなどに取り組んでみたいという人には、仕事に集中できる環境があるといえるだろう。
「スピード感と高品質・セキュリティという両輪を武器に、金融系システムの分野で新しい時代の流れをつくっていきたいと思っています。この思いに共感し、共に頑張ろうと思ってくれる人を待っています」(中島氏)