株式会社magicnumber

株式会社magicnumberは、ビジネスの柱を3つ持っている。そのうちの2つに、広告代理店事業と自社製品の開発販売を行うメーカー事業がある。この2つは密接に絡み合っており、シナジー効果を生み出して、同社の成長を後押ししている。

2012年の創業当初から、magicnumberは広告代理店事業をメインビジネスにしてきた。その中で培ったプロモーション力で自社製品の開発販売に乗り出した。
「広告代理店事業のクライアントに美容系の商材を扱う会社があり、プロモーションや広告運用をサポートするうちに、当社にも美容系商材の知識とプロモーションのノウハウが蓄積していきました。ならばその経験を生かして自社プロダクトを開発し、自ら販売しようと考え、メーカー事業を開始しました」（代表取締役・松本行市氏）

同社の自社製品には、現在2つのブランドがある。プロ仕様のアイテムをお届けするトータルケアブランド「Le ment」 と、赤ちゃんから大人まで、家族全員で使えるFamily cosmeブランド「For fam」だ。

「Le mentは炭酸シャンプーからはじまり、現在は当社の看板商品となっています。ヘアケアと聞けばトリートメントをイメージする人が多いかもしれませんが、頭皮のコンディションが悪いといくらトリートメントをしても髪を美しく保つことはできません。Le mentの炭酸シャンプーは、3日に一度、普段使っているシャンプーの代わりに使うだけで、簡単にヘアケアができる濃密泡タイプの頭皮クレンジング＆ノンシリコンシャンプーです」（CD事業部マネージャー・岩淵あゆみ）

炭酸シャンプーをメインにしたヘアケア商品のブランドであった「Le ment」は、スキンケアやビューティギア（美容家電）へと製品展開を広げ、現在ではシリーズ累計200万個を突破。さらに別ブランド「For fam」も立ち上げ、自社ECサイトや楽天市場、Amazon、Yahoo!ショッピングなど国内主要ネットモールを中心に店舗を構えてEコマース事業も展開している。

「メーカーと代理店を両方している会社は意外と少ないものですが、プロモーションという商品を売るノウハウを持っているなら、自社で商品を開発して販売すれば利益がアップします。広告代理店事業とのシナジー効果もあり、事業の柱が増えることで経営も安定します」（松本氏）

広告代理店事業と自社製品の開発販売を行うメーカー事業のシナジー効果。これこそがmagicnumberの強みだ。

自社製品を開発するベースとなっているのも、広告代理店事業で培ったマーケットとの対話から導き出すユーザーのニーズ。「Le ment」も「For fam」も、技術ありきではなく、ユーザーが求めているものを丁寧にプロダクトに落とし込むことで生まれた。

「広告代理店的な発想で商品を開発しています。マーケットと対話してきた経験から、ユーザーが求めているものを見つけ出し、そのニーズを解決する商品を開発するのは得意です。広告代理店としてマーケットインを突き詰めたプロダクト開発をしています。デイリーシャンプー市場は、資本力のある大手メーカーがしのぎを削っている世界。新規メーカーが参入するのは難しいのですが、ヘアケアにスポット当てた特別なシャンプー、3日に一度のリッチ体験に絞ったことで、大手と競合することを避けています」（松本氏）

広告代理店事業はマーケットとの対話が仕事といえる。ジャストナウで何が求められているか、常にマーケットの反応を見て、プロモーションや広告運用を考える。広告代理店のナレッジを最大限に生かすには、マーケットが何を求めているか探り、それをプロダクトに落とし込んでニーズに応えること。magicnumberの事業戦略は、まったく別の事業を立ち上げるのとは異なり、広告代理店の正常進化といえるかもしれない。

「メーカーになることで、広告代理店事業にもプラスになることがあります。自社の製品で試した広告やプロモーションをその結果と一緒に提案すれば、クライアントが納得してくれます。自社製品を販売するための施策とその結果が、クライアントにとってはエビデンスになります」（松本氏）

さらに、自社製品を販売するためECサイトや商品販売用のサイトをインハウスで作るようになり、クリエイティブ部隊を充実させた結果、クリエイティブエージェンシーとしてWebサイトをはじめ各種クリエイティブの制作も請け負うようになった。これが、同社のビジネスの3つ目の柱である。

「デザインの秀逸さを求めるあまり、ユーザーにとって使いにくかったり、伝えたい情報が伝わらなかったりすると意味がありません。分かりやすく伝えるためにはどうすればいいかを追求することが何よりも大切。Webデザイナーも同じくマーケットインの発想でクリエイティブ制作に臨んでいます」（岩淵氏）

magicnumberは、プロダクト開発でも広告代理店事業でも、マーケットインの発想を大切にしている。それはWeb制作においても同じ。「接客ができるサイト作り」をテーマに、ユーザー目線を徹底するという。加えて、自社プロダクトのプロモーションでは、ブランドイメージのアップも狙っている。

「当社のブランド『Le ment』『For fam』の商品は、ECサイト経由での販売に加え、全国のバラエティショップなどにも卸売展開をしており、Web制作もクリエイティブに力を入れるようになりました。卸売では、商品のイメージ作りがポイントとなるため、ブランドイメージに沿ったクリエイティブを制作できるメンバーも求めています」（松本氏）

magicnumberでのWeb制作は、マーケットインの発想でユーザーのニーズを意識したサイト作りと、ブランドイメージを喚起させるサイト作りという、2つの観点でスキルを高められる。

「magicnumberでのWeb制作は、みんな自分のスキルを生かして、イケてるブランド作りと売れるWeb戦略の両立を目指しています。かっこいいけど売れないプロダクトを作るのではなく、ユーザーのニーズに寄り添って買いたくなるような製品、またはそのためのクリエイティブを意識しています。しかし、かっこよさと購買意欲をそそるWeb戦略のバランスを取るのは難しく、チャレンジしがいのある仕事です」（岩淵氏）

フラットな組織で横のつながりを意識したmagicnumberのワークスタイルは、Web制作も商品開発も広告運用も近い距離感で仕事をしているため、日々のマーケットの反応や商品開発の進行が共有される。プロダクト開発とWebプロモーションと広告戦略が一体となって動く立体的なWeb制作はダイナミズムを感じられるだろう。

「商品開発、クリエイティブ制作、広告運用のすべてをインハウスで賄っているため、マーケティングやプロモーション、商品知識、ビジネスモデルなど、Webに関する総合的なスキルを身に付けることが可能です」（松本氏）

メーカーであり、広告代理店であり、クリエイティブエージェンシーである強みは、メンバーのスキルアップというシナジー効果も生んでいるようだ。縦にも横にもスキルを伸ばす環境が整ったmagicnumberでなら、Web人材としてキャリアアップできる道が待っている。