ハウスバード株式会社

ハウスバード株式会社は、ゲストハウス投資のトータルプロデュース事業を手がける会社だ。住む人がいなくなった戸建て住宅などをゲストハウスとしてよみがえらせることで、「不動産の所有者、宿泊者、地域社会にとってより良い空間」を創造する。会社東京・江東区に本社、京都市中京区に京都事務所を置く。

事業内容は、物件の選定から旅館業免許取得、リノベーションから、ゲストハウスのブランディング、マーケティング、運営まで多岐にわたる。ゲストハウスをプロデュースするビジネスは、訪日観光客向けのホテル不足問題をはじめ、日本全国の空き家問題、さらに、高齢化による過疎化の解消など、地方を創生できるソリューションとして非常にユニークだ。

営業方法は、物件情報を収集・選定するシステムから上がってきた情報をもとに、顧客（主に個人投資家や企業）へ提案営業をおこなうスタイル。個人投資家には、アジア圏の富裕層も多い。事業の主要な収益源は、システム利用料、リノベーションのコンサルティングフィー、運営時の管理委託手数料の3つが柱となっている。

代表取締役社長を務める浅見清夏氏は、青山学院大学の在学中に、上海・復旦大学に留学した経験を持つ。大学卒業後はアクセンチュア株式会社に進み、戦略コンサルティングに従事した。その後、中国で教育系ビジネスを起業し、事業売却を経験。日本に帰国後は産業革新機構に入社し、投資サイドでの勤務経験を持つ。

会社設立は、浅見氏の実体験が動機となった。コンサルティング会社でハードワークな日々を送っていた当時、ふと仕事を離れて訪れた場所で、非日常的で美しいデザインのゲストハウスに宿泊した。そこで浅見氏は、「いかに普段の生活が周囲に振り回されていたか」ということに気づく。「人が幸せに生きるためには、自らを見つめる心豊かな時間を持つことが大切ではないか」。その思いが創業の動機となり、「新しい出会いや非日常を体験できる空間をつくる」という事業に発展していった。

ハウスバードの主な事業は、オーナーから預かった物件の収益化と、設備面の管理だ。不動産に旅館業免許を付与し、1 日単位で貸し出せる家とすることで、不動産の用途を多様化。最終的には、ライフスタイルの自由化を目指す。ターゲットとなる不動産は、戸建て、別荘、古民家などで、これらはホテルや旅館、ペンションなどを比べると運営コストが低いため、高収益を見込める。

強みは、仕入れの目利き、ワンストップサービス、オーダーメイドの3つだ。仕入れの面では、旅館に変更しやすい物件を独自のシステムで選別し、旅館にした場合の収益コストまで予測する。サービス面では、物件紹介、投資分析、コンセプトづくり、デザイン・施工、運営など、施設開発/運営に必要な業務を一貫してサポートする。オーダーメイドの点は、オーナーと楽しみながら物件のブランディングや内装などを決定し、施設づくりをおこなう。

今後の展開予定としては、エリア拡大と商品レパートリー拡充の2軸で進めていく。エリア拡大については、現状、京都、東京、箱根のみの取り扱いから、福島、山梨、軽井沢、日光、熱海、秩父といったリゾートエリアにも拡大していく方針だ。

商品レパートリーの拡充については、ゲストハウスの取得→リノベーションを一気通貫で提供する現状のスタイルから、不動産を購入せずに、借り上げにて賃貸運営のみをおこなうスタイルなどを検討中。また、空き家をゲストハウスに変更する、老朽化した自宅を旅館付きの家にリフォームするといった、リノベーション寄りの提案も進めていく。

「1日単位で誰にでも貸し出せる家づくり」のため、ハウスバードは日々奔走している。このような“家”をつくるためには、不動産・マーケティング・デザイン・建築・施工・運営管理など幅広い知識と経験が必要で、どれ1つ欠かすことはできない。日本では、そのようなことに一気通貫で対応できるチームはとても少ない。だからこそ、ハウスバードはこの分野の第一人者を目指す。

2019年10月時点の従業員数12名（業務委託含む）で、平均年齢は32歳。男女比は5：5の比率だ。代表の浅見氏は現在、子育て中で、出産・育児のために時短勤務をしている女性社員も多数在籍している。産休・育休の前例はまだないものの、その際は個別的に、柔軟に対応してくれると思われる。

新卒・中途の割合は、新卒：中途＝1：9の比率。組織体制は5チーム（営業、マーケティング、設計施工、運営、バックオフィス）で、まだ小さな組織のため、階層はフラットだ。

ミーティングは全員が集まる月一の定例ミーティングがあり、ミッションやビジョンの確認や各チームの振り返り、テーマに沿った発表などがおこなわれる。そのほか、営業ミーティング、建築/運営ミーティング、進捗管理ミーティングが週1ペースで開かれる。

社長との1on1が月2回あり、思いついたことややってみたいことなどがあれば、その場で提案できる。また、全員参加の組織づくりで、誰にとっても働きやすく、キャリアアップにつながる仕事の仕方を、皆で話しあいながら考えている。人材育成では、戦略コンサルティング会社の出身者などマーケティングに強いメンバーが多いこともあり、数値分析に基づいた戦略的な投資や運営を学ぶことができる。

今回の採用は、学歴は高卒以上で、性別や資格は不問だ。志向性としては、創業期ベンチャーならではのカオスを楽しめることが望ましい。これまでに採用されて活躍している人には、戦略コンサル、商社、設計事務所などさまざまなバックグラウンドを持つメンバーがいる。

ハウスバードが大切にしている社風は、「自由と責任」だ。指示された作業をただやるのではなく、やりたいことに裁量を持って取り組む。仕事を自分で生み出していく自由があり、ガチガチに管理されない自由を楽しみながら仕事ができる。そのセットとして、仕事への責任感が求められる。結果にこだわって仕事にコミットしていけば、大きな満足感と成長を実感できる会社だ。