株式会社アオイドス

Web系システム会社である株式会社アオイドスが誕生したのは、2016年6月だった。それから3年程は代表取締役の佐藤匡圭氏とパートナー1人で事業を継続してきたが、今後は人員を増強していき、組織としての体制を徐々に整えていく方向へ舵を切った。

「私を頼りにしてくれる知人やお客様から、色々声をかけていただくのですが、人的リソース不足から仕方なく断らなくてはならないことが増えてきました。現状の人員では、これ以上クライアントへ恩返しする術がなくなってきた――それが、メンバーを増やそうと考えた理由の一つです。もう一つ、これまで以上に幅広い業界のお客様へバリューを提供していきたいという積極的な考えもあります」（佐藤氏）

代表と外部パートナー1人だけの会社に次々と依頼が舞い込むのは、佐藤氏の高いエンジニアリング力が背景にある。CMSの導入やサーバ構築、企画・基本設計からフルスクラッチでのサイト構築、スマホアプリ開発等、これまで手掛けてきたプロジェクトは開発工程、技術領域共に幅が広い。中でも、上流工程での質の高さを評価しているクライアントが多く、依頼の内容も企画や要件定義、基本設計に関するものが大半を占めているという。

「プロジェクトメンバーの一員として参画することもあれば、ほとんど何も決まっていない企画段階から参画してプロジェクトマネージャーを務めることもある等、プロジェクトの規模や内容、その時の状況に応じてお客様が求めるポジションでプロジェクト完遂のために力を尽くしてきました」

また、直接のクライアントはSIerや開発会社だが、エンドユーザーは大手コンビニや電力会社、大手ファッションブランド、投資信託運用会社等、誰もがその名を知っている大手企業が多いのも同社の特徴だ。

「コンビニのプロジェクトは、スマホアプリの企画からリリースまで携わりましたし、投資信託運用会社のプロジェクトはサイトリニューアルの上流工程から参画しています」

佐藤氏は、とあるWEB制作会社で腕を磨いた後、その会社の仲間達とともに起業した。その後、創業メンバーの1人として11年間会社の発展に尽力してきた。

「ただ、少しずつ会社が大きくなり、人が増えていくと、チームの目標管理や部下の育成等、エンジニアとしてモノづくりに向き合う時間が減っていきました。それに、利益を確保することが先にきてしまい、『お客様に満足いただいた結果、利益を得る』という基本から離れていっていると感じるようになっていったのです。これは、私にとってストレスでした」

もっと、自分がやりたいように仕事をしたい、根拠のわからない売り上げ目標が上から指示される状況ではない場所で仕事をしたい。そして何よりも、自分が持っている知識や技術を100％還元して、お客様にバリューを提供したい――そんな思いを実現するために、佐藤氏は、1人で株式会社アオイドスを起業したのだった。

「社名のアオイドスというのは、ギリシャ神話の吟遊詩人のことです。吟遊詩人とは詩曲をつくって各地を訪れ歌い物語っていた人。私達も、様々な業界とお付き合いしていく中で得た経験や知見を、業界の壁とは関係なく、必要とするお客様へ提供していき、喜んでいただきたいという思いを込めています。仕事をするなら、お客様への価値提供を軸にしていきたいと思ったのです」

そんな思いがベースにあるため、急激に会社を大きくしていくようなことは考えていない。まずは社員数5名程を想定し、社員の意識を同じ方向へ向けながら着実に地歩を固めていきたいという。

「増やしても5年間で10名程でしょうか。大規模な会社はイメージしていません。当社の強みは上流工程ですから、そこでしっかりとバリューを出しながら、一歩ずつ成長していければと思っています。事業領域は基本的にWEB系にはなりますが、今後も、そこだけに限定していくと決めているわけではありません。IoT等、機会があれば積極的に挑戦していくつもりです」

株式会社アオイドスは、代表を務める佐藤氏が「単に利益を追求するだけではない」会社にしようと設立された。その考え方は、社員が増えていっても変わることはないという。

「ノルマありきの仕事の仕方はしたくありません。お客様に喜んでもらうために、自分に何ができるのか？　そこを軸に仕事と向き合える環境をつくっていきたいと思っています。働き方についても、当面は常駐が多くなると思いますが、お客様との信頼を築くことができれば、裁量労働制を導入して、ゆくゆくは在宅で仕事をすることも認めていくつもりです」

裁量労働制が機能するには、社員個々人が主体的に仕事に取り組むことが前提となる。そのため、仕事に対する前向きさは大切にしていきたいと佐藤氏は強調する。

「積極的にチャレンジする姿勢や、分からないことを恐れずに取り組める強い気持ち、最後まであきらめない粘り強さを持った人がいい。また、基本的にチームで動き、お互いの力を発揮しながらシナジーを生み出せる関係でありたいと思っているので、気兼ねなく質問できる人だとありがたいですね。私はタメ口でいいと思っているくらいです」

会社のことはオープンにしていきたいと考えているため、面接の段階で就業規則や評価の仕組み等を話す予定だと語る。
「入社してから、思っていたのと違うというのは、お互いにとって不幸だと思うんです。納得して入ってもらえるよう、こちらはありのままのアオイドスについて話すつもりです」

アオイドスは小さい会社だ。しかし、その規模からは想像できないような企業のプロジェクトを手掛けている。しかも、上流工程から参画しているので、大手企業を相手にしたプロジェクトマネジメントやコンサルティングの経験を積むことができるのも魅力だ。

「プロジェクト全体を、俯瞰する立場で仕事がどのように進んでいくのかを見ることができるので、エンジニアだけでなく、デザインやマーケティング等、Web系システム開発の周辺業務まで広く学ぶことができます。このスキルは、間違いなくあなたの市場価値を高めてくれるはずです。将来、独立したいと考えている人も歓迎していますので、当社の考え方に共感できるなら、是非、一度話をしましょう」