自分好みの食材だけが届く「わたし仕様」のこだわり宅配サービス
株式会社ココノミは、パーソナライズ型食材宅配「ココノミ」を運営する神戸市の会社だ。サービスの特徴は、「少量生産者の個性的で高品質な商品」と、「ミレニアルに代表される現代型消費者」とのマッチング。農家の中でも、無農薬やオーガニックなどへのこだわりを持つ新規就農者と、食へのリテラシーが高い都会の消費者を、最適な形でつないでいく。週一回の定期配送を行う、サブスクリプションモデルだ。
市場での位置づけは、基本的には食材宅配市場に入る。ただ、ココノミの場合は生協など既存の食材宅配と異なり、生産者にはオーガニックや無農薬栽培などを志向する小規模農家が多い。大量生産品を主に扱う競合と異なり、顔が見えるつくり手による、農薬・化学肥料不使用の露地栽培の野菜が特徴だ。また、競合が購入履歴などからのレコメンドが中心である中、ココノミは味覚をベースにしたパーソナライズを行う点が、大きな差別化となっている。
売上高は非公開だが、2017年10月のローンチ以降右肩上がりで推移しており、2020年9月に大手不動産デベロッパーである株式会社マリモホールディングスグループのグループ入り。大資本傘下における成長期を迎えることに。スタートアップらしい機動性の高さと、安定した財務基盤の双方を備え事業拡大を目指している。
創業者で取締役を務める石井昭裕氏は、人材系ベンチャー企業で社員数5名→50名のフェーズを主導してきた人物。採用や組織マネジメントはもちろん、顧客視点でのサービス設計にも強みを持つ。ココノミ設立のきっかけは、キャリアチェンジを考える中で、ある農家と出会ったこと。ほうれん草が大好きな石井氏は、都内の某有名デパ地下で、自分が思う最高のほうれん草を買っていた。ところが、その農家に食べさせてもらったほうれん草はケタ違いだった。衝撃を受けた石井氏はその農家に話を聞くと、大手の規格からは外れるため安値でしか買い取ってもらえず、仕方なく道の駅で二束三文で売っているという。石井氏はこの構造に大きな疑問を持ち、綿密な市場調査を経て“勝ち筋”を発見した。
「少量生産者の個性的で高品質な商品」と、「ミレニアルに代表される現代型消費者」とのマッチングができることがサービスの特徴だ。
キャリアチェンジを考える中で、ある農家と出会い、ココノミを設立した。
最も“熱烈な”買い手に届ける“食のパーソナライズ”への挑戦
スーパーなどで購入できる生鮮食品は、多くが大量流通を前提としてつくられたものだ。野菜なら種の種類から種蒔きのタイミング、施肥や農薬散布のタイミング・回数などすべてマニュアルがある。だからこそ安定した品質の野菜を、一年を通して低価格で手に入れることができる。
これはこれで必要な仕組みだが、一方で大手の流通ルートには乗らない、少量生産でつくり手の個性が詰まった野菜も存在する。一般流通品に比べて無農薬やオーガニックなど、より自然志向で、味わいにしっかりとした特徴があり、つくり手の想いやストーリーも見えてくる。まさに現代の消費者が求める野菜だが、流通には多くの壁が存在する。
ココノミは、全国の少量生産者が生み出す野菜・果物の特徴を、社内評価によりスコア化。利用会員の味覚や好みも、独自の診断&学習システムでスコア化している。そのため、人参は〇〇さん、豆腐は××さん、卵は△△さんからと、一品単位で最も好みに合う自然志向品を購入できる。ブランドや認知度にとらわれることなく、最適な商品と商品者をマッチングできるのだ。
ココノミは、オーガニックや無農薬が一般化していく「その先」を見据えた布石も打っている。言い換えれば、「安心・安全」だけではない価値の創出だ。類似する業界を見てもいろいろな方向性が考えられるが、より高付加価値なもの、よりコンセプトや個性が明確なもの、よりストーリが見えやすいものなどが求められるとココノミは分析。この方向性は、「少量生産者の個性的で高品質な商品」というココノミのコンセプトにピタリとハマる。
また、C2C(Consumer to Consumer)が出現し、一部ではその魅力や未来も認知されつつある。とはいえC2Cには課題も多いと感じており、ココノミは「リアルな使い勝手を考えると、レガシーなB2C食材宅配モデルを進化させることが最適解」という仮説を立て、現状モデルに磨きをかけていく方針。また、生活者の味覚情報という唯一無二のデータを取れる強みを活かし、これを用いた新サービスや、利用者の味覚に合わせた商品開発などを進めていく方針だ。著名VCからの支援など、資金的な裏付けもある。
「答えのない問い」に立ち向かう、面白さやワクワク感を大切に
2020年12月時点の人員構成は役員3名(代表取締役は親会社代表が兼任。創業者の石井氏と親会社からの出向者1名が取締役を務める)正社員4名、準社員7名。正社員の平均年齢は30代半ばとなっている。新卒・中途の割合は、中途入社が100%を占める。少人数ということもあり組織はフラットで、スタートアップとしては平均年齢が高めなせいか、社内の雰囲気は落ち着いている印象を受ける。
残業時間は、時期にもよるが長時間労働によるパフォーマンス低下を何よりも嫌うため、極力早く帰ることを推奨している。具体的には、月20~40時間の範囲だ。ミーティングは必要最小限を随時、というスタイルで、社内コミュニケーションにはslackを使用している。主な福利厚生は、各種社会保険完備、交通費支給、昇給年2回、などがある。
これまでに採用されて活躍している人のキャリア例は、スタートアップ経験者や超大手企業出身者など多種多様。大手出身の場合、仕事の進め方や優先順位、考え方などがガラッと変わる部分が多いため、マインドチェンジできるかどうかがポイントとなるだろう。求める人物像は、0→1を好む人、変化を好む人、挑戦が好きな人、そして特に重要なのが事業領域に強い興味があること。
ココノミは、「生産者に光を当てたい」という想いで立ち上げられた会社だ。そのため、「自分たちだけが得をする」や「自分たちにとって楽」などは、厳しく戒めている。しかし、「言うは易し行うは難し」で、生鮮品の流通は想像以上に難度の高いビジネスだと、石井氏は語る。
そんな瞬間、「生産者にとってどうか?」、「お客さんにとってどうか?」、「そもそも何故この事業をやっているのか?」という原理原則に立ち戻れるか否かを、ココノミは大切にしている。石井氏自身、「ココノミはまだまだ進化が必要なサービスだ」と述べている。事業領域に興味を持ち、このフェーズから一緒に取り組みたい人にとっては、最高に面白い仕事ができる会社であることは間違いない。
株式会社 ココノミの社員の声

30代後半
2020年10月入社
そして、まだまだ...続きを読む

30代前半
2019年01月入社

40代前半
2017年07月入社