株式会社Craft Egg

（以下インタビュー）

「人生を豊かにするコンテンツをつくる」というビジョンを掲げ、スマートフォン向けゲームの企画・開発・運営を行っている株式会社Craft Egg。サイバーエージェントグループの一員として、同社が誕生したのは2014年5月。人材系ベンチャー、ゲーム会社勤務を経て、スマホゲームのコンサルティングや開発ディレクションを手がける企業を経営していた現・代表取締役の森川修一氏が、ゲーム会社時代の同僚だった村上徹氏（現・取締役）、近藤裕一郎氏（現・子会社の株式会社Colorful Palette代表）らと共に立ち上げた。

現在同社が主力コンテンツとして提供しているのが、リズム＆アドベンチャーゲーム『バンドリ！ ガールズバンドパーティ！』（以下『ガルパ』）である。『バンドリ！』とは、株式会社ブシロードが中心となってアニメ、ゲーム、コミック、ライブなどメディアミックスで展開している次世代ガールズバンドプロジェクト『BanG Dream!』のこと。『ガルパ』はその世界観を軸にしたスマホゲームとして同社が開発し、2017年3月にリリースした。代表取締役の森川氏は、当時をこう振り返る。

「ゲームのリリース前からブシロードさんに『バンドリ！』のプロモーションを積極的に展開していただいたおかげで、発表時すでに多くの方にこのプロジェクトは知られていました。当時、有名楽曲のカバー曲を無料で遊べるリズムゲームがほとんどなかったこともあり、予想していた以上に良いスタートを切ることができました」

『ガルパ』はリリースと同時に10代、20代を中心とする若い層から圧倒的な支持を受け、最初の1週間でユーザー数は100万人に達する。その後もユーザー数は順調に増加を続け、2017年12月には「Google Play 2017年 ベストゲーム」で、Android用ゲームアプリとして、ユーザー投票部門とアトラクティブ部門の2部門で大賞を受賞した。

この人気コンテンツが生まれた背景には、同社ならではの開発体制があった。それはトップダウンではなく、「みんなでつくる」というやり方だ。ユーザーに何を届けるべきかメンバー一人ひとりが意見を持って、チームで議論しながらより良いコンテンツづくりを目指したのだ。

「設立当初は一人のプロデューサーの指揮のもと制作を進めていました。しかし期待していたほどの成果が出なかったんです。スマホゲームの開発規模は拡大し、作り方も複雑化してきていましたから、誰か一人に依存する作り方には限界があると感じました。そこで考えたのが、様々な役割や強みをもったメンバーがチームとなって開発に取り組む方法です。これこそヒット作品づくりへの近道だと考え、『ガルパ』のプロジェクトから変えていきました」（森川氏）

その後もユーザーを第一に考えた運営を続け、2019年2月には国内ユーザー数はついに900万人を突破する。それに伴って同社も順調に成長を続け、『ガルパ』リリース時には25名程度だった従業員は2019年2月には85名にまで拡大した。

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Craft Eggでは、「ユーザーファースト」「チームワーク」「チャレンジ」「プロ意識」の4つ価値観を「YOLK」と呼んで大切にしている。YOLKとは英語で卵の黄身のこと。いわばCraft Eggの中核とも言える考え方だ。中でも最上流に位置づけているのが、企業や個人の都合よりも、ユーザーがより良い体験をするにはどうしたらいいかを軸に考える「ユーザーファースト」である。人事・総務などバックオフィスを統括している取締役の村上徹氏は次のように語る。

「ユーザーファーストは当たり前の文化になっていて、社風として根付いていますね。例えばデザイナーとプランナーの意見がぶつかった場合、双方がそれぞれの考えを述べた上で、どちらがユーザーファーストか議論します。そして、デザイナーの意見の方がよりユーザーファーストだとなれば、デザイナーの意見が採用されます。判断の基準が明確なので意見が通らなかった方も納得できるのです」

また、最高のコンテンツは最高のチームからしか生まれないという考えから、「チームワーク」も大切にしている。エンジニアチーム、プランナーチームといった一つのセクションや職種だけでなく、組織全体のチームワークが良いのが特徴だ。

「自分はエンジニアだからコードを書く以外のことはやりたくない、といった人はいませんね。例えば今チャットツールの移行を進めていますが、あるエンジニアは全社員への啓蒙活動にも取り組んでくれています。またデザイナーもゲーム開発に伴うデザインだけではなく、半期に一度行う社員総会用の制作物づくりにも積極的に参加してくれます」（村上氏）

セクションの壁を超えてより良い組織づくりを進めていこうという意識が、全社員に浸透しているのだ。2018年夏に有志を募って行った「サニーサイドアップ合宿」では、ゲーム内でリリースする施策を全社員に共有する施策共有会や、セクションの枠を超えてメンバー同士がランチを楽しむシャッフルランチを行おうといった案が出され、実行されるようになった。

もう一つ、同社のカルチャーとして紹介しておきたいのが、社員の多くが自ら携わっている作品やキャラクターに対し、深い愛情を持っていることだ。例えばエンジニアたちは自分が手がけたゲームを徹底的にプレイし、いちファンとしても楽しんでいる。その姿勢はプランナー、シナリオ、デザインなど他のチームのメンバーも同様である。

「やはりみんなが当事者意識を持って開発や運営しているからだと思います。また、多くのお客さまにプレイしていただいているので、SNSで少し検索するだけでたくさんの反応を見ることができます。手応えがあるのでやりがいも感じるし、コンテンツに対する愛情もどんどん深まっていくのではないでしょうか」（村上氏）

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現在同社では、20代前半から30代前半の若手が中心となって活躍している。オフィスがある東京都渋谷区南平台町のビルには、同じくサイバーエージェントグループでゲーム開発などを手がける7つの会社が結集しており、充実した設備の中で快適に仕事に取り組むことができる環境。ゆったりとしたワークスペースをはじめ、メンバー同士が心おきなく意見を出し合えるミーティングスペース、さらには従業員専用のカフェやマッサージルームまで完備している。

また、サイバーエージェントグループならではの充実した福利厚生や休日休暇も魅力の一つ。例えば家賃補助制度では、オフィスの最寄り駅から2駅圏内に住んでいる正社員に対し月3万円、5年以上勤続している正社員に対してはどこに住んでいても月5万円の家賃補助を支給。年間休日は130日以上と、ワークライフバランスを大切にしながら働くことができる。

そんな同社が求めるのは、掲げるビジョンや大切にしている4つの価値観に共感し、当事者意識を持って企業づくり、組織づくりにも積極的に携わる人材だ。

「当社はまだまだ発展途上の会社です。会社の組織も十分ではなく、これから作っていかなければいけません。そのため一緒に会社や組織づくりにも携わっていただく方を歓迎します。また当社が掲げているビジョンや価値観は、これまで何度も失敗を乗り越え、チャレンジしてきた歴史の中で、絶対に大切にしなければいけないと考えて作ったものです。だから、それらに共感していただける方に来ていただきたいですね」（森川氏）

今後は、現在のメインコンテンツである『ガルパ』をさらに多くのユーザーに楽しんでもらうため、引き続き運営に力を入れていくと共に、新規ゲームコンテンツの開発やゲーム以外の新事業を展開していく考えだ。

「私たちは“人生を豊かにするコンテンツをつくる”というビジョンを掲げていますので、ゲームという枠組みにとらわれず、お客様がコンテンツに触れて良かったとか、感動したと言っていただく機会を提供したいですね。これまで進めてきた事業やコンテンツとシナジーを生み出しやすい事業を考えています。新しい事業を作り、そこで活躍した人が、また別のプロジェクトに行ってチャレンジする。そんな循環が、会社が生み出すプロダクトの品質を上げ、アウトプットの質を高めていくと考えていますから、新規事業にも注力していきたいですね」（森川氏）

新コンテンツの開発がスタートした今入社すれば、新作の立ち上げから携わるチャンスもある。ユーザーに「楽しい！」と思ってもらえるコンテンツを手がけたい、意見やアイデアを出しながらチームでものづくりに携わりたい方は、ぜひ検討してほしい企業だ。