東日本大震災での太陽光設置ボランティアが会社設立の契機に

同社は、自然エネルギーを中心とした再生可能エネルギーをより身近で自由に使うための、電力システム関連事業を広く展開する企業だ。

代表取締役社長 CEO 中村 創一郎氏
株式会社Looop(ループ)は、自然エネルギーを中心とした再生可能エネルギーをより身近で自由に使うための、電力関連事業を広く展開する企業だ。
太陽光発電システムの部材開発や販売、設置、運用サービスを行う「ソーラー事業」の他、特別高圧や地熱、バイオマスなど、太陽光発電以外での「電源開発事業」や、同社が持つ再生可能エネルギー設備から作られた電力を小売する「電力事業」という3つが、現在の大きな事業の柱である。エネルギー業界が変化を遂げようとしている中で際立った存在感を発揮する同社は、ビジョン実現の原動力となる新たな仲間を募る。
オフィスを訪ねると、パーテーションなど視界を遮るものがない、緑に溢れた開放的な空間が広がる。社長室や会議室は全面ガラス張りで、とてもオープンな印象だ。2018年初頭に移転したばかりという本社で、創業者であり代表取締役社長である 中村創一郎氏に話を聞いた。
中村氏は中国の大学を卒業後、現地法人での勤務を経て、上海で起業した。レアメタルの取引を行う専門商社を経営していた。
事業は順調で利益も上がっていたが、少しずつ、”金儲け”が目的という仕事にむなしさを感じるようになっていったという。同時に、社会貢献への関心が高まっていった。
「商社の仕事はひとりでも出来るのですが、仲間と一緒にチームで仕事がしたいと思い始めたのも、ちょうどこの頃ですね。」と、中村氏。
そんな時、東日本大震災が発生した。
中村氏は太陽光発電設置のボランティアをするため、すぐに宮城県石巻市へ向かった。
電力や機器について知識も経験もなかった中村氏だが、持ち前のバイタリティーを発揮し、仲間を見つけた。
「電気工事士の資格を持ったタクシー運転手のおじちゃんに出会って”一緒にやろう!”と誘ったりね。今でもその人はうちの社員として活躍していますよ!」と、中村氏は笑う。中村氏が秘めていた仕事と社会貢献への思いが、東日本大震災でのボランティア経験を機に、ひとつの形として結実する。2011年4月に、3名の仲間と共に設立したのが株式会社Looopなのだ。
設立から7年で、日本全国のみならず、世界へも向かう急成長の理由とは?

「ソーラー事業」「電源開発事業」や「電力事業」のこの3つが、現在の大きな事業の柱だ。

電力業界が大きな変化を遂げている中、同社は、独立系再生可能エネルギーのトップカンパニーとして際立った存在感を発揮している。
こうして同社は、石巻でのボランティア経験から、必要な部材をパッケージ化し、お客様自身で設置できる太陽光発電システムを開発する。
部材開発や調達、販売、設置、工事、メンテナンス、電力販売まで、トータルエネルギー事業のサポートが可能になったことで、同社の製品とサービスは、日本全国へと急速に広がっていった。特別な知識や技術がなくとも設置可能で、設備投資や運用コストを低く抑えられる産業用『MY発電所キット』は、2017年度販売件数1,935件、総出力kW数178,277kWという実績で、特別高圧・高圧電力供給の推移も、右肩上がりで増え続けている。
東日本大震災時のボランティア経験がベースになったとはいえ、なぜそれまでとはまったく違う事業領域である電力事業で起業し、設立からわずか7年という期間でここまでの成長を実現できたのだろうか。
「震災により原発事故が起こり、当時の日本は、それまで考えてもみなかった電力不足という不安に直面しました。また、コスト面で見ても、日本は諸外国に比べて実は電気料金が高い。”電気が不自由な国”という流れができつつあった中で、私たちは、世界中に存在し資源枯渇の恐れがなく、且つ環境への負荷が少ないエネルギーとして、再生可能エネルギーが大きな役割を果たすと考えました。」
「日本における電気のコストを下げ、もっと自由に電気を使えるようになったら、環境の問題だけではなく、事業や雇用の創出などの経済効果も期待できます。その結果、日本の国際競争力を高めていける。日本社会に貢献するため、再生可能エネルギーをテーマにした事業展開に着手したのです」(中村氏)。
近年、再生可能エネルギー発電による電気の固定価格買取制度が改正され、再エネを将来的に主力電源化していこうという政策が取られるなど、日本の電力業界を取り巻く環境は大きく変化している。
同社は時流をキャッチし、世の中のニーズに応える新規事業の立ち上げを積極的に行ってきた。さらに、それらのPDCAをスピーディーに回して電力業界の変化に適応することで、他社に先駆けて新規事業を展開する。スピード感を伴った実行力は同社の強みであり、成長要因のひとつだ。
今後の戦略について、中村氏は次のように話す。
「これまでの電力システムが大きくモデルチェンジしている変革期ゆえに、今までになかった課題が生じています。今後、それらの課題をITの力によって解決していくことが必要になってきます」(中村氏)。
電力業界におけるITエンジニアというと、仕事のイメージが湧きづらいかもしれないが、例えば、全国に小規模分散型の発電所が増えれば、新たな蓄電の仕組みが必要になる。クラウド上に蓄積した電力ビッグデータをAIによってコントロールし、効率化をはかるシステムへ活用するなど、アイディアは無限に広がる。
「新しい時代を作ることができる楽しみとワクワク感が、当社で働く最大の魅力です」と、中村氏は力を込める。
「陽」タイプが集う明るい職場。知的好奇心が旺盛でチャレンジが好きな「やり切る」人材求む!

同社の社員はみな、「新しいことが好き」、「知的好奇心が旺盛」、「チャレンジするのが好き」というマインドセットを持っている。

知的好奇心が旺盛でチャレンジが好きな「やり切る」人材を募集している。
社内の雰囲気を尋ねると、「本質で見る文化」という答えが返ってきた。結果と共にプロセスをしっかり見ているので、口先だけでうまいことを言っても通用しないという。会社の急成長に伴って中途入社の社員が大幅に増えたが、その経歴や出身業界はバラバラ。共通するのは、「新しいことが好き」、「知的好奇心が旺盛」、「チャレンジするのが好き」というマインドセットだ。
その上で、「絶対やりきる」というガッツを持っている人が活躍しているという。
中村氏は、そうして力を発揮する社員に報いるためにも、人を大事にして働きやすい職場づくりを常に心掛けている。
「テンションが上がる仕事場にしたいですね。そうして仕事に取り組んで利益が出たら、それをきちんと皆へ分配したい。」と話した。
数名の社員に職場環境について質問したところ、「やりたいことができるし、やらせてもらえる環境」であり、「役員とコミュニケーションが取りやすく、風通しが良い」ため、とても働きやすいという答えが返ってきた。
しかし、常に現状維持をよしとしない中村氏だけに、部署間の関係性については、次のような課題を口にした。
「部署内の仲は良いのですが、部署間でのコミュニケーション不足を感じます。まだまだ少数規模にも関わらず、違う部署のメンバーになると顔は知っていても名前は知らないということがよくあります」(中村氏)。
その解決施策のひとつとして、中村氏は映画チケットを社員に無料で配布し、仲間を誘って観に行くように促しているという。
「このチケット全部自腹なんですよ!結構な額です!皆、わかってるのかな?」と、笑った。
社内の課題からも目をそらさずに、試行錯誤しながら解決策を探る。そんな率直で誠実な中村氏の振る舞いが社員にも伝わり、働きやすい温かな雰囲気に繋がっているのだろう。電力業界が大変革のさなかにあり、揺るがぬビジョンとミッションを持って次のフェーズへと向かう同社には大きな可能性を感じる。もし、同じ思いを抱いたならば、ぜひアクセスして欲しい。
もっと見るexpand_more