自治体、民間企業に対し、ITインフラを主軸としたシステムインテグレーションを提供
株式会社アズネットソリューションは、ITインフラを主軸としたシステムインテグレーションを得意としている。顧客には自治体・財団法人と民間企業の2系統があり、それぞれの既存顧客に対してITインフラを中心とした保守・運用・改善サービスを提供する2チームと新規案件獲得のために動く1チームの計3チーム体制を敷いている。このうち自治体との付き合いは非常に長く、代表取締役の林田裕氏が同社を起業する以前にまでさかのぼるため、およそ20年にもなるという。
「その間、さまざまなニーズにお応えしてきましたが、最近のトレンドはマイナンバー制度に対応したセキュリティ対策です。日本年金機構の情報漏えい事故をきっかけに総務省から各自治体に対して2017年7月までに『情報システム強靭性向上に基づく庁内ネットワークの3分割、および適切な強靭化の実施』が求められました。これに伴い、同一ネットワーク内に設置していたLGWAN(統合行政ネットワーク)への接続系ネットワークとインターネット接続系ネットワークを分離。加えて、二要素認証システムを導入して強力なアクセス制御を施すなど、総務省が求めるセキュリティ基準の未達部分に関するコンサルティングから提案、導入までトータルにサポートしています。すでに総務省が示した期限は過ぎましたが、その後もセキュリティに対するニーズは継続的に発生しており、引き続きお客様が安心してネットワークを利用できるよう、ソリューションを提供し続けていきます」。(林田氏)
このような実績が評価され、近年は県庁のシステムインテグレーション案件に携わることも。ある県では、これも同社が得意としている仮想基盤システム(VMware、Hyper-V)の技術を活かして、130カ所の拠点に物理基盤を配置し、その上に仮想サーバを構築するという大きなプロジェクトに参画した。
一方、民間企業の顧客とは大手アミューズメント系会社で、こちらにはセキュリティゲートウェイサービスを提供。外部攻撃対策や情報漏えい対策まで幅広くカバーした安全なゲートウェイ環境によって、顧客のグループ各社が安心してネットワークを利用できる環境を維持している。
社内検証ラボがあるから技術を高め、顧客への導入時の精度も高められる
アズネットソリューションの強みは、何といっても技術力の高さや幅広さだろう。その自信の一端は、『アズネット(AZNET)=お客様のシステムに関わるAからZまでお手伝いする』という社名にも込められている。
「情報技術が目覚ましい勢いで進歩し、適切な製品を選択することによって低価格で高性能、高機能のシステムを構築できる時代になっています。しかし、ほとんどの利用者は目的を果たすために何をどう組み合わせればいいかわからず、技術提供側も相談業務から運用サポートまでの導入サイクルのうち断片的にしか提供できていないのが現状です。その理由は、系列に縛られた物売り、現場を知らないエンジニア、製品過多による適正製品選択の難しさなど、さまざま考えられます。私たちアズネットソリューションは、このような現状から抜け出し、系列に縛られることなく、さまざまなメーカーの優れた製品を組み合わせ、適正な投資で最大限の効力を発揮するためのシステムを提供します。そのため、ITコンサルティングやシステム提案といった開発工程の最上流から開発、構築、保守などの下流までトータルに携わることにこだわっています」。(林田氏)
自治体の案件では間に大手SIerが入ってはいるが、長年の実績からITコンサルティングとそれに基づく提案段階から同社が行うなど、林田氏が語る通り、上流工程から携わる案件が非常に多い。裏を返せば、それだけ社員一人ひとりの技術力が高いということだ。
とはいえ、日進月歩で進化する技術を吸収し、千差万別ともいえる顧客のニーズに合わせて的確にアウトプットしていくのは容易ではない。しかし、この点についても同社には強みがある。この規模の会社では非常に珍しいのだが、「社内検証ラボ」を持っているのだ。
「さまざまな製品やその組み合わせを実際に触り、検証することができます。社内ラボの段階で失敗を何度も繰り返すことで習熟度や理解度が高まり、技術力が磨かれていきます。さらに、検証によってシステムの精度を高めてからお客様に導入することができるため、バグなどによるトラブルも最小限に抑えることができ、結果的に高い信頼へとつながっているのです」。(林田氏)
三度の飯よりもコンピュータが好き、そんなエンジニアと一緒に次のステージを目指したい
アズネットソリューションには、思い描く未来像がある。それは、「中小企業のお抱えSE」だと林田氏は語る。
「大手企業と中小企業ではIT環境に開きがありすぎると感じています。中小企業には情報システム部門を設置して専門スタッフを置くような余裕がないため仕方ない側面もありますが、これからのビジネスや効率的な社内環境の整備ではITを無視することはできません。そこで、私たちがITに関する悩みにお応えする"何でも屋"の役割を果たしたいと考えています。その手始めとして、セキュリティ関連のパッケージ製品を開発し月額固定でサービスを提供するビジネスの立ち上げを進めているところです。また、中小企業の場合、自社でITインフラを整えるのにも限界があるため、クラウドサービスも検討中です」。
サービスの充実だけでなく、民間企業との取引拡大に向けて、営業部門の立ち上げも予定している。同社はまさに、次なるステップへ踏み出そうとしている段階にある。そのためにも、新たな人材を仲間に迎えたいのだと林田氏は続ける。
「技術を武器にするからには、大前提としてITやコンピュータが好きで、日々、変化する技術を追いかけることを楽しめることが重要です。加えて、お客様のニーズを把握し、その期待に応えることが仕事ですから、お客様の潜在的な要望を引き出し、気持ちよくソリューションを活用してもらえるよう、コミュニケーションも楽しめる人がいいですね」。
同社では、入社した社員は最初に自分が使うパソコンを予算10万円で自作することになっている。それは「自分が使いやすい道具は、自分が一番よく知っているから」という考えに基づいているらしいが、同時に、パソコン好きの度合いを図るテストも兼ねているようだ。
「実は、自社サーバも自作したもので、既製品を購入するよりも3分の1程度の予算ですみました。私は、技術は触って覚えるものだと思っています。だから、パソコンも自作してもらいますし、社内に検証ラボもつくっているのです。こんな環境を『これぞ、求めていた職場だ!』と感じられるコンピュータ好きと一緒に、次なる階段を上っていきたいと思います」。(林田氏)