ヒット作の後追いでは意味がない。私たちが作るものが「1本目」であり定番にしたい!
株式会社フィラメントは「ゲームの力で、世の中をすこし明るく。」というビジョンを掲げて、スマートフォン向けのゲームやソフトウェアを作り出しているエンタテインメントコンテンツ開発企業だ。ゲーム業界で豊富な経験を積んだメンバーが集い、2012年に同社を設立。順調な成長を続けて6期目を迎えた。設立当初から変わらず持ち続けるのは、「まだ世にないものを生み出す」という強い思い。徹底してオリジナリティーにこだわっている。幅広いユーザを楽しませる作品を共に作り出していく新たな仲間を募る。
「この世界にまだ存在していない面白いものを自分たちで作りたい。そして、それを定番と呼ばれるぐらい広がるものにしたいのです」と力を込めて語るのは、代表取締役社長の池尻大作氏だ。
池尻氏は大学卒業後、エンタテインメント産業に携わりたいと株式会社セガ・エンタープライゼスに入社する。家庭用ゲームソフトウェアの開発進行管理業務を中心に、マーケティングや販売支援などの業務を通じて、ゲーム業界でのキャリアを幅広く積んでいった。その後、株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメントへ転じ、PS2『みんなのGOLF3』から同シリーズのプロデュースを担当。シリーズ累計販売本数全世界1400万本越えというヒット作品を手がける。
「両社での仕事は楽しかったです。会社に不満があったわけでもありません。ただ長年、家庭用ゲームソフトウェアの制作に携わる中で、ハードウェアに捉われずに作ってみたいという思いを少しずつ抱くようになっていきました」。(池尻氏)
元々、起業する気はなかったという。「自分にはサラリーマンが向いていると思っていましたから」と、池尻氏は笑う。それでも仲間を誘い会社を設立したのには、前述の理由の他にもうひとつの思いがあった。それは、現在のゲーム業界を取り巻く状況の変化とも関係している。コンシューマゲーム機や電子デバイスの進化は、加速し続けている。それに比例して、ゲームの開発規模もどんどん大きくなっている。
「20~30人のチームで開発していた時代から、海外では200~300人体制で数年をかけるような規模になってきている。より精密に、より大規模なゲーム開発の場合、ひとりのスタッフが担当する部分は、どうしても専門性が高く狭くなりがちです。開発費用も桁違いです。それも一つの流れではありますが、少人数のチームで、もっと短いサイクルで制作していきたいと思いました」。(池尻氏)
オリジナリティーにこだわる同社は、短いスパンや少人数チームでの開発スタイルが独自のアイディアをスピーディーに反映しやすいと考えたのだ。
「ヒット作の後追いでは意味がありません。“私たちが1本目”という誰も見たことのないゲームを作り出したいのです」。(池尻氏)
設立時から決して変わることのない同社の思いだ。
ゲーム以外でもエンタメ要素を取り入れたソフトウェア制作がフィラメントの強み。企画立案からリリース、運営まで一貫して手がける
同社のこだわりが反映されている制作物の実績を見ていこう。代表作である iOS/Android向け『口先番長』シリーズは、しりとり格闘ゲームという今までになかったジャンルの作品だ。日本人にとって親しみのあるしりとり遊びとゲーム好きにとって魅力的な格闘の要素を掛け合わせたこの作品は、映画やアニメ、マンガ、アートなど多彩なジャンルの中から優れた作品を選ぶ「文化庁メディア芸術祭」において2年連続で審査委員会推薦作品に選出された。
また、事業領域はゲームだけにとどまらない。テレビアプリケーションや教育用のソフトウェアなど、ゲーム制作のノウハウを活かして事業領域を拡げている。TV視聴・録画アプリケーション『torne』シリーズ、進研ゼミ会員専用ソフト『地理×歴史でつながる地球儀』といった多彩なインタラクティブコンテンツを手がけている。
「エンタメ要素を入れたソフトを作れる会社というのは実は少なくて、ここがわれわれの強みです。ゲームという主軸は今後も変わりませんが、面白いツールやソフトの企画・制作にも一層力を入れていくつもりです」。(池尻氏)
同社はパブリッシャーからの依頼を受けて制作を行う受託開発であるが、言われるがまま作るわけではない。同社から企画提案を行って、採用された作品の開発を行うというスタイルだ。従って、企画書を作るところから始まり開発、リリース、運営運用までを一貫して体験することが出来る。ゲームの開発工程全体に関われるのが、同社でのやりがいのひとつだろう。
「少人数チームにこだわっていることもあり、自分の職域以外にも興味がある人には面白いんじゃないでしょうか?デザイナーでありながら、プランナーへアイディアを出すといったことが日常的に行われています」と池尻氏。
型にはまらず、自由な発想でゲーム制作を行ってみたい、という人には最適な環境だ。また、業界歴が少ない人にとっては様々な経験を積めるので、成長スピードの早さを実感できるだろう。
職域を越えてアイディアを出し合う。和気あいあいとした中で一丸となり制作を行う風土
同社のビジョンは、オフィスレイアウトや社風にもよく表れている。セクションを越えての意見交換をしやすくするため、パーティションを取り払い全員が近い位置で業務を進める。1人1人のワークスペースも広く取られ、個々の能力を発揮するために必要なソフトウェアや高いスペックの機材を揃えている。リフレッシュスペースではゲーム機はもちろん、VR機器など最新機材が導入されている。ミネラルウォーターとコーヒーは飲み放題。お菓子の食べ放題も社員に好評だ。
「臨時で来てもらったスタッフに、”仲が良いですね”とよく言われます(笑)和やかな雰囲気にはなっていますかね。誕生日のスタッフがいたらケーキを買ってきて、皆でお祝いしてます」。(池尻氏)
和気あいあいとしながらも、ポジションを越えて意見を言い合える風土だ。活発なコミュニケーションや、ふとした会話の中から出たアイディアをすぐに試していける環境だと、池尻氏は言葉を続ける。
どんな人に入社してもらいたいのだろうか?率直に聞くと、「少人数でのモノ作りをしたい人、アイディアを反映させて自分の作品を作りたい人にマッチしていると思います」と、池尻氏は答えた。ゲームに限らず、枠に捉われないオリジナルな面白さを追及していきたいと同社は考えている。受託開発を行う同社には、エンタメ要素を入れたゲーム以外のソフトウェア制作などの依頼もあるという。強みや実績に対して業界内から高く評価されているのがわかる。
「これから参画してもらう人には、ベンチャーならではの成功体験をしてもらいたいですね。ヒットを出して多額のインセンティブを得るというのもひとつ。貢献に対しては、適正な評価と報酬としてフィードバックしていきたいと思います」。(池尻氏)
自分が主となり、チームで同じ方向へ進む。株式会社フィラメントは、そんな一体感を味わえる企業だ。