車載インフォテイメントシステム(IVI)/の組み込み開発に特化/自社製品に向けR&D事業を開設!
車載インフォテイメントシステムとモバイルシステムの組み込み開発に特化し、100%自社内での受託開発にこだわって手がけている、ブライソン株式会社。顧客は自動車メーカー、車載器メーカー、ナビコアソフト、通信キャリア、スマホセットメーカーで、いずれも基本的にTier1である。機密性の極めて高い先行開発や研究所から依頼される案件も自社内で行っている。社員数約40名という規模でこうしたステイタスを得ている企業は稀であり、同社の技術力や信頼性の何よりの証明といえるだろう。
クルマの世界では、インターネットへの常時接続機能を備えた“コネクティッドカー”の開発が進んでいる。その中心の存在になりつつあるのは、“車載インフォテイメント”とも呼ばれる次世代車載情報通信システム(IVIシステム:In-Vehicle Infotainment system)。運転席のダッシュボードに組み込まれたヘッドユニットのディスプレイにナビゲーションや動画などを表示するというものだが、最近の例では、ガソリン残量から走行ルートにおける最適な給油スタンドを割り出して表示するといった進化を見せている。さらに、運転中でも車載ディスプレイで安全にスマートフォンを操作できる「Apple CarPlay」など、“スマホ連携”が進展。IVIとモバイルシステムの双方に特化し技術力を深めている同社は、まさに“車載×モバイル”を最も得意としているのだ。
例えば「Apple CarPlay」においては、各自動車メーカーの車載インフォテイメントシステムに搭載されているOS上で動作するソフトウェアを開発。「Apple CarPlay」対応3rdパーティー製ミドルウェア/デバイスドライバをターゲットOSで動作させるため、ミドルウェアやデバイスドライバのポーティングや製品仕様と標準規格/通信規格との合わせ込みを実施し、MFi認証の事前試験および取得まで一括して対応している。標準規格/通信規格を策定している海外メーカーや海外ベンダーとの打合せや仕様確認などは、機能や規格/仕様を理解しているエンジニアが英語で電話会議やメールによる円滑なコミュニケーションを行って進めている。
モバイルシステムにおいては、スマホのHOMEアプリ開発における、タッチパネルをフリックした時のスピード感や滑らかさといったUI/UX制御をはじめ、数々の機能開発を手掛ける。スマホのOSバージョンや搭載されるチップが更新されると、以前のソフトウェアでは動かないことがほとんど。そこを同社はまず動かせるようにして、顧客が求める機能実現に近づけ製品として落ち着かせていくといった、“ちょっと先”の技術を取り込んだ開発を得意としている。
「進化スピードの速いモバイルシステムを常にキャッチアップすることで、連携が進む車載インフォテイメントシステムの最新機能にいち早く対応できることが強みとなっており、『新しいモノはブライソンに』と指名していただけるまでになってきました」と代表取締役社長の橋満士郎氏は語る。
研究開発部門を立ち上げ、自社製品開発も始動し、顧客製品開発と両輪で
システム開発を手掛ける上場企業の子会社で社長を務めていた橋満氏は、自らの考えで経営したいと、2011年6月に100%自己資本でブライソンを設立する。前職でモバイルシステム開発を手掛けていたこともあり、まずは同じ領域でスタートした。
「スマホの開発は下火になりつつあったものの、スマホそのもののニーズは強いものがありました。そこで、今後の発展分野としてスマホとの連携が進むであろうIVIに着目しました」と、橋満氏は創業当初から当時登場したばかりの車載インフォテイメントシステムを手がけた経緯を話す。
AndroidをメインのOSとして取り組むことに決め、ある自動車メーカー向けの初のAndroidOS搭載車載インフォテイメントシステム開発の受注に成功する。
「以来、多くのお客様の案件において、上流のシステム設計フェーズから携わるようになりました」。(橋満氏)
開発プロジェクトが終了すると、開発プロセスで生じた不具合の原因究明や改善策の検討を手厚く行って次に活かしている。
また2017年よりR&D事業部を発足させ、車載オープンソースの世界的なコンソーシアムであるAGL(Automotive GradeLinux)や新たなスマホ連携として注目されているSDL(SmartDeviceLink)のコンソーシアムにはゴールド会員として加盟し、試作やプロタイプを数多くリリースしている。
同社は、SESや客先常駐といった対応は一切取らず、全工程の開発を自社内で行い、“完成品”に仕上げて納品している。「ソフトウェアではあるが、まさに製造業の意識」と橋満氏。
「何十万台のクルマに搭載されて出荷されるわけですから、不具合を出すわけにはいきません。仕様通りに機能が正常に動く品質を担保する責務を担っています」
(橋満氏)
目下、クルマを巡っては自動運転が大きなテーマとなっており、連日のようにその進捗状況が報道されている。
「自動運転が進めば、車内における時間の使い方が大きく変わり、車載インフォテイメントへのニーズが高まります。当社の技術を用いて、”あたらしい”モノを実現するために常に”頼られる”存在でありたい」と橋満氏。
今後も、基本的にこの方向性を追求していく。
プロジェクトごとのチーム開発でコミュニケーションを重視する風土
同社では、エンジニアを主体とする約40名のメンバーが、横浜と広島の拠点に分かれて開発を行っている。開発スタイルの特長は、プロジェクトごとのチーム開発であること。
「個人では人に依存してしまい、観点も一つだけとなり、かつエンジニアも孤独となってしまう」と橋満氏はその理由を語る。
特にプロジェクト内におけるコミュニケーションを重視している。
「問題解決の根本は“会話”することです。一人で悩んだり抱え込まず、問題があればまず”相談”する。状況を”連絡”、結果を”報告”するという“相連報”を徹底しています。当社では、思ったことを口に出さないのは“悪”であるとはっきり言っています」。(橋満氏)
このため、ミーティングも協力会社さん含め必ず全員揃って行っている。
ビジネスシーンでも利用されることが増えてきたチャットツールである「ChatWork」も活用や拠点間電話も内線化に対応しているが、できるだけフェイス・トゥ・フェイスのコミュニケーションを促進。広島オフィスともテレビ会議システムをつないで顔を合わせる。このため「社内は一般的なシステム開発会社より会話(話し声)が多い」と橋満氏。
さらに横の連携も重視し、顧客にとっては1回言えば関係者全員に伝わる仕組みをつくっている。「この点は、手戻りや無駄な作業、生産性の観点でも重要でお客様からも評価していただいております」。(橋満氏)
福利厚生面では、人間ドックの費用を社員本人だけでなく扶養家族に対しても会社が負担している。橋満氏はその理由を次のように言う。
「家族のいる社員は家族のために働いています。扶養家族の健康は社員にとって重要なことです。であれば会社として負担するのが自然なかたち」また、プロジェクトの打ち上げや年度末、新人の歓迎会などさまざまなタイミングで行う飲み会もすべて会社負担だ。
同社が求める人材は、個人ではなくチームで開発したい人、自社オフィスで同じ目的、同じ温度感で開発したい人、そして一緒に苦労もして成長したい人。
「SESや客先常駐を手掛けているシステム開発会社は非常に多くありますが、全社員が自社内というお互いがよく見える環境で同じ製品開発、同じ目標で業務を行うことで初めて一体感が持て、切磋琢磨も可能になると思っています。当社は、お客様の信頼と実績に基づいて、すべて自社オフィスで開発しています。そんな環境で仕事をしたいと考える方にアクセスしてもらえれば」と橋満氏。
ブライソン 株式会社の社員の声

30代後半
2012年04月入社

30代後半
2012年02月入社

30代後半
2011年08月入社