株式会社そると

株式会社そるとは、日本最大級の長期インターンシップ情報サイト「ゼロワンインターン」を運営する会社だ。代表取締役を務める大塚祐輔氏は、2007年に早稲田大学社会科学部を卒業すると、株式会社リクルートに新卒で入社。HR領域（現・株式会社リクルートキャリア）で300社以上のアルバイト・インターンシップ・新卒・中途採用支援に取り組んできた。約7年の勤務後、ベンチャー企業に移り役員として約2年勤務し、2015年6月に株式会社そるとを設立した。

起業のきっかけは、そのリクルート時代での経験にある。クライアント企業の採用支援活動を通じて多くの就活生と接し、大学生の多くが「自分が何をやりたいか分からない」「志望企業の仕事内容や事業内容でさえ十分に理解していない」という状況を知った。それが入社後ミスマッチに繋がり、結果として多くの新卒社員が早期退職している。このミスマッチは新入社員にとってはもちろん、受け入れる企業にとっても辛いもの。日本では大卒の新卒社員の約3割が3年以内に離職しており、この数字は過去30年間ずっと変わっていない。

大塚氏は、日本の新卒採用が長年抱えるこの問題に対して、長期インターンシップの普及により、解決を図るという。長期インターンシップを通じて社会経験を積むことで、大学生は本当に自分がやりたいことを見つけ、かつ企業を見極める目を就活前に養う。
大塚氏は、「入社後ミスマッチによる不幸を日本からなくす」という思いを、起業理由の一つ目に挙げる。

もう一つの起業理由は、全国の中小企業やベンチャー企業、地方の地場産業の魅力を、大学生に知ってもらいたいという想いだ。中小企業やベンチャー企業の中には、大企業に負けない魅力的な企業がたくさんある。それはなにも首都圏だけに限らない。地方にも魅力的な企業は多数ある。日本の企業の99％が中小企業だが、その中小企業群を第一志望とする大学生はごくわずか。

大塚氏は、長期インターンシップを全国に普及させることで、中小企業やベンチャー企業、地方の企業の魅力を大学生が知る機会を作る狙いだ。

大塚氏は「社会経験がない大学生が、社会に出てやりたい仕事が見つからないのは当然なことだと思う」と語る。だからこそ、「とにかくまず経験することが大事」そのための仕組みが長期インターンシップだという。

株式会社そるとが開発・運営している長期インターンシップ求人情報サイト『ゼロワンインターン』取引企業数は1,700社超に上り、掲載求人数は2,700案件を超える。現在、長期インターンシップ募集サイトは大小含めて30以上あるが、『ゼロワンインターン』の掲載求人数は、日本最大級の規模を誇るまでに急成長している。

将来のビジョンとしては、「機会の地域格差是正」に向けた全国展開を目指す。首都圏中心に集中している長期インターン受け入れ先企業を全国に広げ、どの地域の学生であっても、長期インターンシップを体験できるようにしていく。

『ゼロワンインターン』は、1日～1週間程度の職場体験型の短期インターンは取り扱わない。実務経験を伴う1カ月以上の長期インターンのみを扱っている。短期インターンシップでは、十分に仕事理解をすることができず、入社後ミスマッチの解消の手段として不十分だと考えているためだ。

長期インターンを通じて、大学生のキャリア観形成のサポートを行うことはもちろん、日本経済成長のカギを握る中小・ベンチャー企業の魅力を、学生に知ってもらうことも目的の一つに置いている。就職先として中小・ベンチャー企業を就職志望先にあげる学生の割合は少ないが、長期インターンシップ先として見たときに、業全般を経験できる機会の多い中小企業・ベンチャー企業は学生からも人気が高いという。長期インターンが、中小・ベンチャー企業が自社の魅力を学生にPRすることができる貴重な場になっている。

短期間で日本を代表するインターンサイトに成長した『ゼロワンインターン』だが、意外にもマーケット内のシェアはあまり意識していないという。「入社後のミスマッチをなくし、全国の新卒社員が仕事にやりがいを持てる」という初心を忘れず、あくまで狙うは市場の拡大。「ゼロワンインターン」を通じ、新卒採用を行う全国の10万社と、300万人以上いる全大学生が長期インターンを経験できる社会をつくることが理想形だ。

会社設立以来、少人数で事業運営していた株式会社そるとだったが、事業拡大に伴い、採用活動を開始した。

20代後半〜30代前半のメンバーが中心となり、何でも言い合える風通しのいい社風が特徴。年齢や役職に一切関係なく、言いたいことを言い合える雰囲気を大切にし、手を上げた者にはどんどんチャンスが回ってくる。

業務の進め方についても、社員の自主性を重視し、クリエイティブな発想をつぶさないことに重点を置く。営業職の場合なら、営業の売上結果には口を出さない。エンジニアの場合も、業務進行のプロセスについては自由に進めてもらう。一番大切な、「就活やインターンに悩む大学生・就活生にとって本当に役立つ情報メディアを目指す」という理念さえ共有していれば、成果や品質は自然に向上し、働く側も自信と誇りを持つことができるという好循環を実現している。

2020年3月、コロナ禍を機に完全リモートワークに移行。既存メンバーは、東京・群馬・静岡・大阪・兵庫・大分と全国各地に散らばっている。全国どこでも好きな場所で働くことができるのが特徴だ。東京・神奈川・大阪に拠点を持つシェアオフィスを契約しているため、希望者は気分転換にオフィスを利用することもできる。

面接では一方的な質問面接ではなく、お互いに仕事への想いや人生への考えなどを十分に話し合い、一緒に働いていける「同志」を集めていくというスタイル。面接官と応募者というより、もっとフラットなコミュニケーションを重視し、面接者が「一緒に働きたい」と思っても必ずメンバー全員との顔合わせを行い、お互いに仲間として働きたいと思えるかを、改めて確認する場を用意している。「現在の新卒市場に対して、一言物申したい」という人にとって、とてもエキサイティングな職場であることは間違いない。