労働人口が減少する日本に、新たな働く機会を創出する仕組みを作る
株式会社アイ・グローは、リワード事業(O2Oマーケティング、自社メディア運営)を中心に事業を展開するベンチャー企業だ。設立は2010年で、同年に大学生インターンシップ事業を開始。2012年に美容モニター事業を始動すると、にわかに業界の注目を集めた。
事業の詳細は、(1)女性の美を応援する美容モニター事業、(2)女子力の有効活用を図る女子力活性クラウドソーシング事業、(3)女性の副業を支援するアフィリエイトプロバイダー事業など、女性関連の事業が目を引く。時間や場所に関係なく、女性が輝きながら働ける場所を提供する仕組みを創出する事業内容が特色だ。
会社設立の背景には、日本の労働力減少の改善に向け、新たなワークスタイルを提案したいという理念がある。設立当初は、大学生に早期就業の機会を創造するインターンシップ事業が中心で、ここで得たノウハウをベースに新卒採用コンサルティング事業を立ち上げた。大学生向け事業は順調に拡大し、新たな事業展開の一環として女性にターゲットを変更。女性の所得をいかにUPさせるかを考えた結果として、美容モニターによる所得向上の仕組みを生み出した。
美容に興味のある女性が、安心・安全にモニターに取り組めることに注力した結果、さらに業容は拡大。今後のビジョンとしては、女子力を活かしたクラウドソーシングを立ち上げ、美容モニター以外にも女性が所得を“リアルな方法で”得ることができるさまざまな仕組みをつくっていく。その一つがアフィリエイトプロバイダー事業で、ネットで所得を上げる仕組みを創出し、新たなワークスタイルのもとで女性が活躍できる場を拡大していく事業を進めていく。
「生の声」を強みに、女性が安全・安心に報酬を得られるインフラをつくる
中心となる事業は(1)美容モニター事業で、美容や健康、ライフスタイルに関するモニター調査(覆面調査)のサイトを運営している。例えば、行ったことのないエステや美容院へ予約を入れたい、あるいは、新しい化粧品を試してみたい。このような場合、具体的な情報がないため躊躇してしまうのが普通だ。アイ・グローはWEB上でモニター希望者を募集し、サービスや商品を実際に体験してもらう。モニターは実体験をもとにした事後報告をすることで報酬を獲得。美容関連企業やサロンにとっても、新規顧客の獲得やユーザーの生の声を知ることができるメリットがある。同社が運営するサイトは、2017年5月28日現在、会員数30万人、月間PV300万を集める人気サイトに急成長した。
(2)女子力活性クラウドソーシング事業は、アイ・グローの新サービスとして今期中のスタートが計画されている。CtoCビジネスとして、女子力を売り買いできる新たなスタイルのマーケットプレイスを構築していく。(3)アフィリエイトプロバイダー事業は、女性が使いやすい“成功報酬型”アドネットワークを展開する。
主な取引先には、GMOメディア株式会社や株式会社セレス、株式会社ネットマーケティング、株式会社ファンコミュニケーションズなど、大手インターネット広告/マーケティング企業が名を連ねる。売上高は非公開だが、2期連続で120%増という順調な成長ぶり。モニター業界の拡大傾向も、同社の成長を後押ししている。美容モニター業界トップクラスの企業として、市場での優位性を確立している。
この優位性のカギを握るのが、リアルとネットを融合させた独自の戦略だ。モニターが安心・安全に働ける環境を整備することでモニターのクオリティーを担保し、新規事業の展開を通じて30万人の会員に新たなワークスタイルを提供。ほかに展開する事業とのシナジー効果も得られるよう、会員や顧客にとってのバリューアップを推進していく。
残業は短く休みも十分にとれる体制を確立し、さらなる働きやすい職場を追求
働くスタッフの平均年齢は28歳で、男女比は男:女=1:9。圧倒的に女性が多く、美容や健康に興味を持つ若いメンバーが中心の華やかな職場だ。新卒・中途の割合は、新卒:中途=1:9。ここ1年間の離職率は約8%で、女性中心の職場としては定着率は比較的高めだ。女性の役職者は6名在籍し、全体役職者の約3分の2の割合。産休や育休の取得実績は現時点ではないが、積極的な取得を推奨している。
月平均の残業平均は30時間ほどで比較的少なめ。社内行事としては定例ミーティングが週1回、「月納会」が月1回、そのほか、全社員が集まる総会とキックオフが半年に1回開催される。社内イベントは月1回のペースで行われ、ハロウィンやクリスマスなど季節のイベントや、気心の知れた人同士でバーベキューや海に行くなどの機会もある。参加率は80%ほどで、都合が悪ければ遠慮なく辞退することも可能だ。
商品やサービスそのものの開発ではなく、「仕組み」づくりを重視するアイ・グローでは、顧客ターゲットの明確化や、潜在的脅威・競合の意識といったマーケティングの基本に加え、「何をするかではなく、誰とするか」を働き方のキーコンセプトとしている。圧倒的なクオリティーを実現するためには、どのような思考プロセスが求められるか。つまり、ゴールから遡って現在の行動を決め、積極的に改善しながら試行を繰り返し、現状に満足せず向上心を持って仕事に取り組む前向きさが重視される。
とはいえ、成果重視の体育会系の社風ではなく、女性中心の職場ならではの和気あいあいとした雰囲気が特徴だ。組織もフラットで、スタッフ同士、部署同志のコミュニケーションもスムーズ。労働条件の向上や労働環境の改善に積極的に取り組んでいるのも、優秀な女性に長く活躍してほしいという姿勢の表れの一つだ。新規事業の案件も数多くスタンバイしており、サービスの質を高めることで自らの市場価値を高めていきたい人には、すんなり溶け込める風土がある。
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