株式会社シェア

株式会社シェアは、WEBを活用して、小企業や小規模店舗のビジネス成長をサポートする企業である。2007年4月の創業以来、大阪を拠点とし、堅実な経営によって持続的な成長を遂げてきた。2017年2月にはさらに飛躍を果たすため、東京事業部を開設し、2020年2月には九州事業部を開設。

核となる事業は、地域密着型のビジネスを展開する企業や店舗に対するWEBを使った集客支援サービスを提供するWEBコンサルティング事業である。営業からWEBサイトの初期構築、SEO/MEOなどを含めたマーケティング、納品後の更新業務まで一貫して社内で手掛けている。特に工務店など建築業界での実績が豊富だ。大量の案件をスピーディにこなしつつ、確実に成果を生み出すために、自社のノウハウを凝縮したテンプレートを開発する他、工程ごとに独自のメソッドを確立し、チーム制で業務を進める。

訪問からの受注率は約7割にも達する。受注後は、営業が取材をし、その取材内容をもとにディレクターチームがディレクションを行う。そして、テクニカルチームがデザイン、コーディングを行い納品へと至る。

代表取締役の大黒 誠二氏が、自社の強みを次のように説明する。
「弊社のお客様の多くは、自社の強みを把握していません。お客様の強みをしっかりと掘り起こして、WEBサイトで発信し、ビジネス成果につなげていく。そのノウハウを持っていることが強みです」（大黒氏）

同社が求めるビジネス成果は一過性のものではない。納品後も継続して成果が出せるよう運用に重きを置き、顧客には手厚いサポートを提供する。それは更新チームが顧客から依頼を受けた作業を行うだけではなく、営業マンが定期的に顧客とコンタクトを取る。同社同様に地域密着型の小規模事業者を対象とするWEB制作会社は数多く存在するが、サポートに注力し、顧客のビジネス成果にコミットする競合の数は決して多くはない。「作ってからの勝負」だと大黒氏は、常々社員に言い聞かせる。

同社では営業が販売するだけではなく、専門のサポートチームを社内に設け、顧客のニーズや時期ごとの課題に応じた提案を行いながら、顧客とともにビジネス成果を追い求める。

このようにして営業とサポートチームが連携して個々の顧客と長期的な関係性を築いていることが、結果として同社の持続的な成長を支えているのである。

代表を務める大黒氏は、全国に拠点を構える通信機器の販売会社にて営業として実績を積み、志を共有する仲間3名とともに独立し起業した。

前職の会社には新規部署の立ち上げメンバーとして入社。大阪だけではなく東京や名古屋にて営業経験を積み、最終的には100名のスタッフを抱える大阪支店長としてマネジメントにも携わった。現在、メイン事業として手掛けるWEBコンサルティングのノウハウは、その支店長時代に培ったものだ。

前職の会社では、通信機器の販売を主事業としつつ、周辺の領域も次々と事業化していた。その中にWEBコンサルティング事業部も含まれていた。WEBコンサルティング事業は当時、その会社の中でも特に成長が著しく、最も大規模な部門に成長していた。大黒氏は支店長として全部門のマネジメントに携わる中で、WEB分野のビジネスの可能性を実感した。その経緯があり、自身のキャリアの次のステップとして起業することを決意した際には、事業ドメインとして迷わずWEB領域を選択した。そして、それまでに蓄積したノウハウをもとに、現在の事業モデルを構築していったのである。

前職時代の仲間と起業した際に掲げたのが「価値を共有する」という経営理念だ。顧客が求める価値を共有し、その価値を提供するために何をすべきかを考えて実行する。その理念に沿って、コツコツと他社がかけないような手間をかけることで、個々の顧客からの信頼関係を築いてきた。
「サポートに力を入れているとご紹介をいただく機会も増えますし、長期的な契約に結びつきます。また競合他社に乗り換えられるというリスクも最小限に抑えることができます」（大黒氏）

経営者仲間から「手堅い経営」と評される通り、急成長を狙うのではなく、足元を固めながら堅実な経営を行ってきた。その結果、17年間で社員数は120名を超え、関西・関東・九州と各エリアで安定的に収益を得る地盤を築くことができた。

現在同社では、WEBサイトの新規制作案件が増えている状況である。社内の作業では追い付かないほどだが、営業エリアが拡大していることで、今後はさらに増え続ける見込みである。その状況に対応するため、制作に関わるコーダーおよびデザイナーの補強を急ぐ。

シェア社が順調に売上を伸ばしている理由は、管理職への権限移譲である。方向性を示すのはトップである大黒氏の役割だ。その上で実際の行動を起こすフェーズでは、マネージャー層にどんどん権限を与えていく。権限があると管理者層が力を持ち、強権を振るって退職者を出すこともあるが、同社では真逆の結果で出ている。同社の離職率は非常に低く、数か月の試用期間を経て入社した社員からは、この17年間、ほとんど退職を出していない。その最大の理由は目標管理にある。

「弊社ではチームと個人の目標を明確に数値化して設定し、その目標をしっかりと追わせます。そしてその数値への到達度によって評価します。お客様のサポート業務では、例えば更新依頼を受け付けたら3日以内に完了するという基準を設け、その基準から漏れる割合を何％以内にしなさいという風に数値化しています。目標を達成すれば、その人のスキルは必ず上がります。また、目標を達成した喜びをしっかり味合うことが、仕事に対して前向きに取り組む原動力となるのです」（大黒氏）

さらに、チームの目標と、その中での個人の目標をしっかり設定することで、チームリーダーとチームメンバーのコミュニケーションは増える。一緒に取り組まなければ、チームも個人も目標を達成することができない。上司と部下とのコミュニケーションが増えることで、お互いに悩みやストレスをため込むリスクは減る。それも離職者を出さない大きな理由となってきた。

全社員を対象としたマナー研修や、チームリーダーを対象とするマネジメント研修、さらに技術分野ではではSEOのコンサルティングなど外部の専門家から学ぶ機会も豊富に用意されている。「目標を追う楽しさ」を身に着ける環境は整っている。人間力を高めるとともに、いずれはマネジメント業務につきたいと意欲を燃やす人材が力を試すには申し分のない会社だ。