大手企業からの一次受けがメイン。自社製品の開発にも力を入れる
2005年3月の設立以来、システム開発、システムコンサルティング、パッケージソフト開発などを手掛けてきたタオソフトウェア株式会社。そんな同社は、業界内では「Androidに強い会社」として広く知られている。
「リーマンショックで仕事が減ってしまった時に、『何か強みを持とう』と考えました。当時、Androidが流行り始めだったのですが、海外に比べて日本は情報がまだまだ少なく、情報発信しているところもほとんどなかったんです。たまたまAndroidに精通した技術者が社内にいたこともあり、ならば我々が情報発信していこうと始めました」(代表取締役・谷口岳氏)
海外の文献を調べ、積極的にブログで情報発信したり、講演やセミナーなどを開いてAndroidにまつわる様々な情報を提供し続けてきた同社。そんな取り組みは評判を呼び、『Androidに強い会社』と評されるまでに時間はかからなかったという。
「それまでは二次受け、三次受けの受託開発が中心でしたが、以降は大手企業との直接取り引きが増えました。利益率も上がって、事業は順調に推移しています」(谷口氏)
受託開発と並行して取り組み始めたのが、自社製品の開発だ。「市場を気にしすぎることなく、自分たちが作りたいものを作っている」と谷口氏は言うが、主にツール系のアプリを数多くリリース。最近ではVR関連の製品にもチャレンジしている。その中から大きく育ったのが、Androidアプリケーションの脆弱性を診断するウェブサービス「RiskFinder」だ。
「2012年に『Android Security 安全なアプリケーションを作成するために』というAndroidのセキュリティ本を出したのですが、それを機にセキュリティに関する仕事が増えました。書籍を出し、さらに『RiskFinder』の開発・販売を行ったのですが、そこに追随する企業が出てきていないのが現状です。現在はAndroidだけでなくiOSも扱っており、広くセキュリティの領域で強みを発揮できている唯一無二の会社として評価いただけています」(谷口氏)
アプリ開発からサーバーサイドまでを手掛け、セリュリティ対策も含めたビッグデータ解析に強み
同社が設立された背景には、一つの思いがあったという。それは、「世の中のプロジェクトの失敗率が高い事への疑問」だ。
「初期メンバーの2人ともエンジニアとしてキャリアを積んできましたが、当時から『プロジェクトの成功率は50%以下』というのが定説でした。そこに大きな疑問を感じていたんです。イチ社員としてハンドリングできる範囲はたかが知れていますし、いろいろと学習してみても実現できないことが多く、結局行き詰まってしまう。だったら、自分たちの責任のもとでハンドリングできる環境をつくろうと、会社を立ち上げたんです」(谷口氏)
結果、同社がこれまでに手掛けてきたプロジェクトは、成功率100%。納期遅れなどなく、クライアントのニーズにかなった開発を真摯に行ってきた。「ちゃんと勉強して、自分たちのできる仕事をしっかりやる。クライアントとのコミュニケーションをしっかりとる。当たり前のことを当たり前にやっただけ」と谷口氏は語るが、こうした思いがベースにあるからこそ、クライアントからは大きな信頼を勝ち得ているという。そこが、同社の一番の強みかもしれない。
「強みという部分で言えば、Androidに強いとう評判のおかげで、Androidが好きな人が集まるようになり、結果として情報も集まるようになっています。ただAndroidのアプリを作るだけでなく、サーバーサイドから丸っと作れることで、セキュリティも意識したような大規模案件を任される機会が増えています」
実際、NTTドコモが運営する「ドコモスピードテスト」という端末の速度を測れるアプリは、同社が管理から保守まで全てを手掛けている。膨大な通信量を取り扱う、かなりの大型案件だ。
「この実績を評価され、複数の巨大なデータを受け取って解析するような案件で声がかかることが増えています。また、AWSを積極的に使っているのですが、様々な新サービスをクライアント側に提案できる立場にあることもうちの強みだと思います。クライアント側だけでなく、サーバー側の知識もあるため、両側から見られること、どんなふうにインターフェイスを切ればいいのかといったような、かなりいろいろなチャレンジもできる環境です」(取締役・井澤正道氏)
直近5年の離職率ゼロ。ほぼ全員が有休消化し、残業もほぼない「働きやすい職場」
前述したように、Androidに強みを持ちつつも、現在はiOSも扱っており、今後はそうしたメンバーについても強化していこうと考えている。
「iOSでいえば、今ならコアメンバーになれると思います。プロジェクトを仕切っていってもらいたいと考えています」(井澤氏)
今後の同社の方向性を伺うと、引き続き「セキュリティ領域」には力をいれていくと谷口氏は力強く語る。
「今の大きな流れは、セキュリティであってもサイバーセキュリティのような国家的プロジェクトが主流です。またオリンピックを控える中、軍事産業的なセキュリティにも注目が集まっています。しかし、既に普及率が100%を超えるくらいみんなが持っている携帯電話のセキュリティは、本来最もやらないといけないはずのところなんです。なのにプレイヤーがいない。だから、強みを持っているうちがやろうと考えています」(谷口)
セキュリティ領域における課題ははっきりしてる。ズバリ人手不足だ。
「ですから、セキュリティに興味のある人であれば、今ならチャンスがあるんです。セキュリティというものの特性上、基本的にはずっと追い続けなくてはいけませんから、興味があって、自分でいろいろと調べることが苦でない人は、ぜひチャレンジしてほしいです」(井澤氏)
働きやすい環境づくりには、特に力を入れている。経営方針として全社的な仕事量をコントロールし、無理な仕事量を抱えないような配慮がなされている。納期前の忙しい時期に残業が発生することは仕方がないが、基本的に月2時間以内で、月の残業時間が20時間を超えることはほぼないという。
「しかも、ほぼ全員が有休を全て消化しています。もちろん休日出勤などほとんどありませんし、女性社員で産休・育休を取得したメンバーもいます。プライベートを充実してもらいたいと考えているからなのか、既婚率もすごく高いんです」(谷口氏)
しかも、ここ5年間を振り返っても、離職者はゼロ。いかに働きやすい職場かがおわかりだろう。
「設備面でも、毎日座る椅子はこだわったものを用意しています。ディスプレイもダブル、トリプルなどの要望があれば整えます。また、できるだけ新しいものに触れてもらいたいという思いがあり、端末補助という福利厚生を用意しています。年に3万円まで、携帯電話の機種交換のための補助を出しています。あらゆる面で、仕事に打ち込める環境をできる限り用意したいと思っています」(井澤氏)
「3Kとか4Kとか言われたり、デスマが当たり前だとか、そういうふうに見られがちな業界ですが、そうじゃないところもあるんです。せっかくこの業界で働くんだから、しっかり勉強してやりたいことを思いっきりやって、やりがいや生きがいを持てるような環境を提供したい。そんなふうに思っていますから、ぜひ一緒に働きましょう」(谷口氏)