有限会社キックモグ

豊富な実績で培った技術力を強みに、大規模なシステム開発を行ってきたのが、キックモグ。それまでもエンジニアとして活躍してきた代表取締役社長の小倉敦史氏が中心となり、2000年4月に設立された。

ウェブのフロントエンドまわりの業務が中心で、実績としては、大手家電量販店のECサイトの開発がメインとなっている。設立当初、当時はまだほとんど一般的ではなかったオークションサイトの開発を手がけることで信頼を得、さらにガラケー専門の公式サイトの開発、商品検索エンジン、さらにPC版・スマホ版のウェブサイトやアプリ版の開発業務全般まで任されることで、業務の幅を拡げてきた。

「私たち自身では、正直なところ、どこが強みで、何を評価されているのかはあまり意識していません。お客様が真に求めるもものを、私たちの技術力で実現し、喜んでいただきたい。その気持ちの積み重ねで今に至ります。自分たちはベンチャーだと考える以前に、まずは請負の開発会社として、きちんとしたアウトプットをしていこうと、真摯に仕事に取り組んでいます」（小倉氏）

ECサイト以外では、ネットワーク技術者向けのLMSや、その技術を流用した教育現場向けのLMSなどの開発も行っている。現在は協力会社のスタッフにも力を借りながら現状の業務量をこなしているが、中途入社のエンジニアを中心に構成された15名の社員たちだけでは手が足りず、今回の人材募集に至った。

自分たちの仕事を謙虚に語る小倉氏だが、ものづくりに対する思いは強いものがある。

「お客様がやりたいことをすべて聞き、それを実現していくのが我々の役割だと考えています。そこでは、開発者一人ひとりが全能の神となり、現実の一部を仮想化して実現していくという気持ちで作業にあたっています。我々が提示した世界がお客様にとっていいものであれば、評価していただける。しかし、何かしらいびつな発想で作ってしまったものは、なかなか評価は得にくい。だから、お客様の求めるものを確認しながら、同時に客観性は常に意識して開発業務にあたっているんです」

こうした仕事への取り組み姿勢、ものづくりへのこだわりは、アーティストというよりは「職人」に近いと言えるだろう。

「うちの社員たちのレベルは、そこそこ高いと思いますよ。きちんと見て採用していますし、合わないと思ったら、言葉は悪いが”切ってしまう”こともありますから」（小倉氏）

そうしたものづくりに対するこだわりと、クライアントのニーズに常に真摯でいる姿勢が、キックモグらしさであり、多くの技術者の関心を集める理由といえるかもしれない。

採用基準について小倉氏は、「スキルがメイン」と語る。

「自社で作ったオリジナルのペーパーテストを全員にやってもらっています。コンピュータの設計とプログラミングについての問題があるのですが、その解答を通じて応募者の知識量やベースとなるスキルの確認を行っています。そのうえで、指示待ちではなく”能動的”に動ける人かどうかを見て、採用を決めています」（小倉氏）

現在活躍している社員の背景は、意外にもコンピュータの開発分野に特化してきた人は少ないという。とはいえ、自動車関連や金融業界など、何かしらの開発やものづくりに関わった人がほとんど。あえてそういう人を採用してきたわけではなく、「単純に要領よく仕事ができそうだと感じる人を選ぶと、そういう人が多くなってしまったんです（笑）」ということだ。

平均年齢は若く、社内は活気にあふれている。もちろん黙々と業務はこなす一方で、全員が同じサイトの開発を担っていることからも、「こうした方がいいのでは」「新たにこんなことをやってみた」などという会話も飛び交っている。

「新しいメンバーによる新しい風が、社内の活性化だけでなく、ダイナミズムの面でもいい影響を及ぼしてくれるのではないかと、楽しみにしているんです」（小倉氏）

少なくとも、誰もが知る大手クライアントの大規模システム案件に携われることは、大きなやりがいになるのは間違いない。ものづくりに対してこだわりを持ちながら、職人仕事を全うしたいと考えるエンジニアにとっては、活躍の場が大きいのではないだろうか。