クラウドに特化。クラウドインテグレーションと自社製品開発事業で成長するベンチャー
現在、クラウド市場は活況を呈しており、新規プレイヤーの参入が相次いでいる。MM総研(東京都港区)が2014年11月に発表した資料によると、企業の新規システム構築におけるクラウドの検討が8割へと進み、「クラウドファースト」の浸透が明らかになり、クラウド市場は2015年度には1兆円を超える見込み、さらに2018年度は2013年度比2.9倍の1兆8,000億円規模まで拡大すると予測する。
2006年に設立された株式会社テラスカイはクラウドという言葉がこの世に存在する前から、このような時代が到来することを予見し、一貫してクラウドコンピューティングのビジネスに専念し、成長してきた会社だ。同社の事業の柱は、以下の2事業である。
創業から今日までの主軸事業は、クラウドに特化したSI事業だ。企業がSalesforceやAmazon Web Services等のクラウドサービスを社内に導入するにあたり、クライアントごとのニーズに合わせたカスタマイズを行い、導入を支援する。特に同社は設立以来セールスフォース・ドットコムのコンサルティングパートナーとして導入・普及に取り組んできており、その導入実績は2000件以上を数える。この数字は、他のコンサルティングパートナー各社が公表する数字と比較してみても国内最多だ。
一方、現在急伸している事業は自社製品・サービスの企画・開発・販売を行う製品開発事業だ。
4大クラウドサービス(Salesforce、Amazon Web services、Google Apps、Windows Azure)などと社内の基幹システム間のシステム連携やクラウドサービス同士のデータ連携を、ユーザー自身がクラウド上で簡単に設定できるクラウドサービス『SkyOnDemand』、その連携機能をオンプレミスで提供するパッケージ製品『DCSpider』、ドラッグ&ドロップでSalesforceの画面を簡単に作成できるクラウドサービス『SkyVisualEditor』の3つが主力プロダクトである。
いずれもSI事業で培ったノウハウを基に企画開発された経緯から、ユーザーのニーズに的確にマッチし、特に『SkyVisualEditor』は 2010年9月に提供を開始して以来、国内50万ユーザー以上に利用されている。
黎明期からクラウド市場を牽引。北米市場での製品販売を本格化
創業者である代表取締役社長・佐藤秀哉氏は、米国セールスフォース・ドットコム社の日本法人立ち上げに参画した国内クラウドコンピューティングの第一人者。
テラスカイ社は、セールスフォース・ドットコム社時代に確信した新しいビジネスモデルを実現すべく立ち上げた。その成長ぶりは目覚ましく、現在の取引先は1000社にも上る。2010年には、NTTソフトウェア社と資本・業務提携に関する契約を締結。2011年度は売上高前年比100%成長を達成している。
同社の特徴は、SI事業と製品開発の両輪だ。多くの案件をこなすSI事業で知見をため、自社の製品開発に活かす。自社製品を活用して、SI案件の効率をあげ短期間、低コストで提供する。この相乗効果で両事業を高め合っている。それを実現するのは、テラスカイの製品が専門知識がなくてもシステム連携やUI設計ができる、ユーザー主導型のITを実現するツールであるためだ。多種多様なクラウドサービスが生まれ、複数のシステムをクラウドで運用する企業が増える中、クラウドがもたらすITの革新をビジネスに活かすには、このようなツールが必要になると同社は考えている。
国内のみならずグローバル展開も始動しており、すでに2012年には北米にて『SkyVisualEditor』の販売開始。
クラウド業界は秒進分歩のスピードで進化。業界の変化を間近に見ることが出来る環境
佐藤氏は、現在、そして今後のクラウド業界について次のように語る。
「現在、BtoB市場におけるコンピュータ利用のパラダイムシフトが起きています。その一丁目一番地がクラウドです。市場が伸びる時には色々な会社が参入してきて、色々なものを試しており、実に多種多様なサービスが爆発的に生まれていますが、あと3年か5年後には成熟期に入って淘汰が始まり、生き残るものが決まります。その時に私たちは業界をリードできるよう、さらに差別化を進め、技術優位性を確立して行きたいと考えています」(佐藤氏)
このような業界にあって、特に黎明期から業界をリードする立場として事業を展開してきた同社では、クラウドの最新事例や技術に触れる機会が非常に多い。様々な人々や企業の想いを体現した製品やサービスに触れ、業界の変化を間近に見ることが出来る。それはまさにエンジニアにとってのダイナミズムだ。
また、市場を牽引するポジションで様々な情報に触れ、その中で生まれてくるアイデアを試すことが出来る環境も魅力的だ。同社ではマネージャーであろうと入社したての一般社員であろうと、自分が関わっているプロジェクトに関して誰もが同じ目線で意見を述べることが出来る。例えば、自社製品の開発において、ある機能に関する議論をする時でも、全員が輪になって自由に意見を交わす。そのような環境の中、エンジニアとしての感性が磨かれていくのである。
「クラウド業界は日進月歩どころか秒進分歩のスピードで進化を遂げている業界です。そんな中で弊社が個々の社員、ことエンジニアに求めることは、自ら成長しようとする意欲です。エンジニアは立ち止まった瞬間にどんどん遅れて行きます。周り以上のスピードで進化しなければ、その人の成長はありません。社員の成長がなければ、会社の強さもどんどん失われます。個々に強いエンジニアが集ってチームとして機能する。それが強い会社を作る秘訣だと考えています」(佐藤氏)
今まさに革命期。ベンチャー企業こそがイノベーションが起こせる
だからこそ同社では社員が成長しようとする姿勢を後押しする環境作りに努める。先ほどの自由にものを言える雰囲気づくりもその一環だが、資格取得や社内外の勉強会への参加を、積極的に支援している。その結果、たとえばセールスフォース・ドットコム社の認定コンサルタントや認定デベロッパーの資格取得者は国内トップクラスであり、同社の技術者層の厚さを表す数字である。黎明期からクラウドコンピューティングに携わって来たメンバーが多数在籍することも、新しく参画したメンバーの成長を後押ししている。
今までなかった斬新な技術が突然出てくることは滅多にない。新しい技術や製品は、既にあるものの問題点を改善するために生まれくる。新しいサービスが出てきた時、その製品がどのような背景で生まれたのかを見切れる能力が大事でありそれは感性として培われる、と佐藤氏は語る。
「まさに現在、IT業界は革命期を迎えています。このような革命期こそ、我々のようなベンチャー企業がイノベーションを起こし台頭するチャンスです。そのために必要なのが、新しい技術に対する好奇心を失わず、面白そうだから試してみる、調べてみるという気持ちや感覚を持ち続けられる人材です。必要な情報と不要な情報を瞬時に判断する能力を磨き、新たなテクノロジーに対して常にアンテナを立てて追いかけていける。そのようなエンジニアたちと一緒に仕事がしたいと考えています」(佐藤氏)
同社には巨大なSI企業でも経験出来ないような大きな仕事が出来るチャンスが溢れている。若いうちからプロジェクトを自分で回す体験も出来る。勿論、その分大きな責任がのしかかることもあるだろう。だが、技術に対する好奇心を失わず、力を発揮する場を求めて悶々として来たようなエンジニアがいるとするなら、テラスカイ社は、ぜひともチャレンジして欲しい会社だ。