「ネット型総合リユース」「ネット型総合レンタル」事業の急成長を実現させているシステム構築力
“リユース×IT”。伸び盛りの両フィールドを掛け合わせた「ネット型総合リユース」というオンリーワンのビジネスを展開する、株式会社マーケットエンタープライズ。社名の由来は「市場創出」。この全く新しい成長業態を創出したことで、2007年6月期の設立初年度から現在に至るまで、毎年急成長を続けている。こうした先見性や実績が高く評価され、同社は「Yahoo!JAPAN Best Store Awards」において8年連続受賞を記録、そして2017年度にはついに総合グランプリを獲得するなど数々の賞にも輝いている。
また、事業拡大に伴い2012年に大阪、2013年に名古屋、横浜、2014年に福岡、2015年に埼玉、神戸、2016年に仙台、2017年には東京で2拠点目となる西東京(府中市)、札幌と物流の拠点を次々と展開している。
ビジネス面においては、2015年に価値ある商品とともに「安心」と「真心」のお届けを実現させるリユース品の買取・販売サービス「ReRe」をスタート。そして、2017年には「所有」と「シェア」に続く第3の選択肢としてWebで完結する総合宅配レンタルサービス「ReReレンタル」をリリース。
同社は今後益々発展するリユース業界において、リユース先進国である日本の物を大切にするリユース文化を大切にしながら、この選択肢の多い時代にあらゆる商品の最適化、及び、価値の再定義化を提案する企業として、日本全国へ、世界へとフィールドを広げ、「業界を牽引する企業」から、「業界を代表する企業」へと大きく成長していくことを目指している。
2006年に同社を創業した代表取締役の小林泰士氏は、使い捨てカメラに組み込まれた使用済み乾電池がまだ十分使える状態で廃棄されていることを知る。これを回収し販売することにビジネスチャンスを見出したことが同社の原点だ。「収益性以上に、『販売すればするほど不用品がなくなる』という循環がすごく嬉しかった。お客様は安く購入でき、当社は収益が上がり、環境に貢献できる。“Win=Win=Win”の関係が築けた」と小林氏は述懐する。その後、出店料を無料にしてスポンサーを募るという新発想のフリーマーケット事業も創出し、36都道府県でのべ850回以上のイベントを開催するまで成長させた(この事業は2013年に譲渡し、成長著しい「ネット型総合リユース」事業にリソースを集中させる)。
そして、この「ネット型総合リユース」事業の急成長を実現させているのが、自社で独自開発を手がけるシステム構築力なのである。「一つの目標とするAmazonも自社開発を行っています。エンドユーザーと接する現場の声をタイムリーにシステムに反映させてサービスレベルを高めたり、翌日配送やコスト削減、スムーズな拠点展開などを実現させて競争力を高めるには、システムの自社開発は必須です。ここを当社の生命線として、システム部門の強化に力を入れています」とCTOでシステムデザイン本部長の丸尾光兵氏は力を込める。
同社は、創業以来「Win=Winの関係が築ける商売を展開し、商売を心から楽しむ主体者集団であり続ける」を企業理念に掲げ、事業に取り組み続けている。そして、「スピードにこだわれ!速度には最も重要な価値がある」「変化を恐れるな!常に現状に満足せず、挑戦し続けよ」といった行動指針からなる「ME10箇条」を制定し、ミーティングや社内報などあらゆる場で徹底して浸透を図ってきた。こうして、「社員各自が主体的に働くことを、自ら求め、実行している組織」をつくり上げている。これが同社の最大の強みかもしれない。
学生時代からビジネスを始め、一度ベンチャーに入社した後、23才で同社を起業、現在に至る
自らの技術で“商売”の現場を常に改善、変革していく手応えや喜び
同社が運営する「ネット型総合リユース」のビジネスモデルは、“C to B to C”。
大まかな流れは、自社買取サイト『高く売れるドットコム』を見たエンドユーザーが売りたい品物を同社に持ち込むと、同社が査定を行い、価格を売り手が合意した上で買い取り、販売サイトの『ReRe』に出品する、というものだ。この“B”の部分に様々な工程がある。その作業をできるだけシステム化することで、全体的にオペレーションの標準化・迅速化を実現しているのである。
「例えば、高級ブランドバッグなどは真贋や使用度合いなどを見極めることが重要ですが、それは専門ノウハウを身につけたプロのスタッフが一つひとつチェックするしかありません。一方、コモディティ品は型番やスペックなど定型的なチェックポイントがあり、それによって査定価格が自動的に決まります。こうしたデータを蓄積し検索できるようにすることで、経験の浅いスタッフでもスピーディーかつ適正な査定が行えるわけです。このデータベースは日々更新・充実していっているので、オペレーションは効率化の一途となります」と丸尾氏は胸を張る。このシステムにより、通常のリユースショップの約4倍の年間16回転という極めて高い在庫回転率を実現しているのだ。
また、同社システムでは日々数多くのトランザクションが発生しており、これまでに約100万件という売買情報が蓄積している。「このビッグデータを活用し、商品のライフタイムサイクルの分析によるマーケティングコンサルテーションビジネスなどを可能にしていきたい」と丸尾氏は意気込む。なお、『高く売れるドットコム』は、パソコンや楽器、時計など分野別に特化した28のサイトを運営。ユーザーが「売りたい」と思った時に迷うことなくニーズに合うサイトにたどり着けるよう工夫している。一方の『ReRe』は自社ECのみならず、楽天市場、Yahoo!オークション、e-bayという買い物客が集中するショッピングモールを選定し、戦略的に出店している。
「今後、“リユースのAmazon”を目標に、完成度の高い自社サイトを構築して育てていくことが夢ですね」と丸尾氏。そのためにも、カギとなるのは常に最新・最先端のIT技術を取り込み、システム全体をブラッシュアップし続けることである。「リアルな“商売”にこだわる当社は、一般的なIT企業とは違います。したがって、ITエンジニアにとっては仕事場所としてイメージしにくいかもしれません。しかし、当社のITエンジニアは、生きた商売の“現場”を目の前にし、自らの技術でその現場を常に改善、変革していく手応えや喜びを味わうことができます。しかも、常に最新技術を探索しその活用にチャレンジできるのです。どこよりもやりがいの大きな環境だと自負しています」と丸尾氏は強調する。
高校卒業後、独学で技術を勉強し自ら起業。その後、学生時代から交友のあった小林氏に誘われ同社に合流し、現在に至る
権限と責任を持って切磋琢磨していくことを支援する制度や環境
「自社の事業に即した開発を通じて、リユースビジネスの最先端をつくっていくところに一番の面白みを感じます」と話すのは、事業戦略部長の菅野辰則氏。システム開発会社でSEとして働いた後、「好きな商売に関われる」と同社に転じた。現在は、経験豊富なシステム開発の知見を活かし、システムデザイン本部とともにビジネスモデルのブラッシュアップに取り組む日々を送っている。
その菅野氏は、2013年度から始まった「Best of MarketEnterprise」で第2位に入賞した。この賞は、「この1年間で最も主体的に活躍した者」を全社員が投票して選出するというもの。第1位に輝いた者には、賞金20万円と10日間の休暇が贈られる。その賞金と休暇を利用して親と海外旅行を楽しんだ栄えあるチャンピオンは、入社1年半という社員だった。「これで、誰もが『自分もやれば取れる!』とさらに燃えるようになりました(笑)」と菅野氏。
それ以外にも、平均年齢28.3歳という若い同社では、新卒・中途や社歴・年齢を問わず、一人ひとりの社員が権限と責任を持って切磋琢磨していくことを支援する制度や環境を整えている。例えば、半期ごとに東京はじめ札幌、仙台、横浜、埼玉、名古屋、大阪、神戸、福岡の各拠点から全社員を集めて開催される「キックオフミーティング」。高いレベルで意識や情報を統一し、社内コミュニケーションを確実に取れるようにすることを目的に行われる最重要の行事である。
人材育成面では、各種オンラインセミナーの無料受講制度などを用意。そのほか、バースデー休暇や、結婚記念日や家族の誕生日などの記念日早退制度、結婚や出産などの各種祝い金制度などがある。「今後も、会社や個人の成長に合わせて柔軟な組織やルールをつくり、より働きやすい会社にしていきたいと皆で話し合っています」と丸尾氏。
将来性が高く成長するマーケットで、自分の技術をビジネスにダイレクトに活かしたい。新しいマーケットを切り拓く最先端のサービスを創り上げたい。モチベーションの高い人たちと切磋琢磨し成長していきたい。そんな目線の高い人にとっては絶好の会社といえるだろう。
ITによる革新的なサービスシステムをベースに、新しいライフスタイルを創造していく。