株式会社オーシャナイズ

ある大学生の頭に浮かんだ一つのアイデア　―コピー用紙の裏面に広告を掲載して、コピーを無料で使えるようにしたらどうだろう？
―そのアイデアに興味を持った友人たちと3人でビジネスコンテスト「TRIGGER2005」（NPO法人スピリングウォーター主催）にチャレンジし、優勝。自信をつけた3人はアイデアを実現しようとビジネスを開始するも、大学生なので相手にされない。そこで会社を立ち上げることにした。

一つのアイデアをカタチにしたい。そんな思いで集まった大学生が立ち上げた会社。それが株式会社オーシャナイズ。
世の中の“当たり前”に惑わされず、自分たちの夢を追いかけ、がむしゃらに走り続けた。そんな同社も今では約30名の社員を抱える企業に成長した。

社名である「オーシャナイズ」は、「Ocean」と「Organize」を組み合わせた造語だ。海は人々の心を魅了し、夢を与えるだけでなく、全世界をつなぐ最も優れたコミュニケーションツールであると語る同社。自分たちも、人を魅了する新たな海を創造し、多くの人にとって有益な情報とサービスを提供したい。そんな思いから名付けられたという。
同社のミッションは、新しいコミュニケーションツールの創造を通じて、人々に発見や驚き、そしてドキドキを与えること。ミッションを実現するためには、何よりも自分たちが一生懸命になり、挑戦し、熱く生きなければならない。そんな思いを共有し、仲間とともに成長を続けるメンバーが在籍している。

会社設立のきっかけともなったアイデアをカタチにしたのものが、同社のサービス「タダコピ」。コピー用紙の裏面にカラー広告を掲載することで、コピー料金を無料にするという新しい情報発信媒体だ。ターゲットは大学生で、大学構内にタダコピ専用のコピー機を設置しサービスを展開している。
学生にとってみればコピーの使用がタダになるのは魅力的だ。特に試験シーズンなどコピー機を使用する頻度の高い時期には嬉しいサービスだろう。広告を出す企業にとっても、大学生向けにピンポイントで広告を打てるというのは大きなメリットだ。大学生向けのサービスを展開する企業やリクルーティングにはうってつけの媒体といえるだろう。

2006年4月のサービス開始以来、着実に事業を拡大してきた同社。クライアントは官公庁、大手銀行、外食サービス、人材サービスなど600社を超え、タダコピを設置する大学も北海道から九州までの150以上の大学・200以上のキャンパス(2014年2月1日現在)に広がっている。一人の学生のアイデアからはじまった画期的なビジネスモデルが、その成長の原動力となっている。

同社のロゴマークの下をよく見ると「New Media Creators」という文字があることに気付く。この言葉は同社の目指す将来像を表現している。
代表取締役社長である菅澤氏は今後の展開についてこう語った。
「過去3年間、とにかく我々はキャンパスメディア事業『タダコピ』を拡げることに注力してきました。その中で蓄積されてきたノウハウは当社の強みですので、今後もキャンパスメディア事業は当社の柱であり続けるでしょう。何よりも、将来を創り出す人材が集まっている大学という場所が好きなんです。ただ、どうしても大学生向けというターゲットを限定した事業なので市場にも限界があります。これから当社はセカンドステージへ入りますが、そこでは大学以外の場所、例えば高校やオフィスなどに対するメディア開発を積極的に行っていきたいと考えています。
『限定されたターゲットに対してコミュニケーションを取りたい』。そんな時に相談をしてもらえれば、媒体の用意から表現方法・コンテンツの制作までトータルで提案できる、そんな会社にしていきたいと思っています」

様々な国籍・人種・年齢・宗教の人が集まり、自分たちの育ってきた文化をバックボーンに様々なアイデアを出し合い、常に新しいメディアを生み出していく会社。それが、菅澤氏の目指す10年後のオーシャナイズだ。
将来的には海外にも拠点を広げ、「タダコピ」をはじめとした新しいメディアを展開していくことを目標としている。新しいコミュニケーションツールの創造を通じて人々に発見や驚きを与える、という同社のミッションを、世界規模で推進していくことによって、世界を変革していきたいというのが菅澤氏の夢だ。
「社員約30名、設立から8年程度しか経っていない小さな会社ですが、無謀にも世界に向かって挑戦していきたいと考えています。国や地域を越えてサービスを展開し、地球規模で世の中に変革をもたらす企業になりたいと本気で思っています。そういった思いを共有できる方や楽しいと感じる方であれば、実現までの過程を経験していけるというのは、当社で働く面白さの一つになるのではないでしょうか。」

学生ベンチャーから脱却し、一企業としてさらなる成長を目指すため、資本金を増やし、経営陣を刷新した同社。次なるステージでの飛躍のため、採用も積極的に行っていく予定だ。

そんな同社が求めるのは、柔軟性のある人。「経営陣を含め、一般企業での就業経験を持たないメンバーも多い。そのため、世間一般の企業で当たり前とされることが、当社では当たり前ではなかったりします。弱みと受け取る方もいるかもしれませんが、当社ではそれを逆に強みであると捉えています。当たり前を疑うことができるからこそ、そこに大きなチャンスを見出すことができるのです。ですので、そういった当社の非常識な部分を面白いと感じていただける方に、ご入社いただきたいですね。一緒になって自由な発想で物事を考えたり、新しいものを受け入れられる方を歓迎します」（菅澤氏）

「いつか全世界の大学生を集めて学生祭をやりたいですね」。そんな夢を楽しそうに語る菅澤氏。掲げる目標は壮大だが、同社にはそれを楽しみながら、必死になって走り続けるメンバーが揃っている。同社の理念に共鳴し、一緒になって無限の可能性を追求したいという意欲あふれる人に、ぜひチャレンジしてほしい会社だ。