集客支援株式会社

集客支援株式会社は2006年の設立。
・　成果報酬制で
・　クライアント企業の集客を代行する
という、フェアだが実力の試されるB2Bサービスの先駆け的存在だ。2009年4月に3期目が終わり、いわゆるスタートアップ期を無事にこなした。生まれては消えてゆくベンチャー企業にとって、「まず3年間」が第一関門。今後の成長期～安定期に向けて、同社代表取締役の岡本士郎氏はこう語る。

「サラリーマン時代からマーケティングを担当していましたが、責任を負わない広告代理店や、結局口だけのコンサルタントという、周辺業者さんに泣かされてきました。それなら自分でやった方が良いと研究と実践を重ね、ついに独立してしまったのが3年前。その際、それまでの自分の不満を逆手にとって、「責任も負うし、口だけではなく手も出す」成果報酬制の集客代行というサービスを立ち上げたのですが、思った以上にニーズがありましたね。ただ、弊社側のキャパシティがすぐにいっぱいになってしまって．．．混雑期はお客様をお断りする場面も少なくありませんので、まずは弊社の受け皿を大きくし、今後はより多くの方にサービスをお届けしたいです」
「ただし、どんなクライアントでも儲かれば良い、という考えはありません。私たちがフェアであると同様、私たちのクライアントにも、各社それぞれのお客様に対してフェアであることを求めています」

経営と並行して著述業も行なう岡本氏の著書『あたりまえだけどなかなかできない集客のルール』（2007年 明日香出版社）に、そのスタンスが表れているので、まえがきから少し抜粋してみる。

「行列が出来る店、圧倒的な勝ち組企業の、商品やサービスを良くよく観察してみると、『確かに良いけど、そんなに差があるかなあ？』と気付くことも多いのではないでしょうか。毎日50杯売れるラーメンと毎日200杯売れるラーメン。4倍も美味しさが違うのかと食べ比べてみれば、実はそんなに差が無かったりする。ところが現実は、かたや評判の行列店、かたや閑古鳥の鳴いている状態になってしまいます。この違いを生み出しているのが『集客のコツ』、言わば声の大きさなのです。同じ魚河岸で仕入れた全く同じアサリだって、売り込みの上手い、声の大きい売り子の方に多くのお客さまが集まり、良く売れるでしょう。場合によっては、少しくらい小粒のアサリでも、売り込み方次第でドンドン売れてしまう。つまり、腕の良い者より声の大きい者が勝つことだってあるのです。『ずるい』と思うでしょう？アンフェアですよね？─しかし、それがまかり通るのです。だから私たちは、大きい声の出し方、『集客のコツ』を知らなければなりません。それで初めて、同じ土俵に立ってフェアな競争ができるのです」

ここから読み取れるのは、腕はあるが集客力だけが足りないクライアントを支援することで、正当な評価をもって競争できるようになって欲しい、というフェアプレイ精神だろう。

集客支援は新しいことにも積極的だが、無理せず自然体でいることが好結果につながっているという。「勝手に情報を持った人が集まってくるのです」（岡本氏）と答えてくれたが、そこは集客を生業とする企業の面目躍如といったところだろう。
また、はじめは同社のクライアントであった企業と、いつの間にかアライアンスを組んでいたり、クライアント同士を結びつけてビジネスを広げることも少なくない。法人同士であっても、個人のように友人関係を結べるという好例だ。

「この仕事の最も面白いところは、人を集める過程で、情報も一緒に集まってくることなんです。情報をつなげば新しいことが見えてくる。そして、これを活用すれば、また人と情報が集まる、という好循環ですね。人にとってはサロンであり、情報にとっては揺りかごみたいなものでしょう。そのジャンクションにいられるということに、この上ないメリットを感じます。ゆくゆくは、こちらが本業になるのではないかとさえ思っているのです」（岡本氏）

同社にはクライアントの業種制限がない。そのため、小売業やサービス業はもちろん、病院や各専門事務所といった有資格者や、教育産業、B2Bのメーカーまで、様々な情報が集まる。この情報の洪水を活かせるアイデアマンには、またとない垂涎の職場環境だ。

集客支援の大きな特徴として、非常に自由な勤務体系がある。例えば出社せずに、自宅で好きな時間に仕事をしても良いというのだ。週1回程度あるミーティングやクライアントとの打ち合わせには出席する必要があり、また与えられたミッションは当然こなさなければならないが、残りの時間をどう使うかは自由裁量に任されている。既述の【情報の洪水】から新しい企画を作っても良いし、必要なら休息していても良いという。

「これには２つの意味があります。１つは、どうせ会社へ来ても、ネットや電話で仕事が済むなら通勤時間はムダという考え。それなら、その分を仕事なり、自己啓発なり、場合によっては思い切り遊ぶ．．．なりの時間に、自由に使った方がよっぽど効率的です。もう１つは、サラリーマン的な働き方が苦手な人への救済です。特にカラダの病気、ココロの病気を持っていると、実力があっても、そもそも会社に行けないという場合がありますよね。せっかく力も意欲もあるのに、会社に行くことがつらいというだけで働けないなんて、もったいなさすぎます」（岡本氏）

実際、ちょっとした病気で会社に行けなくなったスタッフも、集客支援では元気に自宅で働いているという。しかもパートではなく正社員として扱われている。これについて岡本氏は「正社員としてのキャリアが切れてしまったら、病気が治っても、正社員に戻れなくなっちゃうでしょ」と笑って答えてくれた。

ただし、自由時間をぜんぶ遊んで過ごすようだと、同社の期待に応えることは難しいと言っておこう。この自由な会社に加わるには、十分な実力と、オンオフの素早い切り替えを備えた、人生を楽しむスキルが必要だ。