企業のマーケティングコミュニケーションのアウトソーサー
出版社の「翔泳社」といえば、IT関連書籍の版元として周知を得たブランドとなっているが、これまで出版事業だけでなくコーポレートサービス、ソフトウェア開発、店舗展開など、日本におけるパーソナルコンピュータ普及の黎明期より30年にわたって、業界に特化したさまざまな事業を展開してきた企業である。そして1998年に東証JASDAQに上場した後、2006年10月より(旧)株式会社翔泳社はすべての事業を新設分割会社に承継し、SEホールディングス・アンド・インキュベーションズ(SE H&I)株式会社を純粋持株会社とする新体制に移行した。そのなかで、100%子会社としてIT関連企業に対するコーポレートコミュニケーションサービス事業を継続しているのが、株式会社SEデザインである。
「翔泳社の創業時代から数えると、30年の歴史を持つ会社です。もともと翔泳社はマイクロソフトの日本での法人化にあたって、マニュアルやパッケージ、セールスプロモーションの企画から部材制作までを受託していました。そのコミュニケーションデザイン事業を引き継いだ形での企業化ですが、メディアがオンライン化した現在も事業の姿勢は30年間変わっていません。会社としてクライアント直で請け負うアドバンテージを持ちながら、小回りのきく広告代理店、制作プロダクションと言えます。それも、IT関連企業を専門とする。」と代表取締役社長の篠崎氏。IT関連業態での企業コミュニケーションを支援してきた翔泳社の実績が、現在のSEデザインの基盤になっていることを強調する。「30年前といえばまだパソコンで仕事をするなんて考えられなかった時代です。ファックスがやっと。コピーがやっと。その時代から外資系IT企業とつながりがあり、日本でのIT普及と共に成長してきた。ですから今後もその専門性を生かした事業展開を継続していきます。」
いまや一般家庭でも使われるようになったPC。誰もが一度は操作マニュアルやカタログに触れたことがあるだろう。同社は、そういったコミュニケーションツールを手がける「ものづくり」を背景とした会社である一面、製品のブランドを訴求し、マーケティングコミュニケーションを背景としたプランニング、集客プロモーション計画、イベント・セミナー運営など、広範な業務をワンストップで請け負うアウトソーシングの体制を持っている。
現在の主な取引先は日本マイクロソフト、SAP、インテル、トレンド・マイクロなど。まだ日本では知られていない企業も含め、数多くの外資系ITメジャー企業に直接取引出来る窓口があるという。
業界で培った力で、的確なマーケティング コミュニケーションを提供
ITの黎明期、外資系メジャー企業にとって製品やサービスを日本市場に伝えること自体、非常に難しいことだった。その時代からソフトウェアマニュアルのドキュメンテーションやパッケージデザインを通していち早く新しい技術を理解し、ユーザーに伝えてきた経験が結果的にSEデザインの特性となった。篠崎氏はこう語る。
「グローバルな事業展開を望む外資系IT企業にとってブランド管理は非常に重要です。日本市場におけるあらゆるコミュニケーションツールの制作においては、その翻訳から始まるテキストと視覚的イメージの統合でブランディングになるのですが、そういったことを全部受け止められる会社は少なかった。業務の一部だけ、テクノロジーだけに特化して請け負う会社は多くありますが、印刷メディア、オンラインメディアなど、販売チャンネルが多様化する時代に、イニシャルからランニングまで統合的なブランディングができるのが当社の強みなのです」
クライアントの製品ブランド訴求に協力してきた同社。マーケットと製品・サービスをつなぐ役割として常にコミュニケーションの質にこだわり、選ばれ続けてきた。クライアントから受けた信頼がまた多くの人脈を産み、協力会社との潤滑なリレーションシップにもつながった。
カタログ制作やイベント企画など、ひとつひとつのサービスを提供することもできるが、ワンストップで提供することもできる同社のアウトソーシングの姿勢を、「ひとつ課題を与えてください、10の展開で応えます」と篠崎氏は表現する。30年の経験のなかで、同社には自然に、クライアントのニーズに沿った的確なコミュニケーションをデザインする力が備わってきた。その姿はあくまでも自然体。だからこそ、無理のない成長路線を志向している。「会社が置かれている役割を理解することで、おのずとこれからの姿勢も決まって来ると思うんです」(篠崎氏)
クライアントありき、ユーザーありき。求める人材イメージもそこにある。
IT業界の更なる展開
現在の従業員数は30名。セクションは制作、営業、管理の3部門である。制作と営業は案件によりチームで動くことが多く、どちらも全体を見渡す力が望まれる。クライアントとユーザーをつなぐハブであり、クリエイティブにおいては外部ブレーンや協力会社との密接な連携が必要であることから、ITに対する知識はもちろん、現場で円滑に情報を流通させるコミュニケーションの能力も必須である。
「広告、メディア、SP(セールスプロモーション)の仕事を理解し、IT業態やそのなかでの技術動向を追うことが好きでないと難しいかもしれません。なんとなく業界に憧れるイメージではなく、この技術やサービスが“好き”だと実感した経験があるほうがいい。ビジネスのスキルは、これからいくらでも身につけられる環境にありますから…」(篠崎氏)
中途採用者に対する研修に決まった制度はない。なぜなら人によって身につけているスキルも異なるからだ。もし前職で編集を経験していたらオンラインメディアの活用のことを、Web制作の経験があるならモバイルのことを、というように、個人によって付加するアビリティを考えているという。社内の雰囲気としてはカジュアルで風通しがよく、わからないことを人に尋ねるのに抵抗はないだろう。
SEデザインは「ものづくり」の要素を持ってクライアントのニーズに応えるケースが多いが、今後はサービスの商品化(パッケージ化)によって新しいクライアントを発掘する方向を目指す。それと同時に、現在のメディアの更新期に在って「かつて便利な道具となったパソコンはさらにインターネットに繋がることで新たなメディアの可能性を開いた。情報通信技術の進展がモバイル環境をより有意義なものへと押し上げ、スマートフォンやタブレットはPCの領域を更新していく。さらにその先にはIoTの世界が待っている。」と篠崎氏は言う。クライアント開拓とモバイルソリューションの強化。IoTへの期待。外資系ITメジャー企業の重要なアウトソーサーとして成長を遂げた会社の新しい展開に参画するチャンスである。
株式会社 SEデザインの社員の声

30代前半
2009年11月入社

40代前半
1996年04月入社

30代前半
2012年09月入社