ご略歴をお教えください。
大学では機械工学を専攻し、2014年の卒業後は最大手の鉄鋼メーカーに入社しました。千葉の鋼管工場の生産技術部門に配属され、生産現場に対する作業の指示や進捗管理、設備の導入やメンテナンス、トラブル解決といった業務を現場の作業員と共に取り組みました。 そうした中で、現場の管理のために様々なデータが記入された紙の帳票を集め、Excelに転記するという作業があったのです。工場は、鋼管をつくる現場と、鋼管に様々な付属物を加える現場が複数の建屋に分かれていました。そこで、広い構内を車で巡回し、帳票を集めて事務所に戻り、PCに向かうという毎日でした。この作業がとてもつらかったのです。 とはいえ、集めたデータには様々な情報が埋まっている重要なものです。溶接の不良が発生した時、私はデータに向き合って原因を見つけ出すことができました。この瞬間、ものすごく喜ばしく感じたのです。そんな原体験が当社の起業に繋がっています。 その鉄鋼メーカーには5年勤務し、2019年に大手の携帯キャリアに転職しました。鉄鋼メーカーでの将来のキャリアパスがほぼ見えて、そんな人生は面白くないと感じたからです。そこで、当時隆盛し始めていたAIに関わる仕事をしようと思いました。とはいえ、鉄鋼メーカーの生産技術職にはなかなか縁がなかったのですが、その携帯キャリアが未経験でも採用してくれたのです。 その会社には社内起業制度があって、私は教師データへのアノテーション(注釈付け)を自動化するサービスを提案したのです。これが認められ、責任者として事業を立ち上げることができました。PDFの可読性を高めるツールも開発し、企業内のチャットボット等に用いるRAG(検索拡張生成)の精度を高めるサービスに広げ、事業を軌道に乗せることができたのです。0⇒1は楽しく、得意なものに感じました。 そうした中で生成AIが登場し、衝撃を受けます。そして、鉄鋼メーカー時代のつらかったことや喜ばしかったことと結び付き、AIを使えばつらかった作業を一掃し、喜ばしかったデータ活用を自動化できるツールがつくれるのではないかと思い立ったのです。そこで、2023年9月に独立して当社を設立したという経緯です。
株式会社ミライのゲンバをどんな会社にしていきたいと考えていますか?
掲げたミッションは「未来の現場を増やす」というものです。社名は、英語等でしゃれた言葉を用いるのが得意ではなく、そのまま『ミライのゲンバ』としました。 ホームページには、ミッションについて次のように記載しています。 「データは素晴らしい。 アイデアに根拠と勇気をもたらし、管理者の意思決定の背中を押してくれる。 ベテランの技や貢献度を見える化し適正な評価をもたらしてくれる。 見えなかった課題が表現されて、新しい改善のヒントと意欲をくれる。 21世紀の石油と言われるデータで日本の製造業はもっと楽しく、もっと強くなれる。 次世代の工場を増やす。 未来で活躍する工場を増やす。 私達は製造業が当たり前にデータを活用するためのシステムを構築します。」 現状として、日本の70%の工場では、まだ紙の帳票が使われています。データという大切な資産がアナログな形で埋蔵されているのです。したがって、外部の変化に迅速に対応できず、業務効率化も進んでいません。当社がやりたいことは、こうした現状を変え、上記のとおり「未来の現場を増やす」ことです。
そのために社員に対して期待することや、どう活躍してほしいかといった思いをお聞かせください。
当社では、“美しい心を持つ”“素直に学ぶ”等の行動指針による「ゲンバ十訓」を掲げています。 起業後、改めて思ったこととして、「ここまで来られたのは自力だけではなく、誰かに助けてもらったからこそである」との再認識があります。そして、誰かに助けてもらえたのは、自分なりに「美しい心を持つ」「素直に学ぶ」といった姿勢で周囲に誠実に対応していたからではないかとの自負がありました。 例えば、まだプロダクトの実績がない中、ある大手企業が真っ先に発注してくれたのですが、相手の担当者はたまたま前職時代に接点があり、その時に誠実に対応していたことが巡り巡っての商談成立に繋がったとの思いがあります。 また、当社で営業やカスタマーサクセスを担当してくれている中山は、学生時代のよさこい同好会の2年先輩でしたが、その時はいずれ一緒に会社をやるなんて思いもよりませんでした。けれども、卒業後も不義理にせず繋がっていたことで、当社に加わって力を発揮してくれているわけです。 当社のプロダクトは、現場のデータから異常値を見つけ出すことに価値があるわけですが、異常値というアノテーションを集めるのは簡単なことではありません。数多くの現場の協力があってこそ実現できることです。 つまり、人との繋がりです。ですから、当社にとって人間関係は資産として何よりも大事にしなければなりません。「ゲンバ十訓」はそのために掲げているものですから、もちろん私もですが、社員には常に意識し、実践してもらいたいと思っています。 また、社員がそういう姿勢を身に付けることで、社会的にも成功しやすくなるのではないかと思っています。 求職者の方が今、当社に加われば“背番号一ケタ”で、まさに当社の血肉をつくり上げていくプロセスを経験できます。そんな機会はそうそうないのではないでしょうか。VCからも評価していただいて多額の支援を受け、社内には自らのポテンシャルへの確信が生まれています。「とんでもないプロダクトをつくりたい」と飢えている方には、思う存分チャレンジしていただける環境があると思いますので、ぜひ応募してください。
佐藤社長の仕事観をお聞かせください。
生活の糧を得るという目的は最低限のことで、仕事とは社会に影響力を残すために行うことではないかと思っています。そんな仕事をすることには、ゲームを楽しむような感覚があります。仲間を集め、目標に向かって一生懸命、誠実に取り組む。その結果、目標を達成すれば、もっと大きな目標にチャレンジするチケットを与えてもらえる。そんなゲームに熱中しているような感覚がありますね。
オフタイムは、どういった過ごし方をしているのでしょうか?
2歳の娘がいて、よく二人で近くの公園や、静かなところが好きなので図書館に行って過ごしています。平日は妻が子育てをしてくれているので、休日は解放してあげたいといった思いもありますね。