株式会社ブルートーン

株式会社ブルートーンは、独自のDX推進プラットフォームを企画・運営しているスタートアップである。
同社のサービス内容は次のとおりだ。

●ITサービス紹介サイト『アスピック』
一般社団法人日本クラウド産業協会（略称：ASPIC）からの委託を受け、同社が企画から開発、営業、運営までのすべてを担っている。
人事、経理・会計・財務、営業、マーケティング、CS、生産管理、システム開発、業界・業種特化型など、750社以上のベンダーによる1,600以上のIT・SaaSサービスを紹介する比較サイトである。

先行する同種のサイトが複数あるが、『アスピック』の強みはSEOにある。

「たとえば採用管理システムを探すユーザーが、それをキーワードとして検索したとき、アスピックの記事が上位表示されることが強みです。徹底的にユーザーを意識したコンテンツづくりにこだわっている成果であると自負しています」

代表取締役の紺野祐樹氏は、こう話す。
ユーザーに最適なITサービスの選び方を分かりやすく紹介し、DXの後押しに貢献しているのだ。

●外注比較サイト『BOATER』（ボーター）
営業支援や研修サービス、採用支援、SNS運用支援、ECサイト運営代行、経理業務支援といったアウトソーシングサービスの比較サイト。
サービスモデルは『アスピック』と同様で、人的サービスを通じてユーザーの業務効率化を間接的に支援する。

●生成AI環境構築サービス『AI Going』
『アスピック』や『BOATER』で既存のサービスを紹介するだけでなく、ユーザーの内部に踏み込んで社内からの問い合わせに自動回答する生成AI環境を構築するという新サービスに挑む。
環境構築だけでなく、データのセットアップや運用開始後のチューニングにも対応し、回答精度の向上支援を強みにする構えだ。

そのほか、『アスピック』で紹介しているようなITサービスを自社がオリジナルで開発、あるいは受託開発後に自社独自SaaSとして提供していくことも視野に入れている。

「一連のサービスを通じて、お客様のDX推進を支援していきたいと思っています」

と、紺野氏は力を込める。

同社は、2017年6月に紺野氏が設立した。

紺野氏は、大手ユーザー系SIerでSEを務めた後に、コンサルティング会社2社でコンサルタントを経験。
その後、セキュリティサービス等を手掛けるスタートアップに転じ、事業統括取締役としてIPOに貢献する。
そんな紺野氏が同社を創業した理由を、次のように話す。

「スタートアップでBtoBのITサービスを手掛ける中、これを拡販していくマーケティングに関心を深めたのです。そして、事業責任者として株式上場も経験することで、自らの手で事業を手掛けてみたいと思うようになりました。そこで、BtoBのITサービスを紹介するサイトを構築しようと考え、独立して当社を設立しました」

当時、先行するITサービス紹介サイトを横目で見ながら自らの考えで構築するも、ユーザー候補からは思うような反応を得られなかった。
そこで、反省点を整理し再チャレンジを始めようとしたときに、たまたま一般社団法人日本クラウド産業協会（ASPIC）と出会う。

「ASPICは1999年にスタートし、黎明期にあったASPサービス、後にクラウドの安心安全な活用法を啓蒙し広めていくためのガイドラインづくり等を活動目的としていました。出会った当時はそこから20年近く経過した時期で、啓蒙の必要性は薄れ、新たなミッションとして次の普及策を探していたのです。一方、スタートアップを立ち上げたばかりの私は企業との関係性や社会的信用度がないことがネックとなっていました。そこで、共同でITサービス紹介サイトを運営するアイデアを提案してみたところ、賛同してもらえたのです。こうして2019年4月に『アスピック』をリリースさせました」

ASPICの会員企業などに半年間の無料掲載を呼びかけてサイトを立ち上げ、その後ASPICの営業支援を受けながら徐々に掲載サービスを増やし、軌道に乗せる。
そして、同社の主力サービスとしての今日に至る。

2023年11月には、完全自社サイト『BOATER』をリリース。
2025年には『AI Going』に着手し、目下ファーストユーザーにテストを兼ねたサービスを構築中だ。

そんな同社が掲げるミッションは、次のとおり。

【DXをあたりまえにする。】

その想いについて、紺野氏は次のように説明する。

「『アスピック』などでDXの裾野を広げるとともに、『AI Going』などによってDXの水準を引き上げることを目指したいと考えています。ツール導入のきっかけを作って終わりではなく、その活用度を高め、DXがあたりまえの状態となるまでのユーザーサポートを強みとして磨き込んでいきます」

同社の社員数は約20名（2025年8月現在）。
その組織風土づくりやマネジメントの方針について、紺野氏は次のように話す。

「社員一人ひとりの可能性を伸ばすことを最重視しています。そのため、社員の厳密な業務範囲は規定せず、事業に関する情報は常にオープンにして、社員が自らやるべきことを見つけて取り組めるような運営を行っています。一方、個人任せではなくチームとして取り組み、精度やスピードを高めることも重要なので、周囲が共に考えて協力し合うカルチャーづくりも意識しています」

同社では、コロナ禍の2020年から採用活動を開始。その頃からフルリモート体制が続いている。
一部のメンバーは東北・関西・九州などに在住しており、全国どこにいてもジョインできるのが魅力だ。

また、社内の一体感を醸成するために、月に1回は全員がリアルで集合。情報共有や懇親会でのコミュニケーションを図る。
オンラインでも、毎週月曜日にオンラインでの全体ミーティングや、チームごとのミーティングは適宜行われている。

そのほか、リモートワークが主体のため、メンバーが孤立感を覚えないよう、メンター制度も取り入れている。
「新人は必須であるが、希望すれば誰でも経験年数の豊富な先輩社員をメンターとして付ける」と、紺野氏は話す。

なお、社員のスキルアップのための書籍購入補助、外部研修受講や資格取得費用の補助のほか、PC・ディスプレイ購入補助、社内外交流のための会食補助、テレワーク手当等の支援も充実している。

そんな同社では、次の行動指針を掲げている。

①信頼がすべて
②チームで勝つ
③介在価値にこだわる
④輝ける場所を作ろう

「主体性があり、自ら考え判断し、行動できる方にぜひ加わっていただきたいと願っています」と、紺野氏は呼びかける。