あらためて、起業に至る背景と経緯を伺います。
はい、ありがとうございます。実は高専でエンジニアリングを学んでいた19歳の頃から「沖縄で会社をつくる!」と決めていました。試しにやってみた就活を通じ、沖縄のIT企業の多くが2次請け・3次請けのニアショアで、報酬も抑えられている現実に衝撃を受け、いつかは地元沖縄に最高の働く場所をつくりたい!と思ったのが起業の原点です。 その後は、大学と大学院を経て東京でデータサイエンティストとしてキャリアを積み、前職のデータ分析会社在籍中に、いわば社内起業の形で当社を設立。お酒の席で社長に、ずっと温めてきた起業への思いを話したら、「やってみろよ。出資するから」と。なんてフトコロの深い会社!と今でも感謝していますが、当時の私が若手ながらトップサイエンティストになるほど頑張ったご褒美でもあったのかな、とも受け止めています。その会社、DATUM STUDIO株式会社と当社は今も業務で密に連携していて、私はその会社の副社長も兼務しています。
会社設立に当たって、どんなカルチャー、空気感をイメージしていましたか?
まず空気感からお話しすると、学生時代の研究室みたいな場を創りたかったですね。高専時代、ハーバードアーキテクチャでバブルソートができるPCを作るとか、やってみたい!と思ったら、最新の技術でもくだらない思い付きでも、とにかくやってみないと気が済まないという、あの空気です。今の当社も、業務でもないのに勝手に3Dプリンタを持ち込んで自社サービス『ちゅらいと』のロゴを三次元化した魔法のペンを制作した社員がいたりして、またそれを社員一同面白がる、そんな空気感に満ちています。 カルチャーで言うと、チャレンジをとことん応援する姿勢。アサイン公募でもカンファレンスの発表でも「やりたい!」と手を挙げる勇気を、たとえスキルが足りていなくても認め、周りがしっかり支えるのが鉄則です。最近も、新卒入社1年目の若手が手を挙げ、データサイエンスのギルマスに。ギルドのマスター、部活で言うと部長の立ち位置ですね。もちろん知見も実績も全然足りていませんが、だからこそ周囲は、いつも以上に気合を入れて支えています。
社内はいわゆる「なべぶた型」のフルフラットな組織形態となっているそうですね。その狙いについて教えてください。
社内を部署で分けると、どうしても上司と部下、あるいは先輩後輩といったタテの序列が生じますよね。でも社長以外は横並びというフラットな組織なら、お互いに対等な立場で向き合えて、制約なく会話や意見を交わせる空気が自然と生まれます。そのように、部署の枠にとらわれない自由で風通しのいい環境にしたかったことと、そもそも上司という存在にマネジメントからプロジェクト推進まで過剰な負荷をかけるのは良くないし、人によって得手不得手がある以上、社内が上手く回らないことにも繋がりかねない、という思いもありました。 当社では創業以来、一般的な部署の代わりに「プロジェクト」「ギルド」「島」といった多様な場を用意し、上意下達ではなく、お互いの得意領域をリスペクトした上で、力を合わせ、時に教え、また教えられ、切磋琢磨を通じて高め合える環境づくりに留意してきました。その甲斐あってか、社内では新人が百戦錬磨のCTOに堂々と意見を言ったり、若手社員の社内体制に関する提案が形になったりしています。少なくとも当分の間は、組織形態が変わることはなさそうです。
貴社らしさを表す独自のフィロソフィがあれば、ご教示ください。
先ほどの組織観の話題とも共通しますが、社内運営ではスペシャリスト同士の信頼関係を大切にしています。当社のエンジニアは、それぞれの領域で国内有数のレベルに達している人も珍しくないほど、高度な専門性を有しています。ただ、どんなに優秀なエンジニアであっても一人の力でできることは限られますが、トップランナー同士がお互いの専門領域、言い換えれば「クレイジーポイント」をリスペクトした上で力を合わせれば、想定以上のシナジーが生まれ、チームのパフォーマンスを最大化することができます。信頼関係が深まれば深いほど、確かな成果に繋がって気持ちが盛り上がり、各自の成長にも直結します。 やりたいことが明確にイメージできている人なら、当社で間違いなく確かな成果を得られるでしょう。何事にもチャレンジしたいという成長意欲旺盛な方も、当社での毎日をいい意味で楽しめると思います。なぜかというと、当社には多様な「場」があり、繰り返し打席に立てるから。やりたいことが明確になってはいないけど、打ち込める何かが欲しいと強く思っている人も、当社で経験値を高めているうちに、見えてくるものがあるはずですよ。
プライベートについても伺います。ご趣味は何ですか?
はい、それは即答できますね。今の趣味は…子育てです!4歳になる男の子を、東京の会社にフルリモートで勤務しているITエンジニアの夫と家事を分担しながら育てています。毎日のことなので、オンラインで打ち合わせしながら洗濯機を回すことも。なんだかんだ楽しみながら取り組んでいる感じですね。ご飯も家で作って三人一緒に食べていますよ。 普段子供と一緒に何を?そうですね、休日なら近くの公園に遊びに行ったり、平日の夜でも一緒に何か工作したり…。どんなに忙しくても、1日に1時間以上は子供のための時間を確保するようにしています。 そうそう、我が家で最近、ちょっと楽しいことが始まっています。無刻印のコンピューター用キーボードが自宅に何台も転がっているのですが、その1台を子供が勝手に持ち出し、タブレット端末を立てて何やら一生懸命打ち込む遊びに夢中になっているんですよ。可愛いのはもちろんですが、将来がますます楽しみになってきて。夫と二人で大笑いしながら見守っています。
