株式会社エンジニアス

「人の良さ」を強みに、外国人技術者派遣を展開する株式会社エンジニアスは、名古屋市に本社を構える企業だ。

製造業の開発現場への技術者派遣を事業として展開しており、愛知県内を中心に、自動車メーカーの現場など、大手企業やその系列企業の案件を多く扱っている。技術者がスキルを生かし、安心と豊かさを兼ね備えたキャリアを築ける企業として、組織の強化を進めている。

2021年4月に設立された同社だが、親会社は長年にわたり製造業向けの人材派遣事業を展開してきた。製造業の業界内でネットワークを築いており、工場で働くワーカーの派遣だけでなく、技術者不足に悩むクライアント企業の声に応えるためにエンジニアスを立ち上げた。

製造業のクライアント企業は、多くが技術者不足の課題を抱えている。外国人技術者の活用を進める企業も増えているが、教育や文化の違いなどの壁があり、必ずしも直接雇用が最適解とは限らない。外国人技術者は、日本での永住を希望する人ばかりではなく、人材派遣という働き方を選ぶケースも多い。

「当社は外国人技術者が多く集まる技術者派遣会社です。外国人技術者は、スキルを磨いて国に帰りたい人も多く、スポットで技術者を必要としている企業と、利害が一致するため、大手メーカーでも外国人技術者を上手に活用しています。言葉は悪いですが、愛社精神がなくても、対価に見合った技術を提供してくれるため、企業も開発計画を進めやすくなるメリットがあります」(北川氏)。

エンジニアの未来を技術者と共に創るという想いを社名に込めたエンジニアス。その強みである「人の良さ」は、同社の手厚い技術者支援に表れている。

「外国人技術者は、母国を離れて日本に来て、生活の不便や慣れない文化に戸惑う人が多いのが実情です。当社では、仕事以外でも技術者の困りごとに対し親身になって相談に乗っています。例えば、在留資格の取得の書類を揃えたり、住居を探す手伝いをしたり。外国人技術者は、住む場所に特段のこだわりがないケースも多く、仕事の関係でよく引っ越しをしてくれます。私もよく技術者の代わりに住居の内覧に行っています。外国人入居OKの物件を探して、内覧に行ってスマホの動画で技術者に見てもらう。生活全般をサポートすることで、外国人技術者から喜んでもらえます」(北川氏)。

外国人技術者派遣に強みを持つエンジニアスだが、所属する技術者の約4割は日本人。日本人技術者が同社で派遣として働くことにも数々のメリットがある。その一つが、大手企業の開発現場で働けることだ。同社のクライアントには、世界規模の大企業が多く、その現場での経験や労働環境は技術者にとって魅力となる。

例えば、大手企業の社内食堂を利用できる点もその一つだ。多くの大手企業では福利厚生の一環として、安くて美味しいランチを提供しており、派遣社員も同様に利用可能。そのため昼食代を抑えつつ、栄養バランスの取れた食事ができると好評を得ている。

さらに、スキルを磨いた後に現場を変更することで、年収を上げることが可能になる。メーカーに直接雇用されると長期的な安定は得られるが、年収アップのペースは緩やかになりがちだ。一方で、技術者派遣では経験に見合った案件を選んで働くことで、段階的に年収アップを目指すキャリアパスを築くことができる。

「外国人技術者は、非常にシビアですから、スキルに見合った現場に移ることにためらいはありません。日本人技術者も今後はスキルに見合った年収を得られるように働く場所を変える人が増えることでしょう。過去には、メーカー所属の技術者が派遣での働き方にシフトした結果、年収が100万円以上アップしたケースもあります」(北川氏)。

終身雇用が約束されていた時代とは異なり、現在の技術者の雇用状況では、定年まで同じ会社で勤められる保証はない。むしろ、一つの会社で働き続けた結果、年齢を重ねた際に年収が下がる可能性すらある。長期的な視点でキャリアを築くためには、技術者自身が柔軟に環境を選びながら成長していくことが求められる。

「高齢の技術者は“年上部下”になる可能性があって、メーカーでは敬遠される傾向もありますが、当社なら親会社がクライアント企業からの信頼が厚いこともあって、技術者が長く働ける現場をお世話することができます。技術者も年齢を重ねるとマネジメントの役割を求められがちですが、派遣という働き方なら“生涯技術者”を貫き通すことも可能です」(北川氏)。

同社の強みである「人の良さ」は、日本人技術者にとっても強力な支えとなる。キャリアについて悩んだり、現場でトラブルが発生した際には、会社が親身に対応する体制を整えている。

「技術者とは定期的に情報交換をして、クライアントとの単価交渉も年に一回は行っています。私は個人的に所属する技術者との“人間と人間”という関係を大切にしています。人材会社は社員を“資産”や“資本”と考えがちですが、それ以前に人としての関係が円滑でないと、誰も幸せにならないと思っています。技術者が集まる機会は、特に設けていませんが、機会があれば社員同士の交流の場を作りたいと思っています。先日も技術者の人からみんなでバーベキューでもしましょうと誘われたので、場所を探しているところなのです」(北川氏)。

エンジニアの未来を技術者と共に創る同社は、福利厚生や各種制度にとどまらず、人としての優しさを軸に手厚い技術者支援を実現している。派遣形態で働く技術者の多くは「高給」を求めており、メーカーの直接雇用ではなく派遣という道を選んでいる理由の多くは、収入を最大化できるからだ。

エンジニアスでは、所属技術者の「稼ぎたい」という想いに応える報酬体系を整えている。それが「ボーナスなし」の年俸制だ。賞与を設けず、その分を給与で還元する仕組みとなっている。賞与がないことで「損をする」と感じる人もいるかもしれないが、賞与は会社の業績に応じて支給されるため、必ずしも安定した収入増とはならない。一方で、ボーナスなしの給与体系は、技術者が確実な収入を得られるメリットを持つ。

「当社はボーナスなしの年俸制を採用しています。ボーナスありとなしでは、社員の時給に影響が出ます。ボーナスなしだと時給が高くなり、残業をした際に支給される金額に差が生まれます。ボーナスありとなしでは、最終的な支給金額が年額で数十万円も異なります。残業をすることで、さらに所得を増やしたいと考える技術者のために『ボーナスなし』の報酬体系にしています」(北川氏)。

外国人技術者はハードワークを厭わず、残業代を積み上げて収入を増やしたいという人が多い。そのため、報酬体系を整備し、それぞれの希望に添う形を追求している。もちろん、残業を希望しない技術者向けの案件も用意されており、ワークライフバランスを重視した働き方も選択可能だ。

「外国人技術者はたくさん残業をして稼ぎたいと考える人が多いですが、日本人技術者は仕事以外の余暇を大切にしている人も多く、高稼働にならないように会社で配慮しています。残業が増えている状況が見られれば、クライアントと折衝して改善できるように会社が動きます。当社には一部、受託の案件もあり、お客様先ではなく自社で働く選択肢もあります」(北川氏)。

メーカーの直接雇用ではなく、派遣形態で現場を選びながら、転職せずに段階的な「年収アップ」を目指す。技術者にとって、そんな働き方も可能だ。残業を増やして所得を増やすのもよし、反対に残業を抑えてプライベートの時間を確保するのもよし。派遣という選択肢には多くのメリットがある。

「転職せずに働く現場を変えられるのは、派遣という働き方の特徴です。終身雇用が失われた現在、技術者は自らキャリアをデザインし、それを実現できる働き方を選ばなければ、長期的な活躍が難しくなっています。当社は技術者の希望を叶えるために、制度を整え、彼らの働き方をサポートしています。キャリアの先行きに不安を感じている技術者がいれば、ぜひ一度、お話したいですね！」(北川氏)。