株式会社オルベック

株式会社オルベックは、2021年に東京都文京区本郷に設立したIT企業である。「ITで世の中の笑顔を創造し続け、次世代に繋いでいくことを使命とします」をミッションとして掲げ、クライアントのニーズやプロジェクトに対し、システム開発および基盤構築を中心とした技術サービスを提供している。

同社の代表取締役・萩原貴史氏は、もともとIT業界でキャリアを積んできた人物だ。大学卒業後は建築業界に就職したものの、キャリアチェンジを目指してブログサービスを手がける大手企業へ転職。当時はまだGoogleも存在しない、まさにIT黎明期。営業として活動する中で、インターネットの持つ大きな可能性と魅力に惹かれていった。

「ITこそ、自分が本当に求めていた世界だ」と確信した萩原氏は、社会人として働きながら2年間専門学校に通い、エンジニアへと転身。SEとしてサービス開発に携わった後は、対人コミュニケーションという自身の強みを生かし、より上流工程のポジションにシフト。ITサービスやコンテンツの企画・立ち上げ、ソフトウェア開発の統括など幅広い経験を積み、50代で同社を設立した。

萩原氏は同社を設立した理由として、「こんな会社があったらいいね！」を形にするためだったという。
「言ってみれば、良好な人間関係を大切にし、みんなで支え合い、共に成長しながら、豊かな人生を築くためのコミュニティをつくりたかったんです」（萩原氏）。

IT市場の拡大に伴って多くのIT企業が拡大路線を選ぶ中、同社は「やってみたい！」「こんなことができたらワクワクする！」というみんなの夢や思いを優先しているという。萩原氏いわく、自分が株主である限りは上場を目指さないとのこと。これは一般的な物差しで見ると社会貢献度は低いかもしれない。株主に向けた見栄えの良い事業計画ではなく、「人の思い」の積み重ねが笑顔の循環を生み出すと萩原氏は信じているのだ。

また萩原氏は「一人ひとりが市場価値を上げる」という考え方を強調している。少数精鋭の組織の下、将来のキャリアを見据えながら、目先の収入ではなく、生涯年収をアップさせる。そんな未来を理想として掲げ、萩原氏がIT業界で30年以上のキャリアを積んできた経験を生かし、20代を中心とした若いエンジニア一人ひとりへのアドバイスを行っている。

同社が目指す姿の原動力となるのは、エンジニア一人ひとりの成長意欲である。文系出身者や異業種からの転職者にとって、ITはハードルの高い業界。志を持った未経験者にはチャレンジを諦めてほしくない。そのように考えている同社では、Javaを中心としたWeb系・オープン系のスキルを無料で学べるITスクールを社内に開校している。現在現場で活躍する自社エンジニア約20名のうち、半数がITスクール卒業生だという。市場価値を高めるため、貪欲に学習するメンバーが多いことも同社の強みとなっている。

今後の展望の一つについて、萩原氏は「超上流」のノウハウを社内に蓄積することを挙げている。
「規模が50名程度になったらR&Dチームを社内に立ち上げ、みんなで意見・アイデアを出しながら自社サービスをつくってみたいですね。特にAIは見過ごせないキーワードです。新しい技術に触れるワクワク感が味わえるのはもちろん、企画等の超上流を経験することで、IT業界における市場価値は確実にアップするはずです」（萩原氏）。

トライ&エラーは、エンジニアの成長を加速させる上で欠かせない要素。チャレンジすることで新しいスキルが身に付き、今までにないアイデアが生まれ、イノベーションが生まれる。同社が見据える未来像にも、エンジニア愛があふれている。

同社がもう一歩先のステージに行くためには、新しい仲間（エンジニア・営業）が必要だと萩原氏は言う。
「エンジニアは経験1～2年あれば十分です。例えば夢を持ってIT業界に入ってきたけど、社内カルチャーや職場環境、事業構造といった外的要因でくすぶっている。そんなタイプの方であれば、きっと楽しみながら仕事ができると思います。営業については、無形商材の提案に興味があり、クライアントやエンジニアの成長のために働こう！と思えるタイプの方ですね。IT業界の経験はいりません。IT業界の慣習にとらわれず、自由なアイデアで自社の強みをPRしてほしいです」（萩原氏）。

同社では「関わる人すべてを大切にする」を共通のコンセプトとして掲げており、この考え方に理解を示す、思いやりの心を持ったメンバーが集まっている。そのため社内の雰囲気は非常に風通しが良く、萩原氏を含め社内のコミュニケーションも活発だ。

普段は別々の現場で働いているメンバーも、定期的に開催される社内イベント（キャンプ・飲み会等）で一堂に会し、みんなで楽しんでいるという。キャンプ場では日頃から趣味でキャンプを楽しむ萩原氏が自慢の料理をふるまっているとのこと。
「ゲーム好きも多いですよ。社内ポータルやチャットでも、個人がSNSで情報を発信するように頻繁にコメントが書き込まれています。仕事に関係ない雑談が中心ですが、いつでも繋がっている感覚が強いので、孤独感を覚えることはないと思います」（萩原氏）。
2021年に設立して以来、エンジニアの依願退職者が一人もいないことにも、同社の働きやすさをうかがい知ることができる。

また、相手の言うことに耳を傾け、意見やアイデアを自由にぶつけ合うカルチャーが醸成されているのも、「やってみたい！」と実現したい方にとって魅力的な環境である。例えば「VRゲームの開発にチャレンジしたい」というエンジニアの声をくみ取り、研究開発費を使って実際に開発に取り組んだことも。2023年には、「IT×アウトドア」をテーマに都内最大級のアウトドアイベントに出展し、社員発信で出展企画・イベント用のアプリゲーム開発・ブース運営まで行ったそう。最上流の企画からエンドユーザーとの触れ合いまで一貫して行った経験を通じ、「使って人に喜んでもらう」というサービス開発の本質を学んだという。

近年は生成AIが急速に進化し、「エンジニアの仕事が奪われるのではないか？」という声も多く聞かれる。だからこそ、エンドユーザーの笑顔を創造できるエンジニアの存在感はより一層増すはず。自らの市場価値を高めたいと考える方にとって、同社は人と人との繋がりの大切さを再認識し、心の知能指数を存分に発揮できる環境があると言えるだろう。