ミクレニティ株式会社を立ち上げるまでの経歴は?
若い頃は「放浪癖」がありまして、学生時代、勉強よりもアルバイトに精を出し、お金が貯まったらリュック一つで海外に出かけるなんてことをしていました。当時はアメリカが好きで、フロリダ・オレゴン・カリフォルニア・カンザス・ワシントン等、アメリカ各地を一人旅していました。 そんなわけで、将来のキャリアで思い描いたのは「海外で働きたい」でした。旅をする中で「英語」を習得していたので、語学力を生かせば夢ではないと思いました。特に、“ITスキルを身に付けて「IT×英語」でキャリアを築けば無敵”とアドバイスをしてくれる人がいて、その人の言葉に従ってIT業界でキャリアを積もうと考えました。 知り合いに紹介してもらったシステム開発会社に入社し、ITエンジニアのキャリアを歩み始めました。COBOLからスタートし、VB.NETやJavaのプログラミングを手掛けるようになりました。ただ、プログラマの仕事は私の性に合わなかったようで、海外からの問い合わせに対応する「ヘルプデスク」の仕事をしてほしいとあるメーカーから依頼を受け、私のキャリアは次のステージへと移行しました。
大手メーカーの仕事では、どんな役割を担いましたか?
大手メーカーが開発・販売する「データ転送システム」の海外ユーザーからの問い合わせ窓口の仕事でした。電話やメールで製品に対する質問やトラブルシューティングを日本語に翻訳し、開発エンジニアへ繋ぐ役割です。技術的な質問には開発エンジニアが答えてくれるので、技術スキルを必要としないため、エンジニアとして決して優秀とは言えなかった私には、ピッタリの仕事でした。海外で働きたいという、社会人になる時の目標へ向け一歩前進しました。 そんなある日、新製品の説明を聞くために、アメリカやヨーロッパの支社で働く取締役や本部長クラスの偉い人達が来日し、1週間付きっきりでお世話をする係を任命されました。最終日となった金曜日に彼らと飲んだ時に「私も海外で働きたい!」と勢いで伝えたところ、週明けの月曜日にドイツから電話があって「ヨーロッパ本社で働かないか?」とオファーを受け、海外で働くことになりました。 夢が叶ってヨーロッパで働くことになったのですが、1年半が経った頃、アメリカで9.11のテロが起こり、海外から来ている人は帰国を余儀なくされました。
ミクレニティ株式会社を立ち上げた経緯は?
海外勤務の頃からフリーランスになっていた私は、帰国後もフリーランスとして、大手メーカーの「データ転送システム」の現場で働き続けました。私が携わっていた「データ転送システム」に精通している人材が少なく、その中でも英語が堪能な人材が非常に希少で、その大手メーカーの「データ転送システム」を活用したプロジェクトで重宝され、私のキャリアは定まりました。 そこから10年間、フリーランスとして活動。2014年にシステム開発会社を譲り受けて社名を変更し、ミクレニティ株式会社の代表に就任しました。フリーランスとして活動するうちに、いろんな人と信頼関係を築き上げ、「データ転送システム」に関するプロジェクトをはじめ、様々な大規模プロジェクトの話も頂くようになりました。 その過程で規模に準じたチーム体制を任されるようになり、信頼のおける知人の優秀な人材に声を掛けて手伝ってもらっていました。それならいっそのこと会社で案件を受けられる体制を整えようと考え、当社の代表になり、社会人生活で信頼関係を築いてきた、友人知人に声を掛けて少しずつ組織を大きくしていきました。
有能なPMになるためのポイントは?
いち早く正確な情報を手に入れて、それを瞬時に整理して意思決定に持ち込むことです。PMなら自分で判断するし、PMOならPMに情報を上げて判断を仰ぐ。PMもPMOも管理が業務ですから、プロジェクトの目標や成果物の定義を熟知した上で、どれだけ現状を的確に把握しているかがポイントとなります。 プロジェクトが大きくなればなるほど、問題課題が発生したり、スケジュール通りに進まなくなっていくことが多々あります。 PMに求められるのは、知識や実績、経験だけではありません。プロジェクトの目標や本質、メンバーの特性を深く理解し、性質に合った柔軟な対応力を持つ「人間性」が重要です。 また、いち早く問題をキャッチアップし、必要な情報を収集・整理して提供することで、意思決定を支援する役割も担います。さらに、プロジェクトの目標を軸にメンバーとスムーズにコミュニケーションを図り、方向性を一致させることが、プロジェクト成功の鍵となります。
仕事をする上で、大切にしていることは?
楽しく働きたいという思いが昔から強く、そのために相手を楽しませるのを大切にしています。決して自己中心的にならず、相手が求めるものをまずは与える。「人が生きる価値」みたいなことを考えると、私が思い描くのは自分のお葬式の絵図です。多くの仲間に見送られたいですよね。ミクレニティという会社を、気の合う仲間が集う場所にしたいと思って10年以上続けてきました。 今後は、PMのプロフェッショナル集団として、規模を大きくしながらも、それぞれの人材が専門性を持っていくと、クライアントや世の中に大きな価値提供ができるかなと思っています。スキルアップのために会社でバックアップする制度も整えています。PMスキルを磨きながら専門性のある人材になってほしいです。「AI×PMO」「DX×PMO」といった感じで、専門性のある人材がPMスキルを活用すれば、いろんな現場で求められる人材になると思います。 個人的な話になりますが、私は当社のほかに会社を二つ経営しています。ヘアミストやヘアオイルを製造販売する会社とキッズ向けのヘアサロン。今後は当社の社員で事業をやりたい人がいれば、できる限りのバックアップをしたいと思っています。当社で新規事業を立ち上げたい人も大歓迎です。
