株式会社マッシュマトリックス

株式会社マッシュマトリックスは、SalesforceのデータをまるでExcelを扱うかのように操作できるアドオン製品『Mashmatrix Sheet』を開発・提供している。2016年2月のリリースから着実に導入社数を伸ばし、2021年末時点で200社弱が同製品を利用中だ。この支持に背景には、「DXを推進しようとする営業現場がぶつかりがちな壁がある」と、代表取締役社長・冨田慎一氏が説明する。
「ユーザーの細分化やニーズの多様化が進む状況下で営業の効率と質を向上させていくには、SFA/CRMによるデータに裏付けられた営業活動が有効な選択肢の一つになってきます。Salesforceが急速に普及している理由も、こういったデータドリブンな営業活動の必要性が広く認識されてきていることにあるのでしょう。しかし、Salesforceは“脱Excel”を指向して開発された経緯があるため、操作感もExcelとはかけ離れたものになっています。そのため、Excelを使い慣れた営業現場ではデータ入力等の操作段階で躓き、せっかくツールを導入しても、十分活用されないという事態が多々発生しているのです」

Salesforceを活用するには、営業活動や顧客情報等、営業現場が蓄積している膨大なデータを入力する必要があるが、そのためには営業がツールの使い方をマスターした上でデータ入力の時間を確保しなければならない。これが大きな負担になっているというのだ。
「その点、『Mashmatrix Sheet』は営業をはじめ、多くのビジネスユーザーが使い慣れたインターフェースなので、直感的に使用でき、習得のために特別な研修を受ける必要もありません。また、Salesforceを使いやすくする目的で開発した製品なので、Salesforceの機能をボタン一つで呼び出せる等、親和性が非常に高いところも、お客様に喜ばれています」

冨田氏は、元々、セールスフォース・ドットコム社に在籍していたエンジニアであり、2008年にマッシュマトリックスを設立した後もSalesforceのパートナーとして長年連携してきた実績を持つ。つまり、Salesforceの強みや弱み、ユーザーのニーズ、課題をよく理解しているわけだ。その彼が中心となって開発している『Mashmatrix Sheet』だからこそ、痒い所に手が届く製品として多くのユーザーの心を掴んでいるのだろう。

『Mashmatrix Sheet』を導入した企業数が、直近3年間は前年比倍増で推移。まさに伸び盛りといえるわけだが、この勢いをさらに強めていくため、営業体制の強化にも着手している。
「これまでは販売代理店やセールスフォース社からの紹介を中心に拡販に努めてきましたが、自社営業による直販も強化するため営業担当者を増員。自社サイトにきた問い合わせをリード化、商談化して契約に繋げていける体制の構築を進めています。また、セールスフォース社との連携をより強いものにし、代理店内における『Mashmatrix Sheet』の優先度を高めることにも、引き続き取り組んでいるところです」

Salesforceユーザーのコミュニティは結び付きが強いため、コミュニティ内の認知度を高めることが『Mashmatrix Sheet』の普及に大きく影響してくる。そのため、例えば『Mashmatrix Sheet』は営業現場だけでなく、アドミンにとっても役に立つ製品であることをアピールする等、認知度向上施策にも力を入れているという。
「現状、当社製品を導入いただいている企業は、日系企業がほぼ全てですが、Salesforceを導入している外資系企業は数多く、セールスフォース社との連携を強化していくことで、『Mashmatrix Sheet』の海外展開の道も見えてくるはずです」

一方、『Mashmatrix Sheet』の機能追加や機能改善にも積極的だ。バージョンアップは年平均3回ほど実施。直近では、検索フォームをドラッグ&ドロップ操作で設置し、レコード検索を可能にする『Sheetフォーム』機能を追加している。Salesforceの標準レポートやリストビュー等では、エンドユーザー自身が入力を指定して絞り込み条件を都度変更する検索フォームが利用できずカスタムによる画面開発が必要だったが、『Sheetフォーム』はこの不便さを解決してくれる。
「ほかにもアイデアベースのものやプロトタイプまで形にしてあるものなど、新しい製品開発も進めています。ただ、全てを並行して行えるほどの人的リソースは、今の当社にはありません。『Mashmatrix Sheet』によって生まれた今の勢いをより大きな流れにしていくためにも、マッシュマトリックスは新たな仲間を必要としているのです」

株式会社マッシュマトリックスのメンバーは、現在10名以下であり、社風と呼べるほどの文化は完成されていない。むしろ、これから加わる仲間達も交えて、“マッシュマトリックスらしさ”をつくっていくフェーズといえる。ただ、事業特性上、エンドユーザーを身近に感じながら製品開発や販売業務に携わるため、「きちんとお客様と向き合い、お客様が抱えている課題や望んでいることを考えられる人」であることが活躍の条件の一つだと冨田氏は語る。

「『Mashmatrix Sheet』は、Salesforceとエンドユーザーを繋ぐインターフェースであり、Salesforceをより使いやすくするためのサポート製品ですから、お客様を深く理解することが非常に重要になります。そもそも、当社は企業内のデータベースやクラウド上に格納されているデータを、より効率的かつ直感的に扱える仕組みを提案していきたいとつくった会社です。その実現には、エンドユーザー視点が欠かせません。ここを理解・共感して、エンドユーザーの顔が見えやすいポジションでのプロダクト開発に関心が強い人に向いている会社だと思います」

また、同社のビジネスモデルは、セールスフォース社や販売代理店といったパートナーとの連携を前提としている。そのため、社外パートナーとの協力関係を構築し、win-winの関係を目指していく意識も大切になる。
「社外との関わりの中で吸収した知見や情報を独り占めせず、社内に共有して組織としてのベースアップを図っていける社員であってほしいとも思っています」

社員の自主性を重んじ、エンジニアだけでなく、営業にもリモートワークを適用して出社は週に1回だけ。『iDeCo＋（イデコプラス）』を採用して社員の老後の所得を支援する等、「福利厚生は整備中」という中であっても、社員のことを考えた制度導入に前向きだ。評価制度についても、セールスフォース社の『V2MOM』とシリコンバレーの有名企業が取り入れている『OKR』のいいところを融合したハイブリッドな制度構築を目指している。
「事業面も社内制度の面でも未成熟な会社ですが、それは、まだまだ成長の余地があるということです。また、当社には成長していける余力も十分あると自負しています。ただ、そのためには、新たな力が必要です。当社が思い描く戦略や大切にしている考え方に共感してくれるのであれば、そして当社に可能性を感じてくれたのならば、一緒にさらなる成長を実現していきましょう」