イージステクノロジー株式会社

指紋認証をはじめとする生体認証プロバイダーとして、スマートフォンメーカーに生体認証ソリューションをトータルに提供しているEgis Technology Inc.。現在韓国、中国、台湾、日本の多くのクライアントに採用され、指紋認証ソリューションにおいて世界トップのシェアを持っている。その日本法人が、イージステクノロジー株式会社である。

同社は現在、ソニー株式会社、シャープ株式会社などの大手メーカーに対し、技術提供を通じて台湾本国のソリューションとの橋渡しを行っている。

Egis Technology Inc.は、2007年、生体認証ソリューションで独自の技術を持つ3社が合併して設立された。生体認証に必要な生体認証アルゴリズム、ソフトウェア開発キット（SDK）、生体センサーデザインなどの技術はすべてをトータルに自社で提供できる体制が整ってる。そして2015年には、台湾の証券取引所に上場。世界的なスマートフォン市場の伸びと共に、Egis Technology Inc.は急成長を遂げ、2020年も対前年比125%の売上を叩き出した。

Egis Technology Inc.の強みは、何と言っても技術力である。400名を超える従業員が活動しているが、その7割以上はR&D部門に配属。研究開発プロジェクトが常に数本は走っている状態にある。また、全世界で200以上の特許を取得。これらをもとにコストを押し下げ、価格の面でも競合に対する優位性を保っている。

そんな技術力を生かしたスマートフォンの指紋センサーは、現在“静電容量方式”と“画面下光学センサー方式”の二つが主流だ。世界トップシェアの韓国Samsung Electronics Co., Ltd.のスマートフォンは、ほぼすべてのモデルにEgis Technology Inc.の技術を採用している。日本で最初に“画面下光学センサー方式”を採用したシャープ株式会社の端末もEgis Technology Inc.のソリューションである。

日本法人であるイージステクノロジー株式会社には、冒頭で紹介した国内メーカーをはじめとする取引先のサポートという大きなミッションがある。しかし、現状維持だけが目的ではない。例えば韓国ではHyundai Motor Companyと組み、世界初の指紋センサー搭載自動車を開発した実績があるが、このようなスマートフォン以外の領域に進出する可能性を、この日本で模索する…というミッションも持っているのだ。

指紋センサーは、ハードウェアを端末メーカーに納入したらそれで終わり、というものではない。センサー以外に、認証に必要なアルゴリズム、付随するソフトウェア、ドライバー等、トータルで提供する必要がある。

そこで同社が行っているのが、開発メンバーによるオンサイトサポートである。Egis Technology Inc.の開発メンバーが、クライアントのニーズによって、世界各国に赴き、クライアントの社内で作業を行っている。

日本においても、同様のオンサイトサポートが行われている。現在イージステクノロジー株式会社には2名のPMが在籍。台湾本社Egis Technology Inc.のメンバーと共に、顧客の開発拠点に足を運ぶ。開発のステージによって、必要となるメンバーのスキルも人数も様々。日本法人である同社のPMは、日本の顧客とコミュニケーションをとり、要望を把握すること、そしてメンバーの作業の進捗管理を行うことの二つが主なミッションだ。本社・台湾の開発チームと連携しつつ、作業や指示の内容を確認しながら進めることが重要である。

代表取締役社長の唐　先智氏によれば、同社は国内メーカーとの取引が拡大し、日本法人単独で収益を生む体制が確立できているそうだ。

「そこで現在考えているのが、日本のメーカーを専門でサポートするチームを作ることです。案件が発生する度に本国のメンバーを呼び寄せるのを最低限とし、できれば日本法人のメンバーでサポートを完結させたいのです。PMを任せられる人材は引き続き必要ですが、さらに、PMの指示のもとで実際の作業を行うメンバーも増やしていきたいですね」（唐氏）

唐氏は4年前に同社の代表取締役に就任した。その唐氏のもと、現在同社では3名の社員が活動している。2名が前項で触れたPM以外に、1名のサポートエンジニアがいる。1名は日本人、1名は台湾出身、そしてもう1名は中国出身という多国籍チームである。

国内で活動しているメンバーの働き方は、顧客先で仕事をしているか、在宅勤務か、のいずれかである。顧客のオフィスや工場で作業をすることもあるし、自宅のテレワークでメールのやりとりや進捗管理を行うこともあるとのことだが、いつ・どこで作業をするかは基本的に本人達に任せているという。ただしそれは、エンジニアの具体的な作業内容が把握できない、という理由からだけではない。

「当社は成果主義ですから、プロセスをすべて管理するつもりはありません。それは私個人の志向としても同様です。プロセスではなく、パフォーマンスを重視したいと思います。出退社の時間はゴールに合わせて各自で決めればいいし、作業が本当に何もないのであれば、その日を休みにしてしまっても構いません」（唐氏）

唐氏のマネジメントのもと、同社は引き続き国内メーカーのサポートを行っていく。しかし冒頭で触れたように、今後についてはスマートフォン以外の領域にも進出していく可能性がある。Egis Technology Inc.の生体認証ソリューションと、国内の様々なメーカーの知見を融合し、新しいソリューションを開発していくことになるだろう。具体名は出せないが、既に国内の某メーカーとの開発も進んでいるそうだ。

Egis Technology Inc.では様々な研究開発プロジェクトが走っている。エンジニアは入社後、導入研修で現地を訪問し、その一端に触れることになるだろう。また新製品がリリースされる時には、トレーニングのために再び現地で研修を受けることもある。最先端の生体認証技術に触れる環境としては申し分ない。

「このような環境でキャリアを積みたいという方はもちろん歓迎します。それだけではなく、今後日本法人が進出するであろうスマートフォン以外の新しい分野、新しい技術に興味がある方も是非ご連絡ください」（唐氏）