株式会社SOKUSHIN

AWSやAzure等のクラウド領域を得意とし、システムエンジニアリング事業を展開する株式会社SOKUSHIN。1960年の設立から築いてきた安定基盤で、会社もエンジニアも新たな挑戦に踏み出している企業だ。

実は同社は、長きにわたって建設工事支援事業（地盤改良工事や地下水位低下工法等）で名をはせてきた。そこに2024年、新たな事業を推進する部隊として、IT事業部が誕生したのだ。

今まで貢献してきた“建設工事”の市場から一転、全く異なる業界である“IT”で新事業を立ち上げたのは、部長を務める川端堅吾氏。川端氏はこれまでにSES企業や人材派遣会社の営業を経験し、「IT×人」の領域で活躍してきた。

「皆さんご存じの通り、各業界ではIT化の重要性が高まっています。それは当社が長年関わってきた建設工事業界も例外ではありません。建設工事の現場ではIT化が喫緊の課題とされ、この業界に特化したITサービスの他、DX等の支援も需要が高まっているんです」（川端氏）。

そこで同社では、二つの狙いを定めてIT市場への船出に踏み切った。一つ目は、これまでの安定基盤を味方に、同社としても新たな市場へ挑戦すること。そしてもう一つは、IT領域のナレッジを生かし、建設業界へさらに貢献していくことだ。

まず始まったのが、エンドクライアント企業のシステム開発や運用を支援するSES事業だ。

支援するエンドクライアントの業界は多岐にわたる。大手自動車メーカー向け書類電子化のWebアプリや、金融業界に関連する取引システム、物流領域の自動倉庫システム等、多様なジャンルを手掛ける。さらに携わる工程も幅広く、要件定義や基本設計から支援するプロジェクトも珍しくない。大手SIerを介した二次請けのプロジェクトが中心だが、今後はエンドクライアントとの直接取引も増やしていく。

「最初は私一人で立ち上げましたが、現在はエンジニアも営業も順調に増えています。現在は建設関連事業部の人数に対して、IT事業部の人数が上回ったほどです（2025年10月時点）」と川端氏。

2024年に誕生した若い事業部は、実績も組織もハイスピードに成長。今後もこの成長を加速すべく、新たなメンバーを迎えたいという。

「会社としては歴史が長く、安心して活躍できる基盤は整っています。その上で、IT事業部という新たな事業を一緒につくり上げていく楽しさも味わってもらえたらと考えています」（川端氏）。

近年は、紹介から始まる取引やプロジェクトも続々と増えている同社。SES企業は競合他社も多い中、まだまだ歴史の若い同社は、どのような点で評価されているのだろうか。

まず会社全体として、クライアントと密な関係を築いている点が大きな評価ポイントだ。

「まず各プロジェクトの営業は、クライアントと月1回の頻度で面談します。また、自社のエンジニアとも毎月面談を実施しており、遠方でリモートワークするエンジニアとも対面でコミュニケーションを取っています」と川端氏。クライアントとエンジニア双方の状況を深く理解し、課題解決やさらなるクオリティーの向上を叶えられる環境をつくり出しているのだ。

もちろん、現場で活躍するエンジニアの技術力や人柄も好評だ。大手SIerでリーダーを務めたエンジニア達もおり、全社的にエンジニアの技術力は高水準だ。プロジェクトの中で主体的に提案したり、自分から担当を超えて対応したりと積極的に行動する姿勢も、クライアントのプロジェクト成功に大きく寄与しているという。

「積極的な姿勢は、エンジニア一人ひとりの向上心の高さが表れていると思います。プロジェクトの中で『何か一つでも学びを得よう』と意識を高く持つエンジニアが多いんです」（川端氏）。

このようにホスピタリティ面・技術面の両方を向上させ、エンドクライアントからの厚い支持を獲得。「次回のプロジェクトもSOKUSHINのエンジニアをお願いします」と言われることも珍しくない。その結果、依頼は順調に増え続け、エンジニアの体制拡大も進んでいる。

ところで同社は、建設業界から出発し、新規事業としてIT事業をスタートさせたユニークな企業だ。その点で今後は、「建設×IT」のシナジー効果も狙っていくという。

「今後はIT技術を生かして、どんどん建設業界にも貢献していきたいと考えています。そこに向けてまず取り組んでいるのは、自社の建設工事事業で活用する自社システムの開発です。まずは自社内で実績とナレッジを積み上げ、建設業界に広く寄与できるサービスを展開していく所存です」（川端氏）。

最後に、今後のIT市場の未来も見据えて川端氏はこんな展望を語った。
「今後は、AIと共存できる企業を目指したいと考えています。AIに任せられる領域が増えている中で、どういった場面でAIを駆使するか、そして、エンジニアという人間だからこそ力になれることは何か。その点を追求していきます」

「当社の一番のやりがいは、『自身の成長や理想のキャリアを叶えるための道を進める』――。これに尽きると思います」と川端氏は胸を張る。

その点で、同社の特徴としてまず取り上げたいのは「100%案件選択制」。理想とするキャリア形成や挑戦したい領域等を踏まえ、基本的にはエンジニアが望む案件へアサインさせる仕組みだ。

同社は歴史の浅い企業でありながら、エンジニアが望む案件を十分に獲得できている。それはSES営業経験の豊富な川端氏の他、大手SIerの営業として10年以上活躍したメンバーのネットワーク力や交渉力によるものが大きい。

しかし一方で、一人ひとりのエンジニアへの理解力も高いのが同社だ。営業とエンジニアとの月1回の面談では、アサイン中のプロジェクトについて情報交換する他、理想のキャリアパスについても深く話し合う。そのため、営業は一人ひとりのエンジニアに不釣り合いな案件へアサインすることは基本的にない。

「仮に『100%案件選択制』と銘打った仕組みを設けなくとも、この体制は出来上がっていたと言えますね」と川端氏は語る。

ここまでのエンジニア思いの体制は、川端氏のキャリア形成に対する考えも大きく影響している。

実は川端氏、以前は俳優を志して芸能界で活動。映画やドラマ、演劇専用の劇場といった数々の舞台に立ち、演技の道を突き進んだという。

「現在は芸能の道から離れていますが、やはりあの時期に得た価値観は今に繋がっています。私も仲間も大きな夢があり、それに向かって一心に突き進んでいました。もちろん努力だけで全ての人が夢を叶えられる世界ではありません。しかし夢の舞台に立ちたいと願い、“そのゴールに繋がるための道”を歩みたいと切に願っていました。――この思いは芸能界だけでなく、様々な夢を描く人に言えることだと気付いたんです」（川端氏）。

夢に向かって真剣に挑んできた川端氏だからこそ、同社で理想のキャリアを叶えようとするエンジニアの力になりたいと、人一倍考えているのだ。

こうした考えを持つ川端氏や、同社の営業のマネジメント未経験ゼロから経験を重ね、現在リーダーとして活躍するエンジニアもいる。また自社システム開発に挑戦するSESエンジニアも、同社では全員のエンジニアが前職からの年収アップを実現させている。

「もちろん私だけの思いではありません。エンジニアと誠実に向き合う営業メンバーが多く、『この営業がいるから自分も頑張ろうと思えた』と言ってくれるエンジニアもいるんです」と、川端氏は誇り高く語った。

長い歴史が安定基盤を積み上げ、今度は“IT”をキーワードに新たな歴史をつくり始めている同社。その変革の中で掴める成長とキャリアは無限だ。