株式会社STG

SESエンジニアとしてキャリアを積んだ経験を生かし、エンジニアのための会社づくりを進めているSES会社がある。2022年2月に設立された株式会社STGだ。

SES事業を展開するエンジニアサービス会社である同社は、特にJava案件を得意とし、Web開発を中心に、インフラ、機械学習、QA等の専門技術に特化した人材を育成。クライアントのニーズに合わせた技術を提供している。

後発のSES会社として、エンジニアがSESで働く際に感じるデメリットを解消する工夫を取り入れ、エンジニアが快適に働ける環境を構築している。その一例が案件選択の自由である。通常、SESエンジニアはプロジェクトを渡り歩き、会社が決めた次のプロジェクトで働くのが一般的だが、同社では案件の選択権を100%エンジニア自身に与えている。

「案件選択の基準は、エンジニアによって様々です。現状のスキルで活躍できる現場、新しいことにチャレンジできるプロジェクト、自身が望む働き方ができる案件等。当社では担当営業がエンジニアと密にコミュニケーションを取ることで、エンジニアの希望を的確に把握し、新しい現場を探す必要が生じた際に、エンジニアの希望を最優先します」(代表取締役社長・鈴木大斗氏)。

案件選択の自由により、エンジニアは自身の望むキャリアや働き方を実現しつつ、継続的なスキルアップを図ることができる。SES業界では、現在のスキルで務めることができる案件ばかりに参画していると、数年後に市場価値が下がるリスクがある。しかし同社では、エンジニアが自ら案件を選ぶことで、そのリスクを回避できる仕組みを整えている。

「業界全体がエンジニア不足の折、システム保守や開発テスト工程等、エンジニアとしてのスキルが低くても務まる案件で売上を稼ぐことも可能です。SES事業は労働集約型のビジネスモデル故に、会社はエンジニアを大量に雇用して、現場で稼いでくれることを願います。しかし、現在のスキルで務める案件ばかりに参画するということは、スキルアップができていないということ。その差は数年後に現れます」(鈴木氏)。

エンジニアに案件選択の自由を提供し、長期的なキャリア構築とスキル向上を支援する仕組みが、同社の大きな特徴と言える。魅力的な環境でエンジニアを支える企業として、しっかりしたキャリアを歩みたいエンジニアは注目してほしい。

同社がSES会社として工夫している点には、「チーム単位での常駐」も挙げられる。SES業界では単独で他社に常駐して働くケースも多く、エンジニアに孤独を感じさせることが転職理由の一つになる場合がある。しかし、同社ではチームでの常駐を基本とすることで、エンジニアが孤立する心配を取り除いている。

クライアントサイドから見ても、チーム単位での業務依頼にはメリットがある。安心して業務を任せられるだけでなく、事務作業の手間も減り、コスト削減に繋がる点が評価されている。

「お客様視点で見ると、チームで現場に入ってくれる会社は非常に助かると聞いています。昨今はコンプライアンスの問題等もあって、中間に他社が挟まると管理が難しくなってしまい、リスクが高まるからです。SES業界にはプロパーのエンジニアを雇用せず、パートナー企業からエンジニアを集めて現場に入れる会社も存在しますが、当社はプロパーのエンジニアでのチーム編成にこだわっています」(鈴木氏)。

チームでの客先常駐はエンジニアにとっても、特に未経験の業務に挑戦する機会が得られる点で大きなメリットとなる。一人常駐では経験のない業務に参画するのは難しいが、チームでの常駐なら他のエンジニアのバックアップを受けることで挑戦できる。初めて業務を経験することで、次回以降の案件への参画が容易になるという循環が生まれる。

「チームで現場に入ることで、上流工程やマネジメント等のスキルを磨くことができます。自社のメンバーが同じ現場で働いているので、分からないことや困ったことがあれば、いつでも相談できます。社会情勢の変化によって、リモートの案件が減る中、チームで現場に入れば働き方の融通が利きやすくなります。基本は常駐先の働き方に合わせますが、特別な事情がある場合等は、クライアントと交渉することも可能となります」(鈴木氏)。

さらに、チーム常駐の仕組みを活用することで、エンジニアがスキルを積み上げる場を提供し、市場価値の向上を促進している。これにより、個人の成長と会社全体の価値向上が両立できる環境を実現している。同社はエンジニアにとっても、クライアントにとっても魅力的なサービスを提供するSES会社だと言えるだろう。

SESエンジニアが抱える不満を徹底的に解消し、満足して働ける環境を構築している同社。その特徴的な取り組みとして挙げられるのが、「案件選択の自由」「チームでの客先常駐」、そして「明確な報酬体系」だ。同社では月給を「月単価の70%」と明確に定めている。

「不明瞭な給与体系もSESエンジニアが不満に感じているポイント。当社は月単価の7割と決まっているので、月給を上げたければ自分の単価を上げること。分かりやすいので、エンジニアは納得して働けますし、単価アップへモチベーションも高められます。案件選択の自由とチーム制によるスキルアップが、エンジニアの収入に繋がるように制度設計しています」(鈴木氏)。

さらに、SES企業において一般的な「帰社日」を設けない点も、同社の特徴的な取り組みだ。通常、SES企業では、業務を早めに切り上げて帰社し、会社の方針共有やエンジニア同士の交流を行う「帰社日」を定期的に設けている。しかし、同社ではこれを完全に撤廃している。

「普段からチーム内、あるいは担当営業と密接なコミュニケーションが取れていれば、帰社日を設けて集まる必要はありません。他の現場で働く自社のエンジニアと交流したければ、プライベートで交流する機会をつくれば済む話で、会社が全エンジニアを招集する必要はありません。開発が忙しい中、時間を割いて自社オフィスへ行くのを嫌うエンジニアも少なくありません。当社は無駄に会社に集まりません。ただ、エンジニア同士が交流を深める機会はつくっています。もちろん、参加は自由です」(鈴木氏)。

また、SESエンジニアが敬遠しがちな「日報の提出」を求めない点も大きな特徴だ。多くのSES企業では日報や週報、月報の提出を義務付けており、エンジニア達にとって開発業務以外の負担となることも多いが、同社ではこれを完全に排除している。

「SESエンジニアは、みんな会社に日々の業務を報告する『日報』や『週報』あるいは『月報』を書いています。開発の仕事に集中したいエンジニアには、不評な業務です。会社がエンジニアを管理・評価する上で業務報告は重要ですが、当社の場合、エンジニアの評価は『月単価』が全てです。どれだけ小まめに業務を報告しても、お客様から評価されなければ月単価は上がらず、給与もアップしません。だから、日々の業務を事細かく会社に報告する必要がありません」(鈴木氏)。

同社を創業した鈴木氏は、自身がSESエンジニアとしてキャリアを積んだ経験を生かし「エンジニアが創る、エンジニアのための会社」を目指している。理想的なエンジニアライフを求める人々に最適な環境を提供できる会社であり続けたいと願っている。自分が追い求める働き方を見つけたい人は、ぜひ同社に目を向けてみてほしい。そこで、新たな可能性が待っているかもしれない。