株式会社ビースリー　代表取締役 田和 充久 氏 1995年、クイック入社。1999年、エキサイト入社。ｗoman.excite責任者、アライアンス責任者などを経て、2006年にオンラインゲーム部長就任。2007年7月、ビースリーを設立、代表取締役に就任。

これまでのキャリアについて教えてください。

実は大学4年が終わる時点で留年するものと思い込んでいたところ、予期せぬ救済措置により卒業できることになり、一転して就職浪人になってしまうという出来事がありました（笑）。 そこで出会ったのが人材サービス会社のクイックでした。1年先の入社を前提にした面接を受けたつもりが、中途として扱われ、面接当日に採用が決まり、それから3日後には働きはじめるという慌ただしさ。本当は就職浪人の立場を利用して、アフリカの難民キャンプでボランティアをして、ついでに世界一周の旅に出ようと思っていたのですが……（笑）。いずれにせよ、この人生の流れがおもしろい。そんな気持ちで社会人生活をスタートさせたのです。 クイックでは、主に営業の仕事に携わりました。飛び込み営業みたいなこともやりましたよ。当時は「非効率なやり方だな」と思ったこともありましたが、そこで築かれたお客様との関係は今日まで続いているものがたくさんある。決して無駄なことばかりではなかったですね。 結局、クイックには4年ほど在籍し、その後インターネットサービス会社のエキサイトに転職しました。世の中をおもしろくする、便利にするインターネットという存在に可能性を感じたこと、自社サービスを行っていること、などが決め手でした。エキサイトでは、毎年のように異動を経験し、オンラインゲームを手がけたり、新会社の設立に参画したり、いろいろな経験をさせてもらいました。

ビースリーを設立した経緯は？

エキサイトにはおよそ8年在籍したのですが、幅広い仕事に携わる中でいろいろと新しいビジネスのアイデアが湧いてきました。それらのアイデアをエキサイトで実現する道もあったのですが、大きな組織の中で連携をとりながらプロジェクトを進めていくのはそれなりに労力や時間を必要とする。それであれば自分で会社を立ち上げて、すべてを自社サービスとして市場に提供したいと思ったのが設立の経緯です。 実は私がエキサイトを退職する前から、何名かのメンバーは一足早く当社の設立準備を進めてくれていました。これまでの仕事を辞めて当社の可能性にかけてくれたメンバーに対して、経営トップとして必ず何らかのリターンをしなければならないと思っています。

ビジネスを行う上で大切にしていることは何ですか？

縁とタイミングです。なぜなら、たとえ縁があったとしても、タイミングが合わなければ成果に結びつかない。逆の場合もまたしかりだと思うからです。 また、やりたいことをやることや、自分の経験にとらわれすぎないことにもこだわっています。特に後者については、過去の経験では「儲からない」と思われたことが、今日には必ずしも当てはまらないケースがたくさんあるため、常に意識する必要があると考えています。ビースリーという会社においても、自分のアイデアに執着するのではなく、他のメンバーのアイデアにもよく耳を傾けたいと思いますし、そのアイデアにしっかりと筋道が通っているのであれば可能なかぎり採用して、世に送り出していきたいですね。

プライベートはどのように過ごしていますか？

月に一度は必ず何かを観に行くようにしています。 最近、観に行ったものを思い浮かべると、プロレス、歌舞伎、バレーボール、チャリティーコンサート、お笑い……といった具合にノンジャンル。一見とっつきにくいジャンルでも、実際に観てみると新たな発見があるところに楽しさを感じています。最近のお勧めですか？　バレエですかね（笑）。堅く難しいイメージを抱いている人も多いと思いますが、予想以上に親しみやすい世界でイメージが変わると思いますよ。 元来、少しでも興味があると「やってみたい」「観てみたい」と思うタイプ。学生のころ、友人がバイクで日本一周をした話を聞くと、自分もすぐさま免許をとって、日本一周の旅に出るという具合（笑）。先ほど前職で頻繁に異動を経験したと申し上げましたが、それぞれの仕事に前向きに取り組めたのは、こうした性格のおかげかもしれません。