代表取締役社長 池野 大助 氏

中途採用を実施するのは久しぶりと聞きました。中途で入社される方にどのようなことを期待しているのでしょうか。

中途の方の採用にあたっては「新しい風を入れる」という面で非常に期待をしています。というのも当社の離職率は10％以下と低い水準です。それは素晴らしいことですが、一方で似たような人が集まる、ずっと同じ人たちと一緒に仕事をすることになるという面もあるのです。それは必ずしも良い方向に作用することばかりではないでしょう。 長くいる人たちの集団では、まったく新しい考えを持った人がちょっとした質問を投げかけるだけで、改めて今やっていることがいいのかどうか、他にもっとやり方はないのかと考えるきっかけになります。 ですから、中途採用でお入りいただく方々には是非、入社直後に「あれ？」と思ったことをたくさんメモしておいてほしいと思います。最初に感じた違和感。その感覚が非常に重要なのです。それを大事にして、そこから自ら行動を起こしたり、周りを巻き込んだりして改善していってほしいと思っています。その新しい視点が、当社の変革や成長につながるのです。

御社として目指している人財像や、社員のみなさんに意識してほしいことなどがありましたら、教えてください。

当社の社員は、3つのクオリティを備えていることが必要だと思っています。それは「技術力」、「人間力」、「創造力」です。キャリアを持ってお入りいただくみなさんは、すでに高い技術力をお持ちでしょう。しかしそれに甘んじることなく、当社の充実した教育制度を使って、さらに技術を磨いてほしいと思います。 そしてみなさんに、特に意識してほしいのが「人間力」と「創造力」です。当社はモノをつくる「製造業」ではなく、お客様に満足を提供する「サービス業」。技術力だけではなく、お客様の課題や要望と真摯に向き合って解決のために全力を尽くす姿勢や、「こうなったらいいな」「こうなれば便利だな」といった漠然とした希望や期待を、創造力を駆使して実現する力が不可欠です。それらが伴ってはじめてお客様からの信頼や尊敬が得られ、その結果として豊かで便利な社会創りに貢献することにもなると思うのです。 目指してほしいのは、「あなたとまた一緒に仕事がしたい」と言われるエンジニア。技術力はもちろん、人として尊敬できて、納めたものも評価される―それらをすべて凝縮した言葉ではないでしょうか。お客様からも同僚からもそう思ってもらえたら素晴らしいですね。これからご入社いただくみなさんにも、ぜひそんなエンジニア像に向かって成長を続けてほしいと思います。

創業80年余り。これだけ長く会社が続き、成長を続けてこられた要因はどのようなことでしょうか。

当社は、1930年に東京府京橋区木挽町(現 東京都中央区銀座)にて、電話機向けの通信機器販売を手がける会社として創業しました。当時としては最先端の事業でした。この10年余りで創業した会社が多いIT業界にあっては、80年を超える長い歴史を持つ当社は、ともすれば「古い会社」、「変化にとぼしい保守的な会社」とみられがちです。 しかし、それは違います。通信機器からはじまり、1967年には大型汎用機オペレーション事業に進出。その後システム開発、ソフトウェア開発、システム構築、オフショア開発と事業領域を拡大し、日本の情報通信産業の進化とともに成長してまいりました。一般に30年ともいわれる企業サイクルのなかで常に時代を読み、チャレンジをしつづけてきた結果が、今につながっているのだと思います。本当に「変化に乏しい保守的な会社」だったとしたら、とっくに姿を消していたでしょう。 この業界はとかく下請け体質となりがちですが、私たちは違います。ただ与えられるのを待つのではなく自ら積極的な提案を行い、お客様の期待を超えるサービスを提供しつづけることこそが、これまでもこれからも、持続的に会社が成長をつづける秘訣だと思います。

さらなる成長を目指すうえで、ビジョンや大事にしている価値観などがあったら教えてください。

「作る」から「創る」へ。これが、これからの当社のキーワードです。 当社が今、目指していることは、これまで培ってきた技術や経験を活かし、新たな市場を創り出すビジネスを展開することです。当社の強みであるシステムインテグレーションの領域に加えて、当社独自の製品・サービスを開発することにも力を注ぎ、積極的に市場を開拓していこうとしています。 またシステムインテグレーションの領域でも、ただ「作る」だけにとどまりません。当社が得意としている公共のシステムは、とかく要件とコストを重視し、「作る」に終始しがちです。そしてそれを満たす当社の高い技術力は財産の一つではありますが、そこに製品やサービスとしての魅力が加われば、もっと広く世の中に受け入れられると思うのです。 エンドユーザー向けのプロダクトやサービスにおいて、デザイン性が大きな差別化ポイントとなるように、当社が提供するシステムにおいても、技術にプラスしてアイデアやデザインが加わればもっと強くなる。私はそう確信しています。「作る」から「創る」へと、当社は変革していきたいと考えています。