株式会社コハク堂

システムの受託開発のほか、それに付随するプロジェクトや企業の成長支援も手掛ける株式会社コハク堂。エンジニアの技術を提供するだけでなく、クライアントの成長を“伴走型”で支えるスタートアップ企業だ。

代表取締役の寺田壮輝氏は、実は大学生時代にもスタートアップの起業を経験している。卒業後はその会社を離れて独立し、フリーランスに。そこから法人成りして同社が生まれた。

一度は仲間と学生起業を実現した寺田氏。どうして独立を決めたのだろうか。

「もともと、この学生起業とは別に自分で会社を持つことは大きな夢でした。ですが当然ながら、会社は何年もかけて事業を成功させる強い意思がなければ続きません。その大変さを、学生起業の中で痛感しました。今の自分に、一人で会社を興して成功させる覚悟はあるのかと疑問を抱いたのですよね」（寺田氏）。

そう思う一方で、周りと同じように就職することは性に合わないと感じた寺田氏。せっかくなら一味違うキャリアを歩んでみたいと決意し、社会人一年目からフリーランスという道を歩みはじめたのだ。

学生時代のインターンやスタートアップの起業を通じて、フリーランスエンジニアとしてやっていけるスキルは十分に身についていた。クライアントは着々と増えていく。

しかしその中で、もう一つのフラストレーションが生まれたという。

「フリーランスの頃は、どうしても一歩踏み込めない自分がいたのです。プロジェクトが成功しても失敗しても、そこまで大きな責任を負うこともない……。もっと、言い訳できないくらいにクライアントのプロジェクトに入り込んで、失敗も成功も共に分かち合い、大きく貢献したいと考えたのです」（寺田氏）。

システム開発だけ提供し、もしそのプロジェクトがうまくいかなくても、自分に責任はない。――そんなスタンスにはなりたくなかったのだ。

「やはり、自分の会社を持ちたい」そう決心し、寺田氏は満を持して同社を設立。そのときからの思いはずっと変わらず、クライアントに“一気通貫”で寄り添っていくこと、フリーランス時代から取り組んでいたことだが、プロジェクト全体に深く携わることをさらに重視したのだ。

現在は自社プロダクトや自社内システムを扱う企業だけでなく、大手企業の新規事業立ち上げや、スタートアップの成長支援も手掛けている。「もっとクライアントに入り込んでいきたい」そんな寺田氏の思いが信頼に繋がり、現在は一次請けのプロジェクトが6割ほどを占める。フリーランス時代から関係の続いている企業も多い。

先にも述べた通り、同社の持ち味は、システム構築にとどまらない“伴走型支援”だ。

依頼のベースはやはり受託開発だが、システムを構築して終わり……という事例はほとんどない。関わるサービスやプロジェクト全体、ひいてはクライアント企業全体の成長を支援する、それが同社の使命だ。

「イメージとしては、クライアント企業の開発部門全体を当社で請け負うような形ですね。私たちが企業の1部門さながらに参画していくのです。とある企業では、稼働しているプロジェクトのコアメンバーの合宿へ当社も参加するなど、本当に“クライアントの一員”として信頼してもらっています。ときにはクライアント企業内の採用をお手伝いしたり、採用したエンジニアの教育に携わったりすることもあります」（寺田氏）。

確かにきっかけは、ソフトフェアやアプリの開発かもしれない。しかしそこから深く入り込んでいき、成長まで視野に入れた、一心同体の関わりを続けていくのだ。

例えば、一般ユーザー向けアプリを手掛けるスタートアップ企業とのプロジェクト。新アプリ開発の新しいサービスを形作ること自体も難易度は高く、リリースできてもビジネスとして成功し続けるのは簡単なことではない。そこで同社は事業の立ち上げから携わり、その企業のメンバー同然のようにプロジェクトを進めた。無事そのアプリはリリースされ、今では約190ダウンロードを達成するまでに成長している。

こうしてクライアント企業同然に入り込みつつ、頼れる社外パートナーとしての役割も強い。「社員にはなかなか話しにくくて……」といったセンシティブな相談を受けることもあるのだとか。各企業とのオンリーワンな立ち位置と信頼を勝ち取っているようだ。

こういった信頼関係を築く上で、同社が大切にしていることは何だろうか。

「関わるサービスや事業、そしてその企業が“きちんと成長するか”を信じられるどうかは重要だと思います。クライアント企業と当社、どちらも一蓮托生で成功していかなければならないのです。クライアントにきちんと貢献し、かつ当社の利益や成長も叶えなければなりませんから」（寺田氏）。

こうしたビジネス目線をしっかりと持ち、クライアントに寄り添っていく同社。取引企業数は続々と増え、売上高も右肩上がりで成長している。

「現在エンジニア人材の不足も世間で騒がれているように、今後もエンジニア採用はハードルが高くなると言われています。だからこそ、当社が貢献できると思うのですよね」と寺田氏は胸を張る。

プロジェクト単位でクライアントへチームとして参画し、企画から開発、運用まで関わっていく。必要としてもらえれば、その先の企業成長にもしっかりと伴走する。いわば“運命共同体”としてビジネスを一緒に成功させていくのだ。

運命共同体として、伴走型の成長支援を行う同社。やはり会社だけでなく、社員一人ひとりにもその姿勢が見られる。

同社は現在、社員と業務委託のパートナーエンジニアとで仕事を進める。その中でも特に社員には、やはり技術力だけでなくビジネス目線も持った仕事が求められている。システムなどの“成果物”を作って届けることではなく、クライアントの成長を共に実現させることがゴールなのだ。

そのため、エンジニア未経験でジョインしたメンバーも社員として活躍中。例えば、とあるメンバーの前職は営業。クライアントとの関係構築の場面では、その高いヒアリング力や提案力に助けられていると寺田氏は話す。

一人で黙々と手を動かす職人肌というよりも、仲間とゴールを目指し、一緒に成功を喜べるような人が活躍できそうだ。

「外部の人間でありつつ、チームの一員なのですよね。組織作りをしたりプロジェクトの方向性を決めたりと、大きな意思決定を任せてもらえることもあります。責任感を持ってクライアントの案件に関わっていくことで、その企業やサービスが成長していく面白みを何倍も多く感じられると思います」（寺田氏）。

このようなクライアント企業やサービスへの“帰属意識”を早くから育てるため、同社では入社直後から複数のプロジェクトにジョインする。また帰属意識にとどまらず、クライアント企業やパートナーエンジニアとの関わりを持つことで、そのノウハウを早期に吸収することも狙いだ。

また、クライアントへ貢献していく過程で、自己成長にも期待してほしいと寺田氏は話す。「クライアントが成長したとき、きっと自身の成長も感じられるはずです。責任感を持ってプロジェクトに入り込んでいく中で、提案力も技術力も確実に上がるからです」（寺田氏）。

そうすれば、おのずと収入面も期待できる。小さな会社で小回りが利く分、給与設定も希望を柔軟に聞いていると寺田氏は話す。「ですから、ぜひご自身の夢や目標をしっかりと教えてもらいたいですね。クライアントや当社の夢を一緒に目指してくれるのですから、当社もメンバーの夢を叶えたいのです」

クライアントも、同社も、メンバーも、運命共同体。仲間と共にいくつもの大きなゴールを目指し、一緒に成長していく素晴らしいチームが、同社にはある。