株式会社DAN

株式会社DANは、企業で働くエンジニア、あるいはシステム開発会社のエンジニアに対する新人研修サービスを提供している。新人研修サービスという事業の性格上、4月から9月に仕事が発生することから、フリーランスエンジニアをIT講師として活用したユニークなビジネスを広く展開している。

どの会社も新卒の人材が入社して最初に行うのが「新人研修」。特に、ITエンジニアの場合は、スキルがないと仕事にならないため、短期間で一人前のITエンジニアを育成する必要がある。そのためには、自社エンジニアが研修を担当するだけでなく、同社のように研修をアウトソーシングしている会社に依頼するという選択肢がある。

「自社で新人研修するには、エンジニアを研修担当にしなければなりません。企業にとって大切な戦力であるエンジニアを研修担当に回すのは、アセットの有効活用にはなりません。当社には、新人研修のスペシャリストが揃っています。彼らの“教える力”を活用することで、自社の戦力となるエンジニアを短期間で育成できます」（代表者・保木誠二氏）。

同社には、高いITスキルと“教える力”を持ったIT講師エンジニアが揃っている。「開発」「ネットワーク・サーバー」「教育資格手法」の三つの領域で、新人研修サービスを提供している。

「当社の講師陣は、幅広い技術分野の研修ができます。当社講師の72%がエンジニア経験11年以上のベテラン。加えて、3年以上のIT講師経験があるエンジニアは、全体の77%。お客様は講師陣の中から、自社のエンジニア育成に必要な講師を選んで、研修コースを作ることができます」（保木氏）。

研修を行うだけでなく、企業の求める研修カリキュラムの企画・作成、さらには市販されていない、企業ごとにカスタマイズした教材制作も提供している。

「企業が求めるエンジニアを育成するため、新人研修サービスの構築に関して、柔軟な対応をしています。研修を受ける人数が多い場合は、メイン講師だけでなくサブ講師を付けることで、受講生の学習を手厚くサポートします」（保木氏）。

新人研修は年中あるわけではない。多くの企業で4月から9月に新人研修は行われる。同社では優秀なIT講師を集めるために、フリーランスエンジニアを積極的に活用している。

エンジニアにもう一つのキャリアを。フリーランスエンジニアは、自由な働き方を実現でき、時にはハードワークで高収入を得ることもできる。その反面、仕事がなくなるリスクもある。そんな時、同社でIT講師として働く選択肢を加えることで、エンジニアのキャリアが太くなって、安定感をアップさせることができる。

「当社のIT講師の中には、春は当社のIT講師として働き、残りの期間は開発に参加しているメンバーが多数います。キャリアを二つ持つことで、安定した生活基盤を築くことができるだけでなく、気分転換にもなります。また、当社のIT講師をキャリアに組み入れることは、ベテランエンジニアのセカンドキャリア、あるいはママさんエンジニアの現場復帰等、エンジニアの豊かなキャリアデザインの構築に貢献できます」（保木氏）。

優秀なフリーランスエンジニアに講師を務めてもらうため、同社では好待遇を用意している。メイン講師は日給63,800円、サブ講師は日給47,300円。ニーズの高いJavaや基盤構築の経験者なら、幾つものIT研修の依頼が殺到する。高い知識とスキルを持っているエンジニアなら、9月までの長期で登壇できる研修に参加できるため、半年で1年分の収入を得ることも可能だ。

「メイン講師だと最大804万円、サブ講師でも最大397万円を半年で稼ぐことが可能です。短期間で十分な収入を確保した上で、残り半年をフリーランスのエンジニアとしてさらに稼ぐエンジニアもいれば、働き方のペースをスローダウンさせるエンジニアもいます。サブ講師の中にはオフシーズンは主婦業に専念する女性講師や、カフェのアルバイト等、好きな仕事をしている人もいます。フリーランスIT講師をすることでキャリアや生活の選択肢も広げられます」（保木氏）。

ITの新人研修は多くのケースで、クライアント企業が指定した場所で行われる。そして、その大半が首都圏をはじめ大阪や愛知等の都市部。オンラインを活用した研修もあるが、ほとんどは教室での対面形式。そのため、フリーランスIT講師になるエンジニアを、本来なら都市部在住のエンジニアに限定するところだが、同社では全国各地に住むエンジニアを対象に採用活動を展開している。

とはいえ、新人研修となれば、IT講師は期間中毎日、教室へ行く必要がある。クライアントの約9割が東京を中心にした都市部であれば、地方在住のエンジニアは通うことができない。そのため、同社ではフリーランスIT講師を務める地方在住のエンジニアには、研修期間中の出張宿泊費や赴任・帰任時の往復交通費、週末・祝日・休講日の帰省往復交通費を全額支給している。

「優秀なエンジニアにフリーランスIT講師を務めてもらうために、当社では研修時に発生する費用を会社で負担しています。フリーランスIT講師という新しいエンジニアの働き方を提案したい思いがあり、地方在住のエンジニアでもフリーランスIT講師として働く、自由なキャリアを実現してほしいと願っています」（保木氏）。

エンジニアに新しいキャリアの選択肢を提案したいと考えている同社では、フリーランスIT講師の育成にも力を入れている。先輩講師陣による技術研修を開催し、経験が浅いエンジニアの場合、サブ講師を務めながらITスキルもアップさせることができる。

「エンジニア同士の勉強会を頻繁に開催して、フリーランスIT講師が高いスキルを獲得・維持できる制度を構築しています。フリーランスIT講師としての仕事が増えるだけでなく、開発の仕事を請ける際にエンジニア単価を上げることができます。当社はフルリモートの会社なので、オフィスが存在しません。エンジニアが勉強会に集まるため『水道橋LAB』を開設しました」（保木氏）。

フリーランスエンジニアになると、仲間がいないことで孤独感を味わうこともあるというが、同社でフリーランスIT講師になれば、エンジニア仲間もできて、豊かなエンジニアライフを歩めることは間違いない。

「私はエンジニアを尊敬しています。今やITは社会に必要不可欠なインフラで、それを支えているエンジニアは、高い価値を生み出すために、常に新しい技術にキャッチアップし続けなければならず、豊かな人生を獲得するのに値する存在です。そんな彼らに自由で豊かな働き方と人生を与えられる会社であり続けたいと考えています」（保木氏）。