株式会社Enjin

家族・仲間・社会貢献をキーワードに据えた企業カルチャーで、社員の働き心地を追求している会社がある。ブランディングPRを事業展開する株式会社Enjinが、その会社だ。

同社の事業内容は、中小・中堅企業と医療機関（クリニック）向けに特化したPR支援サービス。動画・テレビからWeb・紙媒体、ソーシャルメディア、オウンドメディア、イベントまで幅広くPRの手段を取り揃え、多くのPR会社が月単位で契約して包括的にサービス提供する「リテナー契約」をメインとする中、同社はメディアごとのスポット（単発）でサービスを提供している。

同社がビジネスターゲットに据えている中小・中堅企業と医療機関（クリニック）は、その多くが「広報機能」を持っていない。同社の経験豊富なプランナーとメディアリレーション担当が、企業の経営課題解決に向けて現状と要望を詳しくヒアリングし、広報サービスを提供する。

クライアントの要望に沿って、結果に繋がるブランディングPRを提供するに当たり、同社はコンテンツやクリエイティブを内製している。社内の専用チームがプランナーと密に連携を取り、効果的なPRに繋がるコンテンツやクリエイティブを生み出す。

自社運営メディアも同社のブランディングPRの特徴。経営者インタビューの動画配信や、質の高いビジネス情報を紹介するビジネスマガジン等の運営を通じ、クライアント企業の魅力を発信している。

さらに、メディアと企業・医療機関を繋ぐ、メディアマッチングサービス『メディチョク』の企画・運営も手掛けている。常に最新の情報を求めるメディアへ企業・医療機関を繋げ、露出の獲得による認知向上を支援する。

2023年3月には、アズ・ワールドコムジャパンを子会社化。PR戦略の構築やリスクマネジメント、海外PRといったアズ・ワールドコムジャパン独自の強みと、同社の営業力やノウハウ、経営資源とのシナジーによる既存サービスの強化や事業領域の拡大を計画している。

同社は、企業カルチャーを大切にしている。“社会の役に立つ立派な人間を一人でも多く輩出する”をミッションとして掲げ、そのための自己成長を高く評価するカルチャーを持つ。

同社は「OHANA」と呼ぶ社内文化を大切にしている。「OHANA」とは、「家族」「仲間」を意味するハワイの言葉。これまで自分を支えてくれた家族や仲間への感謝の気持ちを原動力にするため、「OHANA」という社内文化を醸成してきた。社内の共通語に「ギバー」というものがある。意味は「相手に対して自分には何ができるか考え、行動できる人」。相手に対して何かを与えられるように自己研鑽に励む、それがEnjinという会社なのだ。

「ギバーという言葉を、当社は大切にしています。ペンシルベニア大学の組織心理学者アダム・グラント教授が提唱した概念で、人間は『ギバー（人に惜しみなく与える人）』『マッチャー（損得のバランスを考える人）』『テイカー（真っ先に自分の利益を優先させる人）』の三つのタイプに分類でき、数としてはマッチャーが最も多く、経済的に成功している人はギバーが多いといいます。ただし、テイカーから搾取されることでギバーは貧しくなる。だからこそ、当社では『一緒に働く人』を重視したギバー採用を推進しています」（採用責任者：S）。

人に与えることを大切にする企業カルチャーを醸成するため、同社はメインビジネス以外に社会貢献活動プラットフォーム「Candy ACTION」を展開している。社会活動のスコアリング化にチャレンジする試みである「Candy ACTION」は、社会貢献活動を展開したい企業・団体とそこに参加したい個人を繋げるマッチングサービス。社会貢献への最初の一歩を踏み出せずにいる、企業・団体・個人の後押しをすることで、社会貢献が当たり前の世の中を作り上げていくプロジェクトだ。

「特定非営利活動法人を設立し、そこを通して『Candy ACTION』の事業を展開しています。社会貢献度を可視化することで、企業や個人を評価する新しい軸が生まれ、日本全体が豊かになると当社では考えます。実際にイベントやボランティアに参加したり、オーナーとしてイベントを開催したりすることで、Candyポイントが貯まり、社会貢献度がスコアリングされます」（採用責任者：S）。

メディア運営やPR支援のノウハウを生かして、社会貢献活動を積極的に発信することで「Candy ACTION」事業を広めていく。

ギバー採用で人に惜しみなく与える人材を集め、「Candy ACTION」事業で社会貢献活動を新しい社会の評価軸にしようと試み、チャレンジしている同社。ギバーが成功するために「働く環境」も大切だと考える。

1.経済的に自立していること
2.心身ともに健康であること
3.精神的に満たされていること

同社では、この三つを頂点とする「幸せトライアングル」を大きくすることで、社員が幸せになると考え、福利厚生等の社内制度を構築している。ユニークな制度が多く、いずれも幸せトライアングルに紐付く取り組み。そんな社内制度の一部を紹介しよう。

「宣言制度」は、仕事の成果に関する高い目標を宣言し、達成の暁にはビジネスグッズやホテルの朝食等、会社からご褒美を貰える制度。視野をより広げてもらうことを目的としている。

「Candy Box」は、社内にあるカフェスペース「OHANAカフェ」に設置されている募金箱。同社には「良いことがあったら寄付をする」という文化があり、気軽に寄付できるように「Candy Box」を設置している。

毎週月曜日（もしくは連休明け）の9:30～11:00は自己研鑽の時間としている。

「オハナ旅」は、有給消化を条件に社員同士で旅行する場合、年間最大5万円の補助金が支給される制度。いつもとは違った環境で、より深い関係が築けると評判。

「親孝行休暇」は、年に2度、親御さんの誕生日（または命日）に特別休暇を付与。そして、帰省の交通費を補助（5～8割）する。感謝の気持ちをきちんと表現してほしいという想いから生まれた同社らしい制度だ。

「社会の役に立つ立派な人間になるためには、社員が『幸せ』でなければなりません。経済的に豊かであり、健康的で良好な人間関係に恵まれている状態を、当社では『幸せ』だと定義しています。『経済・健康・人間関係』の三つをバランス良く整えられるような制度設計・環境を用意しています」（採用責任者：S）。

そして、銀座にあるオフィスは、社員が仕事に集中できる環境を整えるために、内装にこだわり抜いている。風水の思想を取り入れ、オフィスを設計。「OHANAカフェ」には季節の花を飾り、一流家具に触れることができる、精神的に安らぎ落ち着く空間を演出している。社内にはメディテーションルーム（瞑想室）も設置している。

「風水とは環境学・統計学を基に、人が『心地良い』と感じるものを設計するためにある考え方。当社の企業文化である『OHANA』に基づいて、オフィスはハワイを意識したインテリアを採用しています。緑を多くして、電灯も温かみがあるオレンジ色を選んでいます。各会議室にバルミューダの空気清浄機を置き、オフィス内の空気循環のためにサーキュレーターを各所に設置。細部まで気を配ったオフィスは、働きやすさを追求する当社の想いが表現されています」（採用責任者：S）。