株式会社REVOX

AIを活用し、製造業の見積もりをDX化するプラットフォーム『SellBOT』。製造業に馴染みがない人にとっては少し分かりにくいかもしれないが、実はこれ、かなり画期的なシステムなのだ。

『SellBOT』の開発・販売を行っている株式会社REVOXは、静岡市に拠点を置くプラスチック加工メーカー・株式会社プラポートの関連会社として2021年11月に設立。誕生のきっかけは、プラポートが自社にとってのボトルネックであった見積もり作業を、AIで自動化できないかと考え始めたことだった。

REVOXの代表取締役で、プラポートの代表取締役も務めている宮季高正氏が当時を振り返る。

「経済産業省が主催する、日本のAIの質を高めるためのイベント『AI Quest』に参画したのが2020年です。優秀なAI人材に協力していただいて、2D図面の画像測定を活用した自動化システムを実現しました。最初は自社で使うつもりだったのですが、間違いなく他社にも同様のニーズがあると感じ、自社でさらなる開発を進めようと考えたのです。そのために設立したのがREVOXというわけです」

なぜ製造業において見積もりがボトルネックなのか。ほとんどの製造業者は、見積もりをもらったら2、3日後に回答し、そこから注文をもらって作り始めることになる。多くは経営者や部長・課長といった立場の人が、営業担当に言われて見積もり作業をさせられているのが現状だ。しかも、全てが人の経験と勘で進められており、ブレもあれば、時間もかかる。これは中小企業に限らず、大手も同じなのだ。

「本来の業務である『ものづくり』をしなくてはいけないのに、見積もり作業がそれを圧迫しているわけです。そこをDXで効率化し、『本当にやらなくてはいけない仕事』に時間を割けるようにできれば、働き方そのものが変わるし、短納期だって実現できるはず。それを可能にするのが当社のシステムなのです」（宮季氏）。

『SellBOT』がDX化を実現する三つのポイントがある。デジタルを使って顧客体験価値を変えること、競争優位性を築けること、働き方を変えることだ。

「10分で見積もりが回答できれば、『もう届いたの？』という新たな顧客体験価値が提供できますよね。しかも競合他社よりも早く返せれば、それだけで競争優位性が高くなります。何より、AIを活用するので簡単です。今日入社したばかりの人でも10分で見積もりを出せるため、働き方が間違いなく変わっていくでしょう。『SellBOT』を導入することで、自然とDX化が実現できます」（宮季氏）。

『SellBOT』のこれからの可能性について、宮季氏は次のように話す。

「これまでほとんどの企業が見積もり作業は人手による経験と勘で解決してきたはずですが、労働人口が減り続ける中で、今後うまくいかなくなってくるでしょう。間違いなく、『SellBOT』のような便利なシステムの需要は高まるでしょうね。伸び代も、可能性も、ものすごく感じています」

現在のシステムが主に対応しているのが切削加工と板金加工。それだけでも営業の対象となる企業の数は相当なものになる。まさに、日本のものづくりの仕組みを変える可能性を秘めているのだ。

同時に、課題についてもしっかり認識している。「認知をいかに高めるか」だ。そもそも見積もりをAIで行うという発想を持つ製造業者が多くないため、そこをしっかりと伝え、浸透させていく必要がある。同社の現在の販路はホームページ、代理店、展示会の三つのチャネルが柱となっているが、まだまだアプローチが足りていないと話す。

「一方で、弱みがあるとしたら開発を外に出している点でしょうか。ゆくゆくは内製化も進めていくつもりなので、エンジニアのキャリアとしては今後面白いことができるのではないかと思いますよ」（宮季氏）。

もちろん、『SellBOT』はこれで完成ではない。詳細はまだ出せないが、AIで解決するだけのシステムで終わりにするつもりはないという。「製造業の生産性にまつわる川上のところを全体的にシームレスにできるような、さらに画期的なシステムに発展させていくつもり」と宮季氏は力を込める。

同社は「生きがいと感動の創造」を経営理念に掲げている。

「当社の志としては、まずは社員のことを考えます。社員の幸せや生きがい、やりがいを作り、感動を生み出すことを大事にします。それが社会の役に立つことで、社会も良くしていきたい。そこで出した利益や付加価値は社員や会社にきちんと投資するので、上場といったことは一切考えていません」（宮季氏）。

宮季氏に、同社で働くことの意義についてどのように考えているかを伺った。

「世の中にないものを作れること、でしょうね。日本の川上から川下まで、いろんな製造業がありますが、その大部分にインパクトを与えられるものを作ることができます。しかも、既に完成されているものではなく、ロードマップを作って広げていけるフェーズ。だから一番面白い段階だと思いますし、間違いなくダイナミックな経験ができますよ」

しかも、AI見積もりという業界においては、トップを獲っている企業はまだない。だからこそチャンスがあるわけだが、最もその位置に近いのが同社であるとも言えそうだ。

スタートアップでありながら、プラポートという大きな土台があり、その上でいろいろなことにチャレンジできる安心感は相当なものだろう。福利厚生等の制度面や、働く人へのサポート面等も、全てがホワイト企業認定シルバーランクを取得しているプラポートと同等のものが受けられるため、働く環境としては申し分ないだろう。

事業や製品、会社としての成長性のところに少しでも可能性を感じるのであれば、ぜひ早いうちに飛び込んでみてほしい。