株式会社SIG

システム開発事業およびインフラ・セキュリティサービス事業を手掛ける、株式会社SIG。2020年12月に設立30周年を迎えた同社は、官公庁・上場企業のシステム開発から事業を拡大、多数の実績を上げ、ノウハウを蓄積してきた。様々なソリューション提供を通して、多種多様なシステムニーズに対応。「ユニークなシステム開発」と「クラウド化ソリューション提供」において、独自のポジションを築いている。

国内9カ所に拠点を設け、全国の顧客ニーズに対応。2021年4月には、基幹事業であるシステム開発事業、インフラ・セキュリティサービス事業、そして全国の拠点を横串にした「スマートデバイスソリューションセンター」「CSソリューションセンター」を開設した。顧客企業の現状維持へのシステム投資であるRun The Businessと、顧客の事業成長へのシステム投資であるValue Up、この両輪でサービスを充実させることが目標である。

この目標は、設立30周年を機に、同社が2030年に向けた成長戦略「長期ビジョン ～これからのSIG～」がベースにある。2030年には「売上高300億円を達成し、顧客の外部CIO（Chief Information Officer）として成長に貢献する」ビジョンを掲げている。ITシステムをバリューアップすることで「2025年の崖」問題を乗り越え、顧客の製品・サービスの提供価値を最大化する。そのための支援を、同社は今後さらに強化していく。

現在、システム開発事業においては官公庁／エネルギー分野／大手通信事業者／自動車／金融／大学等の幅広い顧客に向け、システム開発支援やアプリケーションの開発を行っている。インフラ・セキュリティサービス事業では、官公庁・証券会社向けのシステム構築、クラウド環境の構築、プラットフォーム／WEBアプリケーションの脆弱性診断や、クラウド環境におけるセキュリティ診断サービスを手掛けている。両事業とも業績は好調で、特にインフラ・セキュリティサービス事業の累計売上高は、前年同期比19.2%の伸びを示している。

本稿では、インフラ・セキュリティサービス事業を牽引し、CSソリューションセンターの中核的存在でもあるICT事業部にフォーカス。同事業部の描く成長戦略や、その戦略を実現するための人材像について紹介していく。

ICT事業部では、サーバ／ネットワーク／セキュリティの環境構築およびセキュリティ対策ソリューションの販売／導入支援／サポートを行っている。

前者の「サーバ／ネットワーク／セキュリティの環境構築」では、公共／金融／証券／流通／通信キャリア等、大規模プロジェクトのITインフラ全般の設計～構築、運用管理、クラウドサービス事業者向けに仮想化技術を用いたサーバ／ネットワーク環境の構築、スマートフォン／タブレット端末の普及に合わせたネットワークの増強対応、コンテンツ配信事業者向けのシステム構築～運用管理を展開。後者の「セキュリティ対策ソリューションの販売／導入支援／サポート」では、脆弱性検査ツール『Nexpose』『Metasploit』、指紋認証デバイス『SecuGen製品』、ID管理ソリューション『OmniPass SSO』等を提供している。

また、「AWSアドバンストティアサービスパートナー」の認定を受け、2013年からAWS上のシステム要件定義～設計～構築にワンストップで対応している。さらに、キヤノンITソリューションズ株式会社「ESETセキュリティパートナープログラム」の認定パートナーでもあることから、各セキュリティ対策をパッケージ化した総合管理ツールを提供している。

ICT事業部では、インフラ・セキュリティサービスに関わる様々なソリューションによって、顧客の信頼を獲得してきた。しかし、顧客の外部CIOとなるためには、まだまだ取り組むべき余地があると認識している。特に1,000名前後の規模の顧客の場合、社内に情報システム部門を抱えていないケースが多い。

「中規模のお客様の場合、DXを進める中で様々な課題が出てきます。オンプレミスからクラウドにした時点で、セキュリティは確保できるのか。会社の課題を的確にシステムに反映するにはどうすればいいか。このような課題についてお客様と一緒に議論を重ね、システムに実装していく。これは、エンジニアならではの面白さを味わえる仕事です。私はこういう案件を積極的に増やしていくことでエンジニアの成長を促し、中規模のお客様にとっての元請けになりたいと考えています」（取締役 インフラ・セキュリティサービス事業担当 ICT事業部長 江幡延男氏）。

このような取り組みを通して、顧客におけるICT事業部のプレゼンスを上げることが当面の目的だ。

顧客と共に議論を重ね、システムに実装する面白さを味わえるエンジニア。その人物像を、江幡氏はこう言語化する。

「まず、人が好きであること。お客様とも、社内の仲間とも積極的にコミュニケーションが取れる人ですね。また、指示を待たずに自分で動けることも重要です。自分で考えて意見を発信できる人、自分なりに工夫ができる人。こういう人が、エンジニア本来の面白い仕事に携わるチャンスがあると考えています」（江幡氏）。

実際、ICT事業部のエンジニアは、部内はもちろん部門の垣根を越えたコミュニケーションに積極的だ。例えば若手エンジニアの育成について。同社には最先端のインフラ・セキュリティを学びたいと考える若手エンジニアが、ICT事業部以外にも多数在籍している。その要望に応え、ICT事業部では他事業部の若手を受け入れて勉強会を開催している。その後、実際のプロジェクトにも参加させているとのことだ。

さらに、仲間の採用にも積極的に取り組んでいる。人事総務部 部長 迫田敏子氏は、その熱心さを「不思議なくらい一生懸命です」と表現する。

「ICT事業部の方々は若手の教育にも熱心ですが、仲間を増やして会社を大きくしていくための採用にもとても力を入れています。こういう人に来てほしい、という明確な基準を提示し、面接にも参加します。新しい人を採用することで、部内の結束をさらに強めたいと考えているのだと思います。ちなみに、このGreenでの募集もICT事業部からのオファーでした」（迫田氏）。

ICT事業部では現在どのような人材を求めているか。それは何故か…といった点については、CSソリューションセンター長 光永康志氏が別稿「インタビュータブ」で明確に回答しているので、ぜひ参照いただきたい。なお、ICT事業部と人事総務部との連携は今に始まった話ではなく、数十年来続く同社の採用活動であると、迫田氏は付け加えた。

それほど積極的にコミュニケーションの輪を広げる理由について、江幡氏は「ICT事業部内で固まって何かをやるより、各方面と協力して取り組んだ方が楽しいじゃないですか」と語る。このような外向きの姿勢を大切にしているからこそ、「顧客の外部CIOとして成長に貢献する」というビジョンが現実味を帯びてくるのだろう。そんな同社の存在を頼りにする顧客は決して少なくないはずだ。