株式会社セイエンタプライズ

株式会社セイエンタプライズは25年保存が可能な防災備蓄食『サバイバルフーズ』の製造卸売・小売事業と、防災用品のセレクトショップ『セイショップ』の運営を手掛る会社だ。設立は1978年で日本に長期保存食市場を創出し、牽引してきたリーディングカンパニーといえる。
同社は近年の防災意識の高まりを背景に、長年の主軸である官公庁自治体と法人に向けた卸売事業と共に、Web施策を一層強化しBtoCの小売事業に注力する。密接な関係性を築いている外部開発会社の活用と並行して、スピーディーで柔軟な開発を目的に、初の内製チームを立ち上げる考えだ。
同社は、掲げるビジョン「備蓄を日本中に進めることで災害時の健康と安心を届ける」に共感を抱く人材を求める。

同社が創業した1978年当時、非常食といえば乾パンであり保存期間は1年ほどが中心だった。創業者は数十年の長期間保存ができる非常食を調査した結果、米国の缶入りフリーズドライ食品に至る。輸入を開始し『サバイバルフーズ25』として官公庁自治体へ向けた卸売事業を始めた。
時を経た1995年、阪神淡路大震災が発生する。現在、代表取締役社長を務める平井雅也氏は、当時勤めていた繊維素材メーカーの寮があった神戸市東灘区で被災。避難所運営に携わる中で、平時の生活とのギャップが大きなストレスになると身をもって体感する。中でも食事は心身の健康を守る上でとても重要だとの思いを強めた。それまで平井氏は、父が創業した同社で働くことは考えていなかったという。しかし父親から事業を引き継いだ前任の社長が後継者を探していたタイミングで声を掛けられたこと、そして自身の被災体験が防災用品に関わる仕事において軸になると確信したことから、入社を決めた。
ほどなくして平井代表の実弟であり、大手ゲーム会社で企画開発職に従事していた平井敬也氏も合流。敬也氏はインターネットの黎明期に、その可能性にいち早く注目してEC展開を始めた人物だ。
その後、平井雅也氏が代表取締役社長、平井敬也氏が取締役に就任。2012年にはそれぞれが卸売事業と小売事業（セイショップ）を担当するという、現在に続く体制を確立した。

2018年には米国社との輸入契約を解消して、フリーズドライで高い技術力を持つ株式会社永谷園に製造を委託する。国内生産の国内備蓄食品として、より安心安全に『サバイバルフーズ』を供給する体制を追求したのだ。
創業から40年以上、「サバイバルフーズの備蓄を日本中に進めることで安心を届ける」という理念がぶれることはなかった。一方で届ける対象の拡大や販売方法の多様化、国内製造委託への切り替え等、理念を実現するための変化を厭わない。今後は災害時の安心に加えて健康をも届けたいと、さらなる体制強化に努める。

代表取締役社長の平井雅也氏と、取締役の平井敬也氏に話を聞いた。
「シンクタンクの調査によると、防災食品マーケットは現在約300億円です。我々が見てきた歴史では100億円にも満たないマーケットでした。創業当時の地震対策は、国や自治体による“公助”が中心。それが1995年の阪神淡路大震災の発生を契機に、互いに助け合う“共助”の時代が始まりました。そして東日本大震災を経て、自分と自分の家族の身は自分たちで守るという“自助”の時代が到来しました。気候変動による災害の激甚化に伴い防災は注目を集めており、世界的には人口増加による食糧危機が心配されているため、食糧備蓄には大きな可能性があると考えています」と平井雅也代表。
公助・共助・自助、全ての段階で備えができていることが、本当の安心に繋がると力説する。

取締役の平井敬也氏は「災害に備えて自分でできることを考えて対策しておくことが自助です。『セイショップ』は個人へ向けた小売事業のブランドで、まさに”自助“のための事業展開。直営ECショップと商品を手に取って選べるショールームの運営、大手ECモールでの販売を行っています。セイショップ事業の要であるWeb施策を強化することで、世の中により安心を広げていきたい考えです」と続けた。

セイショップは自社製品である『サバイバルフーズ』を中心に、他の供給元から防災用品をセレクトして販売していることが特徴だ。普段から使用できて災害時でも役立つ様々な商品を揃えており、被災体験による「平時の生活とのギャップを作らない」考えが活きる。
「例えば消臭効果の高い下着は、お風呂に毎日入ることや洗濯がままならない避難所生活ではもちろん、普段も使用いただけます。スペインのメーカーによるキャリーカートは丈夫でコンパクト。日常のお買い物でご使用いただきながら、災害時には避難用具や給水袋の運搬に使えます」と平井敬也取締役。
社内外から持ち込まれる商品の開発アイデアやコラボレーション企画はまだまだたくさんあり、今後順次実施していく計画だ。
「Web・デジタル施策は、これまではセイショップ担当の私と協力会社で進めてきました。しかしやりたいことが次々と出てきて、まったく追いつきません。そこで社内に専任チームを立ち上げて、新商品のWebプロモーションの強化、『サバイバルフーズ』の更なる拡販、DX推進と併せてサービス品質と業務効率の向上に取り組んでいきたいと考えています」と力を込める。
それが、離職率が極めて低く、ほとんど中途募集を行ってこなかった同社がこの度人材を募る背景だ。

前述の通り、同社の離職率は極めて低く、勤続年数10年超えという社員が珍しくない。平井雅也代表に高い定着率の要因を尋ねると、残業がほぼない働きやすさと居心地の良さを挙げた。
「居心地が良いようにしたいと思っています。そのため造作にこだわった綺麗なオフィス環境と、フランクで話しやすい雰囲気づくりを心掛ています。会話の風通しがよく、社員から私へのダメ出しもよくありますよ」と笑う。
社員間のコミュニケーションに対しては、意見の違いや不満がある時は原因が何かを突き詰めて考え、話し合うことで解決していこうと呼びかけている。
「自立した個人が集まる自立した組織であるためには、自分で考え、時に対話して、常にプロである意識を持つことが大切です。その行動が組織への貢献となり、その貢献が個人に還元される。そのようにしてまず自分たちが強い組織となり、備え、安心を広げていこう。社員にはそう伝えています」（平井雅也代表）。
多くのベンチャー企業が公言する上場や多角経営は考えておらず、一心に災害時に安心と健康を届ける事業に向き合い続ける考えだ。

Web・デジタルチームのメンバーは取締役直下となり、裁量権・発言権を持って事業を進めていくことが叶う。例えば、必要なデジタル環境の整備や新しい技術採用の検討・導入等、会社全体に関わるプロジェクトを進めるといったことだ。
指示を待つのではなく、セルフマネジメントをした上で主体的に行動していける人物が活躍できる。

デザイナーとしてのスキルアップ施策には、独自の教育システムがある。
「業務に必要な様々な研修を用意しています。内容はWebサイトの要件定義の方法やUI/UXの知識、セキュリティ等、多岐に渡ります。またWeb・デジタルマーケティング支援会社と提携しており、座学やeラーニングのようなインプットだけでなく、個別勉強会や課題の相談、技術・デザイントレンドや案件事例の共有等、仕事をしながら双方向のコミュニケーションでスキルアップしていけます」（平井敬也取締役）
同社自体は少数規模だが、経験豊富な協力会社との連携によってWeb・デジタルチームのメンバーが切磋琢磨できる環境だ。自社製品の企画製造から販売、顧客フォローに至る一連のビジネスの流れの中で、必要なWeb・IT知識とスキルを身に付けていけることも醍醐味だろう。入社後は業務に必要な知識習得のため、会社負担で防災士の資格を取得する。防災士の資格を持つWebデザイナーとはユニークだ。
どこか少しでも気になるポイントがあったならば、まずは気軽にコンタクトを取ってほしい。