医療法人社団青藍会

山口県山口市にある青藍会グループは、医療・在宅医療・介護・子育て・障がい・教育の幅広い分野で、市民にサービスを提供している。五つの法人をグループ内に持ち、介護施設『ハートホーム』や認可保育園『はあと保育園』等を山口市内に多数展開している。

「1922年、現理事長の祖父が『阿武小児科内科医院』を設立したのが、青藍会グループの始まり。2022年は100年の節目の年でした。地域医療からスタートし、介護や保育、障がい支援とヘルスケア全体に事業を広めてきました。山口市に拠点を集中させているのも、特徴です。地元に根付いて、地域の人々と一緒に歩んでいます」（理事 本部長・部坂佳生氏）。

医療の領域では、クリニックの運営に止まらず、訪問診療や訪問看護、訪問介護も手掛けている。訪問看護師と連携し、24時間365日連絡が取れる体制を整備。『あんの循環器内科』と『ハートクリニック南山口』は、診療所に訪問診療に従事する常勤医師が複数名いる、在宅での看取りに対応している等、厚生労働省が定める「機能強化型在宅療養支援診療所（連携型）」の基準を満たしている。

常勤で管理栄養士を配置して「訪問栄養管理指導」も提供。薬剤師が訪問して、薬に関する相談や体調・副作用の確認、残薬の調整も行う「訪問薬剤管理指導」も手掛けている。

介護の領域では、特別養護老人ホーム・介護老人保健施設・サービス付き高齢者向け住宅・住宅型有料老人ホーム等を運営し、グループホームやショートステイにも対応している。

「医療と介護は密接な繋がりがあるものです。当グループでは、医療と介護を地域住民に提供し、安心した暮らしをサポートしています。さらには、保育園や児童クラブの運営、障がいを持つ人の就労支援、介護・看護・保育・リハビリ等の研修も提供。山口市のヘルスケアに関する社会インフラとして地域に貢献しています」（部坂氏）。

医療・在宅医療・介護・子育て・障がい・教育と幅広い領域で長年、地域住民にサービスを提供してきた青藍会グループ。山口市内に限定して事業を展開していたが、2017年9月に東京都世田谷区に『ハートハウス成城』『はあと保育園成城』を開設。待機児童と高齢者介護の課題解決をしてくれる法人を探していた世田谷区が、青藍会グループの実績を評価して白羽の矢が立った。

「山口市と世田谷区成城では、かなり距離が離れているのですが、山口市で培った地域貢献の形を、ほかの地域でも活用する機会をもらいました。山口市民へ安心した暮らしを提供し続けてきた経験と地域への愛を、東京都世田谷区でも広めていければと考えます」（部坂氏）。

青藍会グループでは、ITエンジニアを求めている。同グループのITエンジニアは、経営企画本部情報システム戦略部デジタル課に所属し、グループ全体のシステムやデバイスの管理を行っている。

グループの各サービスを運営するのに、ITテクノロジーは欠かせない。例えば、医療分野では「電子カルテ」のシステム。介護分野でも同じような顧客管理システムがある。職員がコミュニケーションを取るためのグループウェアも必要だ。青藍会グループでは、DXの観点から情報を一元管理できるようにシステムの改変を進めている。

「山口市内に事業所が点在しているため、どこの事業所でも同じ情報にアクセスできるようにしています。加えて、介護を受けている人が病院にかかる、保育園の児童が病院にかかる等、サービス提供が重なっている利用者も多く、利用者の情報をそれぞれの施設でバラバラに持っていると無駄が増え、効率的ではありません。データを一元管理することでシナジーも生まれ、利用者により高付加価値なサービスを提供できます」（情報システム戦略部長・大野崇雄氏）。

ツールはパッケージを中心にしており、社内SEが自社でカスタマイズして使いやすいように工夫している。医療と介護のシステムやツールを開発するベンダーは沢山ある。自分達の組織にとって、どれがベストか見極める、これも社内SEに課せられた重要なミッションだ。

「新しいツールやシステムを導入して、ユーザーの声をダイレクトに聞けることは、社内SEならではのやりがいではないでしょうか。私もSI業界で受託開発の経験がありますが、自分がどんなシステムを開発していて、利用者が誰なのか分からない状態で開発しても雲をつかむような感覚に陥ります。青藍会グループでの仕事は、ユーザーが近くにいるため、自分が人の役に立っているのを実感することができます。青藍会グループは、山口の地域に根ざした組織。ITスキルを生かして地域貢献もできます」（大野氏）。

グループ全体で職員が1,000人以上いる青藍会グループ。職員が業務で使うハードウェアの管理・保守も社内SEに求められる重要な役割だ。

「現在、デジタル課では、パソコン：580台、タブレット端末：380台、業務用スマートフォン：680台を管理しています。日々の業務でデバイスやツールを使う中での困りごとを上手く聞き出して、業務の効率化を進めます。とはいえ、青藍会グループで働く職員は、年代が様々。ITリテラシーが決して高くない人も少なくありません。分かりやすく説明する必要があり、コミュニケーションスキルも必要とされます」（大野氏）。

青藍会グループの社内SEは、現在2名。DXの観点でデジタル化を進めていることもあって、5名～6名の体制にエンジニア組織の拡大を考えている。

デジタル課があるオフィスは、『ハートホーム山口』にある「青藍会ベースキャンプ」。デジタル課のメンバーのほかに、経理課、広報課、医療保険・介護保険の請求センター、訪問看護ステーション、ケアマネージャーが所属する介護支援事業所等が1フロアに同居している。

「色んな部署のメンバー約40名が同じフロアで働いています。部署の垣根を越えたコミュニケーションも活発で、医療や介護のことで分からないことがあれば、他部署の人に聞けます。反対にシステムのことで、気軽な相談を受けることもあります。SI業界で働いているとエンジニア以外の人達とコミュニケーションを取る機会も少なく、青藍会グループでの働き方は新鮮でした」（大野氏）。

長く働くことを考えると、青藍会グループで働くメリットとして、医療や介護のサポートが手厚い点が挙げられる。グループ内の保育園に子供を預けられることもできる。子供と一緒に出勤して、隣の保育園に預け、仕事終わりにすぐ迎えにいく。働くパパママにとっては、ありがたい。職場が介護施設でもあるため、親の介護が必要ならもちろん働いている間、デイサービスを利用できる。しかも、医療も介護も保育も助成金が出る。

「生活をしっかりサポートしてくれるから、子育て世代や親の介護が必要な人にとっては、とても働きやすい環境が整っていると思います。マイカー通勤が可能で、山口市内をはじめ、宇部市や防府市から通っている職員もいます。山口県は道路網が整備されているため、30キロくらいまでは通勤圏内です」（大野氏）。

若い世代の声も聞いてみよう。東京の大学を卒業して九州で働き、山口県に帰ってきて青藍会グループで働き始めた女性職員は、結婚・出産を経験し育児休暇から戻ったばかり。ライフワークバランスを充実させられると語る。

「山口市は住みやすく、子育てしやすい町です。治安が良くて、自然災害も少ない。住人は穏やかな人が多く、会社でも日常生活でもギスギスすることがありません。東京や九州で暮らしていた頃に比べ、時間が緩やかに進む感覚があります。実家は長門市にあるのですが、山口市内に住んでいれば車で1時間の距離。万が一、親に何かあった時もすぐに駆け付けられます」（人事部採用課・宮本綾氏）。

山口市は県庁所在地で、自動車を使えば県内各所へのアクセスがしやすい。新山口駅から新幹線で博多や広島へ30分、大阪へも2時間。都心に比べて家賃も安く、マンション購入の資金で一軒家が買える。青藍会グループの社内SEは、子育て世代のエンジニアが、山口へUターン・Iターンして、将来を見据えたライフプランを築くには、うってつけの仕事といえるかもしれない。